男性の不妊治療ではどんな検査をするの?

2018/5/14

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

不妊は女性に問題があると考えられがちですが、本当にそうなのでしょうか?実は、不妊の半数以上の原因は男性側になんらかの異常があるとされており、このような不妊を男性不妊といいます。ここでは男性の不妊治療や検査について解説します。

男性の不妊治療で行う検査って?

精液・精子検査では、採取した精液で精子の量や状態を検査する検査です。
一般的に、1回の射精で放出される精子の数は約1億~4億個とされ、その中で卵子と結合できる精子は、たったの「1つ」です。そのため、受精には精子の「質」が肝心となります。精子の質が高くないと、いったん妊娠ができても継続しにくという結果を招いてしまうからです。
妊娠には、男性と女性両方の妊娠力が必要となるため、女性だけでなく、男性の不妊検査も同時に行なうことで、原因の特定がしやすくなります。

精液・精子チェック(精液・精子検査)項目

  • 精液の量
    一度の射精での精液全量を調べます。多すぎたり、少なすぎたりしていないかを検査します。
  • 精液の数、濃度
    精液の中含まれている精子の数や濃度を検査機器と目視の両方で検査します。
  • 精子の運動率
    ただ動いているだけではなく全体に対して、活発に動いている前進運動精子の割合を調べます。
  • 精子の形状
    一般的に、精子には正常の精子と奇形の精子の両方が含まれているため、その中の正常の精子の割合を調べます。

男性の場合、不妊の原因になるのは?

男性不妊の原因として、以下の項目があげられます。

  • 精子の数が少ない
  • 運動率が低い
  • 奇形率が高い

男性の不妊症の原因においては、ホルモンの一種であるテストステロンが関係しているとされています。

性機能障害

ストレス等により、性器がうまく反応せず、性行為がうまくいかなかったり、勃起障害(ED)や性交渉はできても腟内射精が困難など、さまざまな射精障害があります。

精液性状低下

精巣での精子形成や、精巣上体での運動能獲得過程に異常があると、精子の数が少なくなったり、精子の動きが悪くなったり(精子運動率低下)、奇形率が多くなるため、受精力が低下してしまいます。

高度の精液性状低下、無精子症

精液中の精子の数が極端(通常の1/100以下など)に少ない場合や運動率が極端に低い(20~30%以下)場合、無精子症と呼ばれる射精された精液の中に精子が全く見られない状態などがあります。

男性の不妊治療はどんなことが行われるの?

乏精子症、精子無力症

ホルモン療法、漢方薬、ビタミン剤などの治療を行いますが、効果がみられないときには、人工授精、体外受精などがすすめられることがあります。

※乏精子症とは、精子数が少ない(1500万/ml以下)場合のことを指します。
※精子無力症とは、運動精子が40%以下の場合のことを指します。

膿精液症

膿精液症とは、精液中に白血球が多く認められる状態(100万/ml以上)で、精路のどこかに炎症がある場合が多いです。白血球は受精率を低下させ不妊症の原因となります。治療として抗生物質を一定期間内服します。

性機能障害

ED等の性器に問題がある場合や、夫婦生活が上手くもてないなどの場合は医師に相談しましょう。治療として漢方薬、バイアグラをはじめ、薬物療法などを行います。また、希望により腟内精液注入法、人工授精の適応などが受けられます。

おわりに:男性も不妊検査を受けてみましょう

男性が不妊治療で精液検査をするメリットとして、専門医師が検査結果を総合的にみてアドバイスや治療ができるところにあります。また、検査は体調やストレスによって大きく値が変化しますので結果によっては、別のタイミングで再度、精液・精子チェックをしてみることをおすすめします。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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