ヘルペス脳炎の症状と後遺症とは?どんなときに病院へ行くべき?

2018/5/24 記事改定日: 2019/3/27
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ヘルペスウイルスに感染すると脳炎になる可能性があることをご存知でしょうか。
この記事では、ヘルペス脳炎について解説していきます。正しい知識を身につけることで、早期受診に役立てましょう。

ヘルペス脳炎になるとどんな症状が出るの?

脳炎には、ウイルスや細菌、カビの仲間である真菌、寄生虫など外部から感染して起きる感染性脳炎と、自己免疫のトラブルで起こる自己免疫性脳炎などがあります。
自己免疫のトラブルとは、攻撃する必要のないはずの自分自身の細胞や組織まで攻撃してしまうことです。小児の感染性の急性脳炎・脳症の約6割が単純ヘルペス脳炎という報告もあります。

単純ヘルペス脳炎は、かつては命を落とす人が非常に多い病気でしたが、抗ウイルス薬の開発で命は助かることが多くなりました。しかし、それでも重篤な後遺症を残す人もおり、早期に適切な治療が必要な病気です。

ヘルペス脳炎の症状は他の感染性脳炎の症状と似ていますが、脳そのものに炎症を起こすため急性で重篤な症状を示します。
主な症状としては

  • 急な頭痛や発熱
  • 嘔吐
  • 意識障害
  • 痙攣
  • 手や足などの麻痺

があり、他の脳炎と同様に首が前に曲がらなくなる首の硬直や、脳が障害されることによる幻覚や妄想、言語症状などの症状も現れることがあります。

ヘルペス脳炎の人に、これら全ての症状が見られるということではありませんが、発症後に何もしなければ早ければ数時間単位で症状は悪化していきます。

原因

ヘルペス脳炎は「単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)」または「単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)」が原因で発症するといわれています。

小児期から成人期の場合は、単純ヘルペスウイルス1型の感染が主で、感染している人の唾液やくしゃみ、咳などが感染ルートと考えられます。
一方で、新生児の場合は1型に加えて2型での発症がみられます。新生児の場合は出産後に感染するだけではなく、出産時に母体の産道から感染することもあります。

どんな症状のときに病院へ行くべき?

ヘルペス脳炎は早期治療が非常に重要な病気です。治療が遅れることで神経障害などの重篤な後遺症をのこすだけでなく、死に至ることもあります。
ヘルペスに特徴的な皮疹と共に以下のような症状が見られる場合にはなるべく早めに病院を受診しましょう。

  • 高熱が続き、ぼんやりする
  • 強い頭痛が生じて首から背中にかけても痛み、動きがわるくなる
  • 呼びかけに応じず視線が合わない
  • 痙攣や手足の脱力、麻痺などがある
  • 幻視や異常行動が見られる

ヘルペス脳炎の治療法は?

ヘルペス脳炎の治療では、できるだけ早く抗ウイルス薬での治療を開始することが大切です。

ヘルペス脳炎では、まずアシクロビルという薬剤が第一選択肢となります。点滴による投与が行われ数週間の治療となります。効果の検討はPCR法を用います。PCRは微量のDNAであっても増幅させることで検出が可能となる方法です。治療後の体内に微量のウイルスが存在していないかどうかを確認します。

もしアシクロビルでの効果が得られないときに選ばれるのがビダラビン(Ara-A)という薬です。ビダラビンも点滴による投与が行われ、10日間を1単位として効果を確認します。副作用として、白血球と血小板の減少や肝機能の異常に注意が必要な薬剤です。

ヘルペス脳炎の後遺症は?

ヘルペス脳炎は、命の危険性がある病気です。また、たとえ治療の効果が得られ一命を取り留めたとしても、脳の炎症によるダメージの影響で、後遺症が残ることがあります。

後遺症としては、てんかん発作や身体の麻痺が残ったり、人間が的確に判断をしたり、人とコミュニケーションをとりながら、すこやかに生活していく上で欠かせない力が障害されてしまうことがあります。

記憶障害
新しいことが覚えられなくなったり、過去の記憶があやふやになる
注意障害
必要なものに注意を向け集中したり切り替えたりすることが難しくなる
遂行機能障害
ものごとを順序よく組み立てて実行することが難しくなる
失語症
話しことばを聞いて理解したり、話す、読む、書くなどが難しくなる

具体的には、上記のような「高次脳機能障害」が残ることがあり、子供の場合は学習にも影響を与えます。

おわりに:ヘルペス脳炎は後遺症が残る可能性も。まずは早めの受診を!

ヘルペス脳炎は、過去には7〜8割程度の人が命を落としていたという重大な病気でした。抗ウイルス薬の開発によって命を落とす人は減少しましたが、それでも重度な後遺症を残す可能性のある病気です。ためらわずに受診をすることが大切です。

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