高次脳機能障害から回復させるために取り組むべきことは?

2019/2/4

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

高次脳機能とは言語・記憶・感情といった人間だけに与えられた脳機能のことを言います。この記事では、この高次脳機能の障害に関する基本とともに、身近に高次脳機能障害を抱えた方がいらっしゃる場合の接し方やケアのポイントも紹介します。

高次脳機能障害とは

高次脳機能とは、認知機能(知覚、記憶、思考、判断、学習など)と精神機能の総称を指す言葉です。そして、高次脳機能障害とは病気やケガなどによって、注意力、判断力、思考力、記憶力などを失ってしまった状態をいいます。高次脳機能障害が起きると、日常生活や社会生活などを送る際にさまざまな支障が生じます。

高次脳機能障害の原因となる病気は?

高次脳機能障害の原因の一つに、脳神経疾患があります。特に多い原因は、脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)であり、その他の原因には、脳腫瘍、脳炎、脳性麻痺、発達障害、うつ病、アルツハイマー病、パーキンソン病などがあります。また、交通事故、スポーツ事故、転倒などに伴って外傷性脳損傷が起きた場合も原因となりえます。なお、一般的に加齢に伴う変化については、この高次脳機能障害には含まれません。

高次脳機能障害の症状には何があるの?

高次脳機能障害の場合、「脳のどの部分に障害を負ったか」で違った症状があらわれます。たとえば、損傷部位が前頭葉であれば注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがみられます。また、頭頂葉であれば聴覚障害、側頭葉であれば聴覚障害、後頭葉であれば視覚障害などがあらわれます。これらのうち特に注意したい症状を、以下にまとめておきます。

記憶障害
日時、場所、人名、約束などを忘れてしまう。また、覚えることができないなど
注意障害
ボーっとして、集中力が欠けてしまう。周囲のことに気が散ってしまうなど
遂行機能障害
計画的に行動できない。物事に優先順位が付けならないなど
社会的行動障害
やる気がなくなる。キレやすい、怒りっぽいなど
失語症
会話ができなくなる。言葉を理解できなくなるなど

いずれも日常生活・社会生活に支障を来たす可能性があります。そのため、適切なリハビリテーションを受けることで、少しでも生活の困難を軽減することが重要となっています。

高次脳機能障害からの回復は可能?

高次脳機能障害を負ったとしても、早期に適切なリハビリテーションを行うことで回復できる可能性があります。実際のリハビリでは患者さんの症状に合わせたものを行いますが、一例として、症状ごとのリハビリ内容を以下にご紹介したいと思います。

記憶障害
生活習慣を記録する。日課を作って、その通りに生活を送る
注意障害
集中できる環境を用意する。一つずつ指示を受け、課題をクリアする
遂行機能障害
作業内容を紙に貼りだす。作業内容を確認してから行動する
社会的行動障害
チェックリストを作成して、それに従って行動する
失語症
とりあえず会話をしてみる。絵や文字を使ってコミュニケーションを取る

このように症状に応じたメニューを考えてリハビリに取り組んでいくことになります。ただし、全ての患者さんにリハビリの効果が現れるわけではないので注意してください。

家族の接し方で気をつけることは?

高次脳機能障害から回復するには、患者さんご自身の努力も必要ですが、そのご家族の方の協力も大切です。そこで、ご家族の方の接し方に関するポイントをご紹介します。

コミュニケーションを積極的に取る

なるべく高次脳機能障害の方とコミュニケーションを取るように心がけましょう。コミュニケーションを取ることで、患者さんの脳の訓練になりますし、よりよいリハビリ方法を発見できる機会にもなります。その際、子ども扱いしないように注意してください

チェック表などを付けるようにする

患者さんの行動予定や作業内容などを、チェック表にまとめるのもおすすめです。チェック表を作成しておくと、患者の方は予定を確認できますし、ご家族の方の不安や心配も軽減できます。なお、チェック表は具体的に作ると、患者さんは行動しやすくなります。

無理はしないで民間・行政サービスも頼る

ご家族の中に高次脳機能障害の方がいる場合、どうしてもご家族の方の負担が増えてしまいます。その結果、苦痛やストレスが溜まってしまう場合もあります。そこで必要に応じて、ホームヘルパーやデイサービスなどを活用したり、行政サービスを利用したりするのも良いと思います。ご家族向けのサービスも使いながら、継続的にサポートしましょう。

おわりに:ご自身に合ったリハビリで回復を目指しましょう!

万が一、何らかの理由で高次脳機能障害になってしまったら、早めに適切なリハビリを受けるようにしてください。もちろん、高次脳機能障害にならないことが望ましいので、脳卒中といった病気を予防できるように努めましょう。

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