脳の血管の病気、脳卒中とは?血管が切れるとどんな症状が出てくる?

2018/12/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脳の血管に起こり、発症すると命にかかわる事態に陥ることも多い脳卒中。
言葉自体は聞いたことはあっても、どんなメカニズムどんな前兆・症状が起こるのか、いまいち理解できていない人も多いのではないでしょうか。
今回はこの脳卒中について、代表的な症状や前兆について解説していきます。

脳の血管の病気、脳卒中とは?

脳の血管に異常が起きたことで、脳の一部または全体に血液が行き渡らなくなり、脳の神経細胞が障害されるのが「脳卒中」という病気です。

脳卒中は、血管に起こる異常の種類により以下3つに分類することができます。

  • 脳の血管が障害され、溢れた血液が脳内の神経細胞を傷害する「脳出血
  • 脳表面にある脳動脈瘤が破裂し出血する「くも膜下出血
  • 脳動脈が狭く、または詰まってしまい血流が阻害されて発症する「脳梗塞

この記事では脳卒中に分類される上記3つのうち、特に脳の動脈血管が切れて出血する脳出血と、脳動脈瘤が破裂するくも膜下出血について解説していきます。

脳出血やくも膜下出血になると出てくる症状は?

ここからは脳卒中になると現れる症状を、脳出血とくも膜下出血に分けて見ていきましょう。

脳出血を起こしたときに現れる症状

  • 右手足または左手足など、いずれか阪神の麻痺や感覚異常
  • 意識の混濁、または消失
  • 視界不良、目が見えにくくなる、目の動きがおかしくなる
  • ろれつが回っていないなど、言葉に異常が見られる
  • 何もないところで転ぶなど、歩行や移動に障害が出る
  • 激しい頭痛、めまい
  • 嘔吐、呼吸障害、痙攣

くも膜下出血を起こしたときに現れる症状

  • 今まで経験したことがない、バットで殴られるような激しい頭痛
  • 頭痛と一緒に、激しい吐き気や嘔吐
  • 意識が混濁してもうろうとする、意識を失う

なお、脳出血・くも膜下出血いずれの脳卒中でも、その症状は発症した日時を記憶できるほど突然に、比較的はっきりと現れるのが特徴です。

脳の血管が切れる前兆はある?

脳動脈が切れたり、脳動脈瘤が破裂して脳卒中に至る前に、発症を防ぐための目安となるような前兆はほとんど起こらないといわれています。

ただし、人によっては以下のような前兆を感じることもあると報告されています。

脳の血管が切れ、脳卒中が起こる前兆症状

  • 突然、手足の力が抜けてしまう
  • 突然、片方の手足にしびれや動かしにくさ、麻痺のような感覚を生じる
  • 片方の足を引きずって歩いたり、つまづきやすくなる
  • 片方の目が一時的に見えにくくなり、物が二重に見えたりする
  • 突然、激しいめまいに襲われる
  • 突発的に起こった頭痛が、1~2日継続する
  • ろれつが回らなくなり、言いたいことを声に出せなくなってしまう

これらの前兆は単なる「ちょっとした不調」として、患者本人にもその家族・周囲の人にも軽視され、見逃されがちです。
このような前兆を見逃さずに脳卒中を早い段階で発見し、脳血管が切れて重度の脳卒中を起こす前に治療を開始することが、強く望まれています。

脳出血やくも膜下出血の症状がみられたら、すぐ救急車を呼ぼう

脳の血管が切れ、前項まででご紹介したような脳出血・くも膜下出血の症状が現れた場合は、以下の応急処置をしてできるだけ早く救急車を呼んでください。

脳卒中で倒れた人がいたときの応急処置法

  • 吐いている場合は、吐しゃ物が気管に入らないよう肩に低い枕を入れて横向きにする
  • 意識がない、またはなくなりそうなときは麻痺していると思われる方を上に横向きに寝かせて、気道を確保する

また、救急車を呼ぶときには意識レベルについて「目を開けている」「目を閉じているが反応はある」「意識がなく全く反応しない」の3段階で、救急隊員に伝えましょう。

この対応が、医療関係者が必要な治療対応を迅速に判断するのに非常に役立ちます。

おわりに:血管が切れると激しい頭痛や吐き気、感覚麻痺などの症状が現れる

脳の血管が切れる脳出血や、脳の血管にできた団子状のできものが破裂するくも膜下出血など、脳の血管に異常が現れる病気を脳卒中といいます。
発症して起こる症状には多少の違いがありますが、いずれも突然痛みや感覚麻痺、視力異常などが現れるのが特徴的です。致死率も決して高くない脳卒中から生還するには、前兆を見逃さず早期に発見・治療開始するしかありません。この記事で前兆や、発症時の対処法をしっかり確認しておきましょう。

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