記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
冬になると流行するノロウイルスですが、感染した場合、病院ではどのような薬が処方されるのでしょうか?また、自分で下痢止めなどを飲んでも大丈夫なのでしょうか?ノロウイルスの処方薬や市販薬の使用について解説します。
ノロウイルスに直接効果のある「抗ウイルス剤」はありません。
また、様々な細菌に有効とされる抗生物質も、ノロウイルスには効果がありません。そのため、ノロウイルスの感染者に処方される薬は、吐き気・腹痛などを抑えるものが基本となります。
病院でも下痢止めを処方されることはあまりありません。ノロウイルスは、下痢(糞便)の中にウイルスが排出されるので、下痢止めを服用するとその働きを妨げてしまうことになるからです。むしろ出来るだけ早く病気を治したいという場合には、ウイルスを排出することが重要になります。
下痢が長く続くと、脱水症状になりやすいので水分補給をしっかり行いましょう。また、可能であれば少しでも食事をとると、回復が早まります。下痢が続く期間は、感染を広げないために自宅で安静にしていましょう。また、自力で水分を補給することが難しい場合には、医療機関で点滴を受ける事もできます。
ノロウイルスは乳幼児や高齢者の場合は重症化することもありますが、感染者の90%以上は点滴や投薬を必要としない軽症ですむことが多いです。
また、ノロウイルス自体に効く抗ウイルス剤というものはありませんので、処方される薬は、以下のような症状を緩和するための薬となります。
整腸剤は、腹痛や下痢などの症状を和らげる効果があります。副作用が出る可能性も低いので、安心して服用することができます。
大人の場合は飲み薬が処方されることが多いですが、子供の場合は一緒に吐いてしまう可能性があるため坐薬タイプが処方されるケースが多いといわれています。また、子供の患者は嘔吐の症状が悪化することが多いので、脱水症状が見られる場合にはなるべく早く医療機関を受診しましょう。
現在、ノロウイルスに有効な抗ウイルス剤はありません。そのため、病院では嘔吐や下痢を抑える薬が処方されます。また、自己判断で市販の下痢止め薬を使用するのは控えましょう。病気の快復を遅らせる他、脱水症状になる恐れがあります。早めに医療機関を受診して医師に相談しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。