記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/18 記事改定日: 2018/12/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心臓の筋肉に血液を送っている血管の流れが、血管の硬化やけいれんなどが原因で滞り、胸が締め付けられるような症状が出るのが、狭心症という病気です。
今回は、放っておくと命の危険もある心疾患の一種、狭心症の代表的な治療法について、バイパスを形成する外科手術と、カテーテル治療の2種類をご紹介していきます。
狭心症の代表的な治療法として、一般的に狭心症手術とも呼ばれる「バイパス手術」と、「カテーテル治療」の2種類が挙げられます。
バイパス手術は、狭心症の原因となっている冠動脈(心臓の筋肉を動かしている血管)には触らずに、健康な血管が冠動脈の補助を行えるようにする手術療法です。
狭くなって血の通りが悪くなっている冠動脈に、健康な血管で別の通り道である「バイパス」を作ることで、病状の改善を目指す治療法です。
カテーテル治療は、カテーテル(細い管)を冠動脈の中に入れることで、狭くなっている冠動脈を内側から拡げ、その状態で固定して狭心症の改善を目指す治療法です。
手順としては、まず太ももや手首の血管からカテーテルを挿入し、狭くなっている冠動脈まで送り込みます。
患部に到着したら、カテーテルの先端に装着された網目状の筒「ステント」を風船で拡げて血管に植え込み、冠動脈の拡張状態を固定して維持するというものです。
バイパス手術とカテーテル治療のうち、どちらの方法で治療をすすめていくかの選択基準とには、以下のようなものがあります。
治療方法の決定には患者本人の希望も考慮されますが、最終的には医師の判断により、上記の基準に従って以下のような治療方法の決定が下されます。
同じ狭心症治療でも、バイパス手術とカテーテル治療では、入院に要する期間が異なります。
バイパス手術は全身麻酔で、胸を開けて外科手術を行うため、入院期間は短くても2週間以上必要であるといわれています。
一方、カテーテル治療は局所麻酔で行われるため、バイパス手術に比べて患者の体への負担が少なく、数日で退院できるケースが多いです。
バイパス手術とカテーテル治療、どちらの方法で狭心症の治療を行う場合も、それぞれ以下のようなリスクが予見されます。
どちらの治療法を選ぶにせよ、あらかじめ医師に治療方法とあわせてリスクについても十分に確認してから、決定するようにしてください。
狭心症でバイパス手術やカテーテル治療を受けた後の日常生活の注意点は、治療後に心機能の状態によって異なります。
心機能がしっかり温存されている場合は、無理のない範囲であれば運動を行うこともできます。
一方、術後も心機能が悪い場合は運動や食事、水分摂取量などに制限が設けられることもあります。
術後の日常生活上の制限に関しては、必ず医師の指示に従うようにしましょう。
また、カテーテル治療で冠動脈にステントを挿入した場合には、血液が固まりにくくなる薬剤の服用を続ける必要があります。
薬の種類によっては、食事に制限がある場合もあるので注意しましょう。服用中は、胃や腸から出血を引き起こしやすくなりますので、何らかの体調の異変を感じた場合はすぐに病院を受診することも大切です。
さらに、治療後でも狭心症の原因となる食生活や喫煙習慣などがある場合は、ほかの冠動脈に狭窄が生じて狭心症を再発することもあります。治療後は狭心症の原因となる生活習慣を改善し、定期的に検査を受けて経過観察を怠らないようにしましょう。
狭心症を発症し、投薬で十分な効果が得られなかった場合には、患者の状態にあわせて「バイパス手術」か「カテーテル治療」のどちらかの治療方法を選ぶのが一般的です。どちらにも一長一短がありますが、基本的には医師はより患者の身体に負担が少なく、リスクが少ない治療方法を選択してくれます。狭心症の治療法は、しっかりと医師からの説明を受けたうえで、納得のうえで決定してください。
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