狭心症の検査ではどんなことをする?費用はどれくらいかかるの?

2018/5/23 記事改定日: 2018/12/25
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

狭心症は、何らかの原因で心臓の筋肉を動かす冠動脈が狭くなることで起こります。
発症すると胸が締め付けられるように苦しくなるなどの症状が出ますが、どのような検査をすれば、狭心症を発症しているかどうかを判断できるのでしょうか?
今回は、狭心症の検査内容について、わかりやすくご紹介していきます。

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狭心症の検査では、心電図をとる?

狭心症の疑いがある場合にまず行われるのが、狭心症特有の心電図異常が起きているかどうかを調べるための心電図検査です。
狭心症には、発作が起きたときには脈が乱れて心電図に異常が現れるものの、症状が出てから15分以内には、発作による心電図異常が消失して正常に戻ることがあります。

そこで、患者に二段の階段昇降やベルトの上を歩くなどの軽い運動をしてもらい、心臓に負荷をかけながら心電図を取り、発作と心電図異常の有無をはかる検査が行われるのです。
このような心電図検査を「運動負荷心電図」と言い、二段の階段昇降はマスター法、ベルトの上を歩くものはトレッドミルテストとそれぞれ呼称されます。

なお、この心電図検査は、特に運動や重いものを持つなどして心臓に負担がかかることで症状が現れる労作性狭心症(ろうさせいきょうしんしょう)の判別に効果的といわれています。

狭心症の検査で血液検査をすることもある?

通常、狭心症を発症していても血液検査に異常は見られないため、狭心症を発症しているかの診断のためには、血液検査を行うことはほとんどありません。
しかし、狭心症と同じ心疾患であり、発症の原因や症状に類似点が見られる心筋梗塞との区別をつけることを目的として、血液検査が行われることはあります。

心筋梗塞は、冠動脈が狭くなることや閉塞が原因で起こるところまでは狭心症と同じですが、これにより心筋が壊死してしまうというところが、狭心症との大きな違いです。
心筋が壊死してしまうと、破壊された心筋細胞からクレアチンフォスフォキナーゼという酵素が血液中に漏れ出し、血液検査のCKまたはCPKの数値として現れてきます。

特にCK・CPKの数値は発作が起きてから4~5時間後に高まりを見せるため、発作から4~5時間後に血液検査を行うことで、狭心症か心筋梗塞かの判断ができることがあります。

狭心症の検査でカテーテルを使うものもある?

狭心症の検査のうち、冠動脈造影検査という検査には、カテーテルが使用されます。

検査手順としては、まずはカテーテルと呼ばれる直径1㎜ほどの柔らかいビニールチューブを、手首や太ももの血管から体内に挿入し、心臓の冠動脈まで送り込み、冠動脈まで到達したらカテーテルを通じて血管造影剤を冠動脈に注入し、冠動脈の状態を撮影して、狭心症の発症や程度を確認します。
この検査では、冠動脈のどこがどのくらい閉塞・狭窄しているかを判断でき、冠動脈造影検査で使用するカテーテルは、カテーテルの先に風船とステントと呼ばれる網目状の筒を付けて冠動脈を内側から拡げる「カテーテル治療」にも使われています。

狭心症の検査の費用ってどのくらいかかるの?

狭心症は、発作時にしか症状が現れないため、最も簡便に行える心電図検査でも異常が発見できないことがあります。そのため、負荷心電図検査や血液検査、心臓超音波検査、心臓CT検査、カテーテル検査などの諸検査が必要になります。

医療機関によっても異なりますが、負荷心電図検査は3000円、心臓超音波検査は8000円、心臓CT検査は35000円、カテーテル検査は120000円前後が相場です。また、これらの検査は胸痛などの症状があり診断上必要と認められた場合は、健康保険や高額医療制度の適応となります。

さらに、近年では特に症状がない場合でも、主に中年期以降を対象に健康診断の一環として心臓ドックを行う医療機関も増えてきました。心臓ドックでは、上記の検査をまとめて行うことができますが、健康保険の適応にはならないため自費で5万円ほどかかるのが相場です。

おわりに:狭心症の代表的な検査方法は3種類

心疾患の一種である狭心症の代表的な検査方法には、心電図検査・血液検査・カテーテルを使った冠動脈造影検査の3つがあります。狭心症が疑われる場合にはまず心電図検査が行われるのが一般的ですが、発作が出る状況などによっては、医師が他の検査方法から試すケースも考えられます。あらかじめ検査の内容や目的を知っているだけでも、医師の説明への理解度は変わってくることがありますので、この記事の内容をよく覚えておきましょう。

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