記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
ストレスによって症状が現れやすいのが胃腸です。では、ストレス性の胃腸症状が出た場合、病院でよく処方される薬にはどんなものがあるのでしょうか?それぞれの効能と副作用についてご紹介し、市販薬についても解説していきます。
胃炎や胃潰瘍、機能性ディスペプシア(検査をしても胃に異常は見られないが、慢性的な胃痛や胃もたれが起こる疾患)などで処方される薬です。胃酸の分泌を抑え、胃粘膜の病変を緩和する効果があります。
副作用として、発疹や蕁麻疹、むくみ、便秘、生理不順、女性化乳房などが起こることがあります。
慢性胃炎に伴う吐き気や胸焼けの治療によく処方される薬です。消化管のセロトニン受容体を刺激し、胃や十二指腸の運動機能を改善する作用があります。
副作用として、下痢や軟便、腹痛、口の渇き、倦怠感、食欲不振などが起こることがあります。
急性胃炎や慢性胃炎、胃潰瘍の治療薬として処方されることが多い薬です。胃粘膜を保護し、修復する作用があります。
副作用として発疹や蕁麻疹、皮膚のかゆみなどが起こることがあります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療薬として処方されることの多い薬です。胃酸の分泌を抑制する効果があります。
副作用として、発疹やかゆみ、下痢、便秘、腹部膨満感、頭痛、発熱、眠気、口の渇き、女性化乳房などが起こることがあります。
過敏性腸症候群(ストレスなどが原因で、腹痛や下痢、便秘などの消化器症状が継続する疾患)による便通異常(下痢や便秘)、消化器症状の治療薬です。消化管内でゲル化することで、消化管の内容物が運ばれる量を調節し、下痢と便秘を緩和する効果があります。
副作用として、コロネル®では発疹やかゆみ、吐き気、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘、口の渇き、むくみなどが起こることがあります。またポリフル®では、発疹、かゆみ、吐き気、口の渇き、むくみなどが副作用として報告されています。
過敏性腸症候群や慢性胃炎の治療薬としてよく処方されます。消化管平滑筋に作用し、消化管運動を整える効果があります。
副作用として、発疹、かゆみ、下痢や便秘、口の渇きなどが起こることがあります。
ストレスが原因の胃腸症状に対しては次のような市販薬が効くことがあります。
ただし、これらの市販薬を使用しても症状が改善しないときは、思いもよらない病気が背景にある可能性もあります。症状が続くときは自己判断で市販薬を漫然と使用せず、できるだけ早めに病院を受診するようにしましょう。
胃粘膜を保護する薬や下痢や便秘を緩和する薬など、処方薬にはさまざまな種類があり、まずは自分の症状に合った薬を処方してもらうことが大切です。また、薬の服用だけでなく、原因であるストレスの発散も重要となります。
もし薬を服用しても胃腸症状がおさまらない場合は、ストレス以外の原因が隠れている可能性も考えられるので、市販薬を使っている場合はすぐに病院を受診し、処方薬を使っている場合も症状が良くならないときは再度病院を受診するようにしてください。