腰痛は股関節の硬さが原因?!ストレッチで解消できる?

2018/6/4 記事改定日: 2020/4/8
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腰痛が起きることには、股関節の硬さが関わっている場合があることを知っていますか?実は近年の研究で、股関節の動きが硬い・乏しい人には、そうでない人よりも腰痛になりやすいということがわかってきたのです。
今回は、腰痛と股関節の硬さとの関係性や、症状改善に効果的なストレッチなどについてご紹介していきます。

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腰痛と股関節の硬さにはどんな関係があるの?

腰痛持ちの人とそうでない人の股関節の動きを比べる研究では、腰痛持ちの人の方が股関節の動きが硬く、動かせる範囲が乏しいという結果が出ています。また、股関節の動きが乏しい分、腰が担う生活動作の動きが増えてしまい、腰に腰に負担がかかりやすいこともわかっています。

股関節が硬い人すべてが腰痛を発症するわけではありませんが

  1. 股関節が硬いことで対応できない姿勢や動きを補うために、腰が動きや負担が多くなる
  2. 股関節を使う機会が減ることでさらに股関節が硬くなり、腰への負担もさらに増える
  3. 腰椎に負担が蓄積した結果、腰痛を発症する

このようなメカニズムで腰痛を発症することは少なくないといえるでしょう。

股関節が硬いと腰に負担がかかる原因とは?

股関節の役割は

  • 上半身と下半身をつなぎ、動作を連動させる
  • 足(下肢)を動かす

ことで、周囲の筋肉や腱の補助によってその役割を果たしています。

股関節の動きに関係する筋肉として、内ももにある「内転筋」とももの裏側の「ハムストリングス」がありますが、この筋肉は座っている時間が長いなど足を動かす機会が少なくなると硬くなりやすいです。

この2つの筋肉が硬くなると、筋肉のバランスが崩れることで姿勢が崩れやすくなり腰への負担が大きくなってしまいます。また、硬い筋肉は運動機能が下がりやすくなるので、下がった機能を補うために他の筋肉が働くことも腰への負担を大きくすることがあります。

腰痛のすべてを股関節の硬さが引き起こしているわけではありませんが、運動不足の人や座りっぱなしの時間が長い人は股関節の筋肉だけでなく他の筋肉の機能も低下しますので、股関節の硬さが腰痛のリスクの高さの指標になる可能性は十分にあるでしょう。

股関節の硬さ解消におすすめのストレッチは?

股関節の硬さが腰痛の原因のすべてではありませんが、股関節をやわらかくすることには腰痛解消以外にも健康的なメリットがあります。以下に、おすすめの股関節のストレッチ方法を3つ紹介しますので、できそうなものから挑戦してみてください。

前後方向の股関節の動きをほぐすストレッチ

まず膝立ちの状態になり、片方の膝を90°になるように立てます。
立てた側の膝の上に両手を置き、そのまま身体を前に押し出すようにして体重を移動させ、床に膝をついている方の股関節を10秒間伸ばします。
このとき、上半身だけを前に出すのではなく、腰(おしり)も前に出すことを意識し、股関節や前ももの筋肉がストレッチされていること確認しましょう。

これを左右交互に2~3回ずつ繰り返すことで、股関節の前後方向の動きがほぐれやすくなります。

股関節の緊張・硬さをほぐすストレッチ

つま先を外側に向けた状態で足を大きく開き、上半身をまっすぐにキープしたまま、腰を膝の高さにまでゆっくり落とします。(四股立ちのような姿勢です)
両膝のあたりに手を置き、肩入れをしながら状態を後ろ側から内側にグッと押し、股関節を開いた状態を5~10秒キープします。

これを左右5回ずつ程度行うことで、股関節と周辺筋肉の内転筋のストレッチができます。

骨盤を立て、股関節とハムストリングスをほぐすストレッチ

まず、背筋を伸ばすことを意識しながら、骨盤を立てて座ります。両膝を曲げた状態で大丈夫でなので、骨盤が後ろに傾かないようしっかり意識してください。

骨盤を立てた状態で座れたら、ゆっくり両膝を伸ばして基本姿勢を作ります。足をのばすときに腰や足に痛みが出るようなら、おしりの後ろに手を置き、できる範囲でゆっくりとのばしていきましょう。
基本姿勢を維持しながら上半身を倒し、苦しくないところでストップして5秒キープしてください。

以上を1セットとして、5セット程度行いましょう。

股関節とハムストリングがほぐれ、骨盤が正しく立った状態を意識する習慣がつくので、姿勢もきれいになりやすいです。

こんな腰痛や股関節痛には注意!

腰痛や股関節の痛みが続くときは、骨や筋肉、神経、内臓などに思いもよらない病気がある場合もあります。次のような痛みが続くときは注意が必要です。できるだけ早く病院を受診しましょう。

腰痛

  • 発熱や倦怠感を伴う
  • 非常に強い痛みが突然生じる
  • 血尿を伴う
  • 太ももやふくらはぎにかけてしびれを伴う
  • 足を動かしにくくなった

股関節痛

  • 股関節周囲に熱感や腫れを伴う
  • 歩行が困難ほど強い痛みがある
  • 長期間に渡ってステロイド薬を服用している
  • アルコールを多飲している
  • 痛みがある方の脚にしびれや痛みがある

おわりに:股関節が原因の腰痛なら、ストレッチで軽減できるかも!

すべての腰痛の原因ではありませんが、一部の腰痛は股関節が硬いことによって発症・悪化している可能性があります。もし、股関節が原因の腰痛の場合、ストレッチで股関節と周辺の筋肉をやわらかくすることで腰椎の負担が減り、腰痛が軽減されるかもしれません。座り仕事が多いなど、股関節が硬いことに心当たりがあるなら、この記事で紹介したストレッチを無理のない範囲で試してみてください。

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