腰痛の原因が腎臓疾患かも!?どんな痛みや症状で見分ける?

2018/6/5 記事改定日: 2020/8/19
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腰痛は発症する人が多く、身近な体の悩みですよね。一般的に筋肉や関節、骨の異常や疲労によって起こると考えられていますが、腎臓の疾患が腰痛を引き起こすことを知っていますか?今回は腎臓の病気が原因で起こる可能性のある腰痛について、見分け方や何科を受診すべきかなどについてご紹介していきます。

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腎臓の病気で腰痛が起こる原因とは!?

人間が感じる痛みとは、脳が痛みの程度や発生源を感知することで認識されますが、この痛みの認識を脳が勘違いし、実際の疾患とは別のところに痛みを感じるケースがあります。これを「関連痛」といい、腰痛の場合、腰の左右・背中側にある2つの腎臓にある疾患の痛みを脳が勘違いして、腰痛と判断してしまうことがあるのです。

この場合、腰痛がひどいと感じていても実際には腰には何の異常もないため、いくら腰をケアしても改善されず、原因となっている腎臓の病気を治療しないことには痛みはなくなりません。

腎臓疾患の種類

腰痛を引き起こす腎臓の病気には次のようなものが挙げられます。

  • 腎盂腎炎
  • 腎結石
  • 腎梗塞
  • 腎がん

いずれも重篤な病気のため、原因がはっきり分からない腰痛が続くときはできるだけ早めに病院に相談するようにしましょう。とくに発熱などを伴う場合、急激に強い痛みが生じた場合などは要注意です。

腎臓疾患による腰痛の特徴は?どんな痛みに注意すればいい?

腎臓は、主に身体の血液を「糸球体(しきゅうたい)」と呼ばれる器官でろ過し、老廃物や毒素を取り除いてきれいにして、また身体の血流に戻す役割を担っています。

このため、腰痛を伴うほどの異常が腎臓に起きている場合、腎臓の血液ろ過の機能も低下している場合が多く、腰痛の他に以下のような症状が出ることが多いです。

  • 慢性的に身体がむくんでいると感じる
  • 安静時でも腰が痛い、身体が痛い
  • 血圧が高い
  • 軽くジャンプして着地すると、腰の奥に響くような痛みを感じる

腰痛と一緒にこのような症状が出ている場合は、整形外科的な原因とあわせて、腎臓病が原因の腰痛であることを疑った方が良いでしょう。

腰痛の原因が腎臓の病気かどうかを見分ける方法はある?

一般の方でも、腰痛が腎臓の病気が原因のものか、それとも筋肉・骨・関節異常などによる整形外科的なものなのかを、ある程度見分けることはできます。
具体的には「腰痛以外の症状」と「整形外科的な要因(身体を動かしたときの痛みの有無)」の2点に着目して症状を分析します。

まず、腰痛以外に以下のような症状が出ている場合には、整形外科的な腰痛ではなく、腎臓病など内臓疾患由来の腰痛である可能性が考えられます。

  • 腰痛以外の症状
  • 何もしていないのに、腰の痛みがどんどん増してくる気がする
  • 身体を動かさずに、安静にしていても腰が痛い
  • 発熱、吐き気、倦怠感、悪寒など風邪のような症状が続いている
  • 足がしびれてきた
  • 排尿、排便に支障がある(血尿なども含む)
  • どんどん痩せてきている   など

整形外科的な要因

整形外科的な要因には、「身体を動かすと痛みが出る」という特徴があります。このため、腰をひねる・動かす・起き上がるといった日常の動作で腰に痛みが出たり、悪化すると感じるようなら、整形外科的な要因での腰痛の可能性が高いといえるでしょう。

ただし、上記に紹介した腰痛の原因の見分け方はあくまで目安です。整形外科的な病気、または腎臓を含めた内臓の病気、どちらの腰痛が疑われる場合にも必ず病院で医師の診断を受けてください

腎臓の病気が疑われる腰痛は何科で診てもらえる?

上記で紹介した腎臓病由来の腰痛の症状のうち、複数項目が当てはまる場合は、整形外科ではなく、まずは内科を受診してください。内科では腎臓の他、消化器官や男性系・女性系特有の内臓疾患などの病気が原因で腰痛を発症していないかについて、検査・診断を受けることができます。

なお、内科での検査の結果腎臓に問題があると判明した場合には、泌尿器科・腎臓内科・腎臓科などの専門科目へ紹介されて、専門の治療を受けることになります。

腎臓が原因の腰痛で、ロキソニン®などの痛み止めを飲んでも大丈夫?

ロキソニン®やボルタレン®は、いち早く痛みを改善する効果があります。腎臓が原因の腰痛にも効果がありますが、効果は一時的なもので根本的な治療にはなりません。

また、長期間これらの非ステロイド系消炎鎮痛剤を服用すると、腎臓に負担がかかり腎機能障害を引き起こすこともあります。腎臓の病気などが原因で腰痛が生じている場合には、自己判断で漫然と服用を続けず、必ず病院を受診して適切な検査・治療を受けるようにしましょう。

腎臓以外の疾患が原因の可能性も!注意したい症状は?

腎臓が原因の腰痛をはじめ、腰痛は腎盂腎炎などの重篤な感染症や大動脈解離、心筋梗塞など血管系の病気が原因であることもあります。

  • 尿が少なくなり、むくみが生じている
  • 突然の発熱と悪寒、震えなどがある
  • 息切れがある
  • めまいがある
  • 意識がもうろうとする
  • 手足にしびれがあり、動けない

このような症状がある場合は、重篤な病気による腰痛の可能性があります。ためらわずに救急車を要請してなるべく早めに病院に向かうようにしましょう。

おわりに:腰痛の原因が腎臓病の可能性も!疑わしい症状があるならすぐ病院へ!

腰痛の原因は整形外科的な要因のみで起こるとは限らず、腰に近い位置の腎臓病が原因で発症するケースがあります。もし腎臓病由来の腰痛であった場合、腎臓を治療しない限り痛みの改善は見込めません。疑わしい症状がある場合は、できるだけ早く内科を受診してください。

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