記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/30 記事改定日: 2020/6/25
記事改定回数:2回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
副鼻腔炎は、副鼻腔という鼻の奥にある空洞に炎症が起きることで、鼻づまりや鼻水、頭痛などの症状が現れる病気です。治療の一環として漢方薬が使われることがありますが、どのような漢方薬が有効なのでしょうか。
この記事では、副鼻腔炎の漢方薬治療について解説しています。
私たちの鼻の穴は医学的には鼻腔と呼ばれ、この鼻腔を取り囲むように副鼻腔という空間があり、鼻の一部として働いています。
副鼻腔がある範囲は意外に広く、眉間から頬骨の下ぐらいにまでおよびます。前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる全4種類のパーツが、左右で合計8つもあるのです。
副鼻腔炎は、この8つの空洞のどれかに炎症が起こり、鼻水や膿がたまってしまう病気です。悪化すると、頭痛や発熱、歯の痛みなどにつながります。
副鼻腔炎の治療は、状態にあわせた治療が必要になるので、基本的には耳鼻科を受診することをおすすめしますが、漢方薬でも一定の効果が期待できるといわれています。
漢方薬は市販もされているので手軽に購入することができますが、副鼻腔炎の症状の段階に応じて適した漢方薬を選ぶことが大切です。そのため、基本的には漢方薬を飲むときも専門医に処方してもらうことをおすすめします。
副鼻腔炎では、次のような症状が現れます。
副鼻腔炎を発症したばかりの急性期にはドロッとした鼻水や頭痛などの強い症状が現れますが、慢性化した場合には強い症状が現れにくく、集中力の低下や眠気といった一見すると副鼻腔の症状とは関連しないような症状が目立つようになります。
発見が遅れることも多く、学童期では学業に支障を来すことも少なくありません。
副鼻腔炎には急性と慢性のものがありますが、急性副鼻腔炎は鼻風邪などが原因で突発的に起こることがあります。急性副鼻腔炎に効果が期待できる生薬(漢方薬の成分)のひとつとして、麻黄(まおう)があります。
葛根湯には麻黄が配合されているため一定の効果が期待できますし、さらに辛夷(しんい)や川芎(せんきゅう)、桔梗石膏(ききょうせっこう)などが加えられたものがあるので、そちらを使用してもいいでしょう。
ただし、麻黄には交感神経を活性化する作用があるため、心臓病や胃が弱い人、高血圧の人は使えない場合があります。持病がある人は必ず医師の許可をもらいましょう。
急性の副鼻腔炎が長引くと、慢性の副鼻腔炎になってしまう可能性があります。慢性の副鼻腔炎は、急性鼻炎が2~3ヵ月以上長引いた時に起こります。炎症が長く続くと、粘膜が腫れたり、空洞に膿がたまったり、ポリープができてしまったりするケースもあるのです。
慢性副鼻腔炎に効果があるとされる漢方薬には、「辛夷清肺湯(しんせいはいとう)」や「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょう)」などがあります。「辛夷清肺湯」には、炎症の鎮静や膿の排出のサポートを考えた生薬などが、そして「荊芥連翹湯」には、めぐりに注目した生薬などが配合されています。
これら2つの漢方は、以下のように「症状の進み方や使用時期」によって使い分けることが望ましいとされています。
一般的には、症状を緩和してから体の調子を整えていきますが、症状の進み具合を自己判断することは難しいです。基本的には専門医に相談して使用するようにしてください。
一般的に、漢方薬は副作用が少ないですが、全くないわけではありません。
ご紹介した副鼻腔炎に効く漢方薬にも、以下のような副作用や使用上の注意点があります。
鼻詰まりを改善する効果の高い漢方薬ですが、胃の不快感や吐き気、下痢などの消化器症状や、皮疹・かゆみなどの皮膚症状が現れることがあります。また、体質によっては、肝障害や間質性肺炎などの重篤が副作用をもたらすこともありますので、体調の異変を感じた場合は服用を中止しましょう。
とくに、胃腸の調子が悪いときに服用すると副作用が現れやすいので、服用を開始する前に医師に相談するようにしましょう。
副鼻腔炎に伴う炎症を鎮める作用がある漢方薬ですが、辛夷清肺湯と同様に消化器症状や皮膚症状が現れることがあり、重篤な場合には肝障害や間質性肺炎を引き起こします。
また、「甘草」という成分を含む漢方薬と同時に服用すると、血圧が上昇したり、むきみ、倦怠感、脱力などを引き起こす「偽性アルドステロン症」を発症することもあり、脳出血や心不全の引き金となることもあります。
飲み合わせには十分注意し、胃腸の調子が悪い際には服用を控えるようにしましょう。
副鼻腔炎は、副鼻腔に炎症が起こり、鼻水や膿がたまってしまう病気です。漢方で対策をする場合、症状の軽度や進行の具合、時期に応じた漢方を飲むことが大切です。基本的には専門医に相談のうえで選ぶようにしましょう。
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