痔の種類っていくつあるの?それぞれの治療法は?

2018/6/7

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

いぼ痔や切れ痔など痔には色々な名前がありますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、痔の種類やそれぞれの治療法について解説していきます。

痔にはどんな種類があるの?

痔には、痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)・痔瘻(あな痔)があります。

痔核(いぼ痔)

内痔核

状態
痔核とは、肛門と直腸の静脈に血液が溜まり、いぼのようにふくれて痛む痔で、歯伏線より内側にできたものを内痔核と呼びます。
原因
便秘などで排便時のいきみが強い、長時間同じ姿勢をとる、妊娠や出産などが原因となります。
症状
痛みはあまり感じないため、排便時の出血や肛門からの内痔核脱出がきっかけで気が付くことが多いです。肛門から痔核が脱出する際は、飛び出してくる感じや異物感があり、症状が進行すると指で押しても戻らなくなります。

外痔核

状態
肛門の歯伏線より外側にできた痔核を外痔核と言います。また、肛門の外側に血まめができた状態を血栓性外痔核と呼びます。
原因
便秘、下痢、アルコール・辛い物の過剰摂取、長時間の歩行や座りっぱなし、冷え、ストレスなどが原因となります。
症状
患部が腫れることにより、激しく痛むことがありますが、出血はあまりありません。

裂肛(切れ痔)

状態
肛門の皮膚が切れたり裂ける状態です。
原因
便秘などで便を無理矢理出そうとしたときに切れたり、慢性的な下痢の炎症により起こる場合もあります。
症状
排便時に激しい痛みや出血が伴い、排便後も痛みが続く場合があります。進行すると、潰瘍やポリープ、肛門狭窄(肛門が狭くなる)になることがあります。

痔瘻(あな痔)

状態
まず、歯伏線にあるくぼみに大腸炎が感染することで炎症が起き、化膿した状態になります(肛門周囲潰瘍)。この肛門周囲潰瘍が進行すると、肛門の内外を繋ぐトンネルができ、痔瘻となります。
原因
下痢やストレスによる免疫力低下などが原因となります。また、肛門括約節の強い男性に発症しやすいとされています。
症状
肛門の周囲の皮膚が腫れることにより、痛みや発熱を伴います。また、痔瘻は膿が排出されるため、下着が汚れることもあります。

種類別:痔の治療法

痔の治療は、以下のように痔の種類ごとで方法が違ってきます。

痔核の治療

手術

内痔核はその症状の程度により、4種類に分類されます(Goligher分類)。分類は下記のようにⅠ度からⅣ度までに分けられ、数字が上がるにつれ症状の程度が悪化します。

Ⅰ度 排便時にうっ血、膨隆(局部的な盛り上がりやふくらみ)する
Ⅱ度 排便時に内痔核の脱出が見られるが、排便後に自然に元に戻る
Ⅲ度 排便後の脱出を納めるために、自分で戻す必要がある
Ⅳ度 痔核が外痔核まで及んでいるため、自力でも完全に元に戻すことはできない

手術は上記のGoligherⅡ度以上の内痔核の場合に行われ、腰椎麻酔や仙骨硬膜外麻酔(肛門付近のみの麻酔)が施された後、3ヶ所の痔核切除手術を行います(結紮切除術)。治る確率の高い手術ですが、術後に痛みや出血が起こる可能性があるため、10日前後の入院が必要となります。

硬化療法

硬化療法とは、硬化剤を注射して痔核を小さくする治療法で、下記の主に2種類があります。

ジオン注射
GoligherⅡ度以上の内痔核の場合に行われ、局部麻酔の後、内痔核周囲に硬化剤を注射することで、痔核を縮小・退縮させる治療法です。治る確率の高い手術で、痛みもほとんど感じません。しかし、平成17年3月に発売された薬のため、現在は使用できる医師が少ないといわれています。日帰りでの治療が可能の場合もありますが、数日間の入院が必要になることもあります。
パオスクレ―
GoligherⅠ度~Ⅱ度の内痔核の出血に対して行われます。日帰りでの治療が可能です。

ゴム輪結紮術

GoligherⅡ度以上の内痔核の場合に行われます。内痔核の根部に医療用のゴムの輪をかけることにより周囲の血行を遮断し、壊死に至らせる治療法です。ゴムの輪は1週間前後ではずれます。日帰りでの治療が可能です。

保存的治療

GoligherⅠ度~Ⅱ度の内痔核の出血に対して行われます。坐薬・内服薬の使用、排便習慣や食生活の改善、肛門部の衛生管理などを行います。

血栓性外痔核の治療

痛みを伴わない場合は、薬物治療で対処可能ですが、急性期の強い痛みを伴う場合は、局部麻酔下で血栓を除去する手術を行います。日帰りでの治療が可能です。

裂肛の治療

裂肛は、基本的には薬物療法と保存的療法を中心に治療が進められますが、症状が長期化したなどの場合は手術が検討されることもあります。

保存的治療

排便習慣や食生活の改善、肛門部の衛生管理などを行います。

薬物療法

裂肛は、肛門括約節の過度の緊張状態(攣縮:れんしゅく)が原因となり、強い痛みを感じるため、その緊張を緩和する薬(ニトリグリセリン軟膏薬など)を用いて痛みを軽減する治療を行います。

手術

保存的治療や薬物療法で効果が見られなかった場合、症状が慢性化している場合などには手術を行うことがあります。用手拡張、側方内括約節切開、根治的切除術、皮膚弁移動術などがあり、日帰りもしくは数日~7日前後の入院が必要になります。

痔瘻の治療

保存的治療や薬物療法で効果が見られなかった場合、再発した場合などは、手術が必要になることがあります。肛門周囲膿瘍の場合は、患部を切開し膿を出す手術が行われますが、症状が進行している場合は後日、痔瘻に対する手術が行われます。

手術

瘻管開放術
痔瘻に対する手術で、日帰りもしくは数日間の入院が必要となります。
肛門括約節温存瘻管くり抜き術
肛門の筋肉の働きに損傷を与えずに、痔瘻の瘻管のみを繰り抜きます。7~14日程度の入院が必要となります。
シートン法
痔瘻の瘻管の中に医療用のゴムを通して、徐々に切開してゆく方法です。様々な種類の痔瘻に対応でき、痛みや肛門機能障害が少ないとされています。日帰りまたは数日間の入院が必要となります。

おわりに:自分の症状に合わせた治療を受けましょう

痔の種類には、内痔核・外痔核・裂肛・痔瘻などがあり、それぞれ治療法が異なります。治療期間も日帰りから数日間入院が必要なものまでさまざまです。医師と相談しながら、自分の症状に合わせた治療法を受けましょう。

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