飲酒後の頭痛や吐き気はなぜ起こる?二日酔いは予防できるの?

2018/6/12 記事改定日: 2018/7/9
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

ハメを外して飲み過ぎてしまった翌日、ひどい頭痛や吐き気に苦しめられる「二日酔い」。一度は経験があるのではないでしょうか?では、この二日酔いの頭痛や吐き気などの諸症状はなぜ起こるのでしょうか?この記事では、飲酒による頭痛の原因について詳しく解説していきます。

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飲酒後の頭痛の原因は?二日酔いは何によって引き起こされる?

飲酒後の頭痛や二日酔いはお酒の飲み過ぎが原因で起こるものですが、お酒を過剰摂取するとなぜ頭痛や吐き気などの諸症状が起こるのか、その正確なメカニズムは実はわかっていない点も多いです。現在のところは、主な原因として下記の影響が考えられています。

アセトアルデヒド

アルコールは肝臓で代謝される際、「アセトアルデヒド」という物質に分解されます。アセトアルデヒドには毒性があり、血中での濃度が高くなると吐き気や頭痛、頻脈、皮膚が赤くなるといった症状を引き起こすようになるのですが、お酒を飲みすぎると肝臓がこのアセトアルデヒドを十分処理できなくなるために、上記の二日酔いの症状が出るようになるといわれています。

アルコール性低血糖

体内にアルコールが入ると、肝臓はアルコールやアセトアルデヒドを最優先で分解しようとします。すると他の栄養素の代謝が遅れたり、肝臓の糖新生(グリコーゲンから、体のエネルギー源であるブドウ糖をつくること)が阻害されたりすることで、アルコール性低血糖に陥ります。このアルコール性低血糖は、倦怠感や空腹感、頭痛などの症状を引き起こす原因とされます。

お酒の不純物

お酒には不純物が含まれており、これらがお酒の風味に影響しているのですが、その含有量が多いお酒であればあるほど二日酔いが続きやすい傾向にあります。

なお、基本的な不純物の含有量の多さは「ブランデー>赤ワイン>ラム>ウイスキー>白ワイン>ジン>ウォッカ>ビール」の順です。ただ、個人の体質によってお酒との相性は異なるので、ワインよりもビールの方が酔いやすいという人もいます。

遺伝による体質

アセトアルデヒドを体内で分解する酵素の力は、遺伝による体質が関係しているといわれています。アセトアルデヒドを分解する酵素の一種「ALDH2」の遺伝子には、分解能力の高い「N型」と低い「D型」の2種類があり、1つずつ両親から受け継がれます。この結果、「NNタイプ」であれば分解能力が高くお酒に強い体質、「NDタイプ」であればお酒に弱い〜ほどほどに飲める体質、「DDタイプ」であればお酒が飲めない体質に分類されます。

二日酔いの頭痛のメカニズムとは?

では、二日酔いになると頭痛が起こるのはなぜでしょうか。先ほど「アセトアルデヒドには毒性があり、血中での濃度が高くなると吐き気や頭痛を引き起こすようになる」とお伝えしましたが、ここではもう少し具体的な説明をします。このアセトアルデヒドには、血管を拡張させる作用があるため、これにより神経が圧迫されることで、頭痛が引き起こされるようになると考えられています。

また、このほかにも二日酔いによる脱水が原因で頭痛が起きているケースもあります。アルコールには利尿作用があるため、いくら大量にお酒を飲んでいても、摂取した水分量より排出される水分量の方が多くなります。このため脱水症状に陥り、頭痛やだるさ、吐き気が起こることがあります。

吐き気はなぜ起こるの?

二日酔いによる吐き気の原因としては、先述のアセトアルデヒドの影響や、飲酒に伴う脱水症状が挙げられます。
またそのほかに考えられるのが、アルコールによる胃粘膜へのダメージです。食事をとらずにお酒ばかり大量に飲んでいると、胃粘膜のバランスが崩れ、胃酸が過剰に分泌されることで、胃のむかつきや吐き気を起こすことがあります。

飲酒後の頭痛は、市販の頭痛薬で治る?

飲酒後の辛い頭痛は、時間が経って体内のアセトアルデヒドが排出されるにしたがって徐々に改善していきます。
しかし、頭痛がある状態で仕事や学校、家事などをしなければないらないことも多く、このような場合には市販の鎮痛薬で頭痛を軽減することも可能です。しかし、鎮痛薬は二日酔いを根本的に改善するものではなく、十分な水分を摂ってアセトアルデヒドの排出を促すことが何よりも大切です。

また、市販の鎮痛薬の多くは胃の粘膜にダメージを与える副作用があり、特に飲酒後、胃が荒れた状態の時に飲むと吐き気や胃痛などの消化器症状が強くなることがあります。服用する場合には、十分な食事を摂った後にしましょう。

飲酒後の頭痛、二日酔いを予防するにはどうすればいい?

頭痛をはじめとする辛い二日酔い症状を防ぐには、飲酒中の対策も必要になります。
第一に、体内のアルコール濃度の上昇を防ぎ、アルコール成分の排出を促すため、飲酒中はこまめに水分摂取することが必要です。理想的には飲酒量と同程度の水分を摂取するとよいとされています。
また、アルコールは胃の粘膜にダメージを与えて胃痛や吐き気などの症状を引き起こすことがありますので、飲酒時には十分な食事を摂って、空腹時の飲酒は避けるようにしましょう。

おわりに:お酒は適量を守り、こまめに水分補給をして二日酔いを防ごう

アセトアルデヒドの影響や脱水症状、体質など、二日酔いの原因としてはさまざまなものがあります。ただ結局のところは、適量を超えた飲酒量が原因で起こるものなので、自分の飲める量をしっかり守ることが大切です。
また、こまめに水分を補給するなどの予防対策も忘れないようにしてください。

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