記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
食べ物や花粉など、アレルギーを引き起こす原因物質にはさまざまなものがありますが、ダニもその一つです。今回はダニアレルギーが引き起こす皮膚症状を中心にお伝えしていきます。
ダニは代表的なアレルゲンの一種で、大半のダニアレルギーは生きているダニそのものではなく、ダニの死骸や糞が原因で起こります。ダニは死骸になると粉々になり、微粒化して糞と一緒に空気中を舞うようになるのですが、これを吸い込むと気管支喘息が起きたり、アレルギー性鼻炎となったり、結膜炎が起きたりします。そしてバリア機能の低下した皮膚からダニのアレルゲンが進入した場合は、アトピー性皮膚炎が引き起こされることがあります。
アトピー性皮膚炎とは、アレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が低下している人に多く見られる、皮膚の炎症を伴う疾患です。具体的には、以下の症状が特徴になります。
ダニアレルギーが原因でアトピー性皮膚炎を発症してしまった場合、完治させるのは難しいのが現状です。ただ、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬の外用、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、漢方薬の内服、保湿剤によるスキンケアによって、症状が悪化しないようコントロールすることは可能です。
また、ダニアレルギーが原因の場合は、アレルゲンの除去という点で、部屋を綺麗にしてダニを退治しておくことが非常に重要です。ダニアレルギーは主にコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニといったチリダニの死骸や糞が原因で、これらのダニは布団やベッド、カーペット、畳、ソファなど高湿度のところを好み、人間の髪の毛やフケ、垢などを餌にして繁殖しています。このため、こまめに部屋を掃除したり、布団を丸洗いしたりして、ダニそのものを極力駆除していくようにしましょう。
アトピー性皮膚炎は子供のときから発症しているケースが多いものの、大人になってからダニやハウスダストなどのアレルギー原因で発症するケースも存在します。湿疹やかゆみなどを繰り返している場合は、重症化する前に皮膚科を受診しましょう。もしダニが原因のアトピーとわかったのであれば、専門治療と並行して、こまめに部屋の衛生環境を整えるよう努めることが大切です。
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