アトピー性皮膚炎の原因ってひとつじゃないの?

2018/9/24

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

アトピー性皮膚炎は身体のさまざまな部位にみられるため、特に肌の露出が多い時期には人目が気になってしまいますよね。今回は、アトピー性皮膚炎を引き起こす原因を詳しくご紹介します。

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アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は強いかゆみがあり、湿疹が繰り返し現れ、アトピー素因をもつことが特徴として挙げられます。赤みを帯びた湿疹や水っぽくジュクジュクした湿疹がみられ、強いかゆみを伴います。また掻きむしることによって、皮膚が厚くなり、ごわごわした肌触りになる傾向にあります。

一般的にアトピー性皮膚炎の湿疹は顔や首、肘や膝などの関節部分の内側に多くみられ、良くなったり悪くなったりを繰り返し、長期間にわたって続きます。またアトピー素因は遺伝が深く関係しており、家族や本人に喘息やアレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎など、アレルギー性の病気をもっている場合や免疫システムが過剰にはたらく「IgE抗体」という物質をつくりやすい体質であることが挙げられます。

アトピー性皮膚炎の原因はひとつだけ?

アトピー性皮膚炎の原因は、大きくわけてバリア機能の低下やアトピー素因などが関係している「体質的要因」と、皮膚への外部刺激やストレス、生活習慣の乱れなどによる「環境的要因」の2つが考えられます。

ただし、どちらか一方のみで発症するのではなく、どちらの要因も重なって発症することが知られています。たとえば、アトピー性皮膚炎は一卵性双生児の方が二卵生双生児よりも一緒にかかることが多いので遺伝的な素因が関与していると考えられますが、小さい頃にしっかり保湿をしておくとアトピー性皮膚炎になりにくくなったというデータもあり、遺伝以外の要素もあると考えられています。

アトピー性皮膚炎の原因①:体質

アトピー性皮膚炎は、何らかの原因で免疫機能が過剰に反応して起こるアレルギー疾患です。先述の通り、これには遺伝が関係する「アトピー素因」が関わっているといわれています。またバリア機能の低下は遺伝が関係している場合もありますが、水分保持機能をもつセラミドの不足や肌の水分不足などが関係しているケースもあります。

 

アトピー性皮膚炎の原因②:環境

アトピー性皮膚炎は、ダニやハウスダスト、食べ物に対してアレルギー反応を起こしやすくなったり、肌の乾燥や汗などの外部刺激で簡単に悪くなってしまいます。室内のこまめな掃除や空気清浄機の使用などで、ハウスダストなどのアレルゲンを除去しましょう。

また自分に合った保湿剤でしっかりとスキンケアを行い、肌の乾燥を防いだり、綿素材などの衣類の着用で肌にできるだけ刺激を与えないことも有効です。

そして日々のストレスや、症状の悪化などによる精神的負担も、アトピー性皮膚炎の悪化を招くといわれています。趣味に時間を使ったり、十分な睡眠をとったり、身体をリラックスした状態に近づけることでストレスを軽減させましょう。

おわりに:アトピー性皮膚炎は、複合的な原因によって起きる

アトピー性皮膚炎の原因は、ひとつとは限りません。その人の体質や環境によって引き起こされ、悪化していく可能性もあります。環境的要因は今日からできる対策もあるため、できることから少しずつ始めていきましょう。

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