記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
一度発症すると、毎年シーズンが来るたびに辛い症状が出る花粉症。病院で薬を処方してもらうのがベストと知りつつも、なかなか時間がとれない間は市販薬だけでどうにか対処したいものです。
では、市販薬だけでも、症状を抑えて花粉シーズンを乗り切ることはできるのでしょうか。ドラッグストアなどで購入できる市販薬と、病院の薬との違いとあわせて解説していきます。
花粉症の症状が比較的軽く、少々のわずらわしさを感じても我慢できる程度であれば、病院に行かずに市販薬のみで対処しても問題はないでしょう。
ただし、花粉症用の市販薬にもたくさんの種類があり、アレルギー反応を起こしている対象やその人の体質・症状の程度によって、選ぶべき薬は変わってきます。
特に常用している薬やサプリメントがある場合は、適当に選んで買った花粉症用の市販薬との飲み合わせによって、思わぬ副作用が出る可能性もあるため大変危険です。市販薬だけで花粉症に対処したいときは、自分の症状や普段飲んでいる薬やサプリメントのことまできちんと薬剤師さんに相談して、選んでもらうと良いでしょう。
なお、症状が日常生活に支障をきたすほど重い・辛い場合、また市販薬を服用しても十分な改善が得られない場合は、耳鼻科の病院で診てもらうことをおすすめします。
花粉症の市販薬と病院の薬における最も大きな違いは入手経路ですが、それ以外では「効き目」「用途・症状」「服用可能な年齢」の3つが挙げられます。
以下に、3つそれぞれの花粉症の市販薬・病院の薬の違いは下記でまとめています。
現在、市販薬として販売されている花粉症薬のなかには、かつては病院でしか入手できなかったような、比較的強い効き目のあるものも含まれています。
種類によっては、安全に市販薬として使用できるように量や成分が調整されているものもありますが、市販薬と病院の薬の効き目はほぼ同程度であると考えて良いでしょう。
医師の判断でさまざまな症状に対して処方される病院の薬とは異なり、市販薬では安全のために使用できる用途・症状が制限され、条件が狭域に設定されていることが多いです。これは、一般の人では症状に応じた薬の使い分けが危険で難しいためで、ピンポイントで症状にあった花粉症薬を使いたいのであれば、処方薬の方が優れているといえます。
一部の薬は、ほとんど同じ成分からできているのに、市販薬や病院薬かで服用可能な年齢が違う場合があります。
これは、小児に対しての薬の適量調整が難しく医師でなければ対応できないため、市販薬として販売するのは危険と判断されているためです。
小児の花粉症対策として薬を服用する場合は、安全面・効き目の両方から見ても、市販薬よりも病院で薬をもらうようにした方が良いでしょう。
花粉症に効く市販薬は様々な種類のものが市販されています。症状が軽度であれば、病院を受診せずに市販薬で対処している人も多いでしょう。
市販されている花粉症の薬には以下のようなものがありますので、それぞれの症状合わせたものを使い分けるようにしましょう。
内服薬はくしゃみや鼻水、目のかゆみなどの一般的なアレルギー症状に対して有用です。種類は大きく分けて、アレルギー反応を抑える「抗アレルギー薬」とアレルギーを引き起こすヒスタミンという成分の働きを抑制する「抗ヒスタミン薬」です。
抗アレルギー薬にはアレグラ®やクラリチン®などがあり、副作用が少ないのが最大の利点です。このため、まずは抗アレルギー薬の服用から始めるのが一般的です。一方、抗アレルギー薬で効果がない場合にはアルガード鼻炎内服薬®やコンタック600プラス®などの抗ヒスタミン薬を使用することもありますが、眠気やだるさなどの副作用が起こりやすいため、運転などには細心の注意を払うようにしましょう。
鼻水や鼻詰まりなどの鼻症状が強い場合は、内服薬と併用して点鼻薬を使用するのがおすすめです。市販の点鼻薬には、アレルギー反応を抑えるステロイドが含まれるものや抗ヒスタミン成分が含まれるものがあります。
目のかゆみや流涙、充血などの眼症状が強い場合に使用するのが点眼薬です。市販の目薬にも抗アレルギー成分や抗ヒスタミン成分、ステロイドなどが含まれるものがあります。
日常生活に支障をきたすほどではなく、我慢できる程度の軽度な花粉症なら、ドラッグストアなどに常駐している薬剤師に相談し、市販薬のみで対処しても良いでしょう。ただし、症状がかなり重い場合や、薬の効き目や服用量をはかることが難しい小児の場合は、病院に行って医師に花粉症薬を処方してもらうのが確実です。花粉症薬は自分や家族の症状や体質にあわせて、薬剤師または医師に相談してから選んでください。