熱性痙攣の原因は?症状が出たときの対処法って?

2018/6/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

乳幼児によく見られる熱性痙攣ですが、熱性痙攣はどのような原因で発症するのでしょうか?また、発症時にはどのような対処をすればいいのでしょうか?熱性痙攣の原因や対処法について解説していきます。

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熱性痙攣ってどんな病気なの?

症状

熱性痙攣の主な症状として

  • 手足を伸ばして硬直する
  • 白目をむく
  • 手足をバタつかせる
  • 顎が震える

などが挙げられます。ただし、症状の現れ方は人それぞれで、一つだけ症状が起こる場合や、複数の症状が組み合わさり起こることもあります。

複雑型の熱性痙攣に注意が必要

熱性痙攣は、単純型と複雑型の2つのタイプに分けられます。

単純型

  • 痙攣が5分以内におさまる
  • 親や兄弟に痙攣既住歴がない
  • 左右対称に痙攣が起こる
  • 24時間以内に2回以上痙攣が起こることはない

以上のような特徴がある単純型は、後遺症が残る確率が低いとされています。

複雑型

  • 一度の発熱で複数回痙攣が起こる
  • 意識がなかなか戻らない
  • 37度台の低めの発熱でも痙攣が起こる

以上のような特徴がある複雑型は、後遺症が残りやすく、年齢を重ねても痙攣を起こす可能性が高いとされています。

熱性痙攣の原因は?

熱性痙攣は、風邪や感染症などに伴う発熱により体温が急激に上がり、脳に痙攣が起こる状態のことで、特に小さな子どもの発症率が高いです。体温上昇により痙攣が起こる理由は未だ解明されていませんが、発達途中の子どもの脳は高熱に反応しやすいために起こりやすいと考えられています。
また、熱性痙攣の発症には遺伝的要素が関係しているといわれていますが、親や兄弟に熱性痙攣の既住歴のある人がいたとしても、必ず発症するとは限りません。

痙攣のような症状がみられたらどう対処すればいいの?

熱性痙攣の基本的な対処法

熱性痙攣の70~80%は、後遺症の可能性が低い単純型なので、まずは落ち着いて対処することが大切です。

基本的な対応

  • チアノーゼ、呼吸抑制、意識消失などの症状があっても、慌てずに対処しましょう。
  • 呼吸を楽にするため、首元やウエスト部分の衣服をゆるめ、頭部を少しそらせましょう。
  • 顔を横に向け、嘔吐物が喉につまらないようにしましょう。
  • 嘔吐物や分泌物が口周辺や鼻孔に溜まったときは、ガーゼなどで拭き取りましょう。
  • 歯を食いしばっている場合でも、口の中に物を入れないようにしましょう。口内を傷つけたり、吐き気を誘発する恐れがあります。
  • 体温を測り、発作の持続時間や症状(痙攣の左右差、眼球偏位など)を記録しましょう。
  • 口から薬や飲み物を与えないようにしましょう。
  • 激しくゆする、大声で呼びかけるなどの刺激を与えることはやめましょう。
  • 医師の許可を得ている場合は、薬剤を使用しましょう。

緊急で医療機関の受診が必要な場合

以下のような症状が見られる場合は、早急な医療機関の受診が必要となります。

  • 10分以上発作が持続する場合※
  • 短い時間内で頻繁に発作が起こり、その間意識障害がある場合
  • 身体の一部の発作、または全身性の症状で部分優位性がある場合
  • 初めての発作の場合(時に1歳未満)
  • 発熱と発作の他に神経症状(重度の昏睡状態、麻痺など)を伴う場合
  • 痙攣の前後に、頭部、嘔吐、意識障害などがある場合
  • 左右非対称の痙攣の場合
  • 痙攣後に麻痺が起こる場合

※ただし、病児保育や保育現場では、痙攣が3~5分間続く場合は単純型の可能性が高くとも、医療機関の受診または救急搬送が必要になります。「保育所における感染症対策ガイドライン」では、5分以上痙攣が持続する場合は早急に受診するように明記されています。

おわりに:5分以上発作が持続する場合は早急に医療機関の受診を

熱性痙攣とは、風邪や感染症などにより体温が急激に上昇したときに、脳に痙攣が起こった状態のことをいいます。熱性痙攣の多くは後遺症の可能性が低い単純型ですが、中には後遺症が残る可能性がある複雑型を発症する場合もあります。5分以上痙攣や意識障害が持続する場合は、医療機関の受診または救急車を呼ぶようにしましょう。

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