花粉症の時期がやってくる前にやっておきたいことは?

2018/6/28

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

花粉症は、アレルギー反応の一種です。通常、私たちの身体を守ってくれている免疫機構が花粉を異物と判断し、過剰に攻撃してしまうことでくしゃみや鼻水、咳や目のかゆみなどの症状が現れます。
今回は、花粉症をレーザー治療する場合の仕組みと受ける時期、花粉症が来る前にできる対策、花粉症シーズン中に気をつけることについて解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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花粉症対策でレーザー治療を受けるのに適した時期は?

花粉症対策のレーザー治療は、症状の出ている最中には行なえません。また、個人差によって症状のひどい人では1回だけでなく2回照射する必要があります。ですから、花粉症シーズンよりも前に照射し、治療を完了させておく必要があります。

花粉症の対策にはレーザー治療も有効

花粉症対策のレーザー治療は、鼻の粘膜に照射してアレルギーの反応部位のみに働きかけ、アレルギーを起こす場所を減らしたり反応を鈍くしたりする方法です。嗅覚や呼吸機能を破壊することなく行う治療法で、薬物療法と違い眠気が生じないため、アレルギー鼻炎の方にも有効です。

治療を受けるのに適した時期はいつ?

花粉症のレーザー治療は、症状の出ている最中には行うことができません。また、シーズン開始よりも前に治療を済ませておく必要があります。ですから、スギ花粉やヒノキ花粉の落ち着く5〜6月頃に治療を開始するのがよいでしょう。

遅くとも10月上旬〜翌1月上旬には受け始めておくと、本格的な花粉の飛来シーズン前に治療を行うことができます。

レーザー治療の注意点は?

花粉症のレーザー治療の注意点は、以下の4つです。

  • レーザー治療は鼻粘膜のみの治療であり、目の治療は別途治療が必要
  • レーザー治療は永久ではなく、効果は1〜3年程度
  • 個人差はあるが、やや痛みを感じることがある
  • 個人差はあるが、術後に鼻粘膜の腫れ、鼻水、くしゃみなどが1週間程度続く場合がある

レーザー治療は、鼻のアレルギー反応部位のみを狙って照射するため、目やのどなどには効果がありません。目やのどなどには別途薬物療法などの治療を行いましょう。

また、副作用はほとんどありませんが、術後に刺激反応性の粘膜の腫れや鼻水、くしゃみなどが1週間程度続く場合があります。異常ではありませんが、1週間以上続くようであれば再度医師の診察を受けましょう。

花粉症の時期がくる前にやっておきたいことって?

次に、花粉症の時期がくる前にできるその他の対処について解説します。

自分の症状を把握しよう

まず、花粉症シーズンが終わったら、自分の症状を自覚しましょう。鼻水や目のかゆみ、くしゃみ、咳など、自覚症状を一通り確認します。

そして、自分の症状を把握したら、

  • 薬・レーザーなど医師の診察と治療が必要なもの
  • 生活習慣・環境などで改善できること
  • 花粉症グッズなど、症状が出た場合に必要なもの

などをまとめておきましょう。

生活習慣・食習慣の改善をしよう

生活習慣・食習慣の改善は、主に3つのポイントが重要です。

改善内容 概要
お酒・タバコを控える
  • アルコール…花粉症の原因となるヒスタミンを生成する
  • タバコの煙…鼻の粘膜を刺激して鼻の症状を悪化させる
免疫力を高める食事をとる
  • 腸内環境を整える…発酵食品や野菜・果物をとる
  • 免疫機能正常化…青魚をとる
睡眠時間をしっかりとる
  • 睡眠時間が短いと免疫力低下やホルモンバランスが乱れ、症状が悪化する

お酒に含まれるアルコールは、血管を拡張させて鼻づまりや目の充血などの症状を引き起こします。また、花粉症のアレルギー反応の原因となるヒスタミンを生成する働きがあるため、症状をより重くしてしまいます。

免疫力を高める食事では、発酵食品や食物繊維は腸内環境を整え、過剰な炎症やアレルギー反応を出にくくしてくれます。また、青魚に含まれるEPA・DHAなどは免疫機能を正常化してくれる働きがあり、こちらも過剰なアレルギー反応を抑制してくれます。

医師に相談しよう

花粉症の症状が出始めたら、飛散がおさまるまで、勝手に症状が落ち着くことはありません。症状が出た場合は、医師に相談し、薬物療法などの症状を抑える治療を行いましょう。

本格的な花粉症の時期がやってきたら

最後に、本格的な花粉症の時期がやってきたときに取るべき対策についてお話します。

自宅や室内でできる花粉症対策は?

対処法 ポイント
ドア・窓をしっかりしめる
  • 花粉は「持ち込まない」「入り込ませない」という意識
換気は日や時間帯を選んで行う
  • 花粉は気温の上昇と共に飛散量が増す
  • 雨の日の翌日にも飛散量が増す
  • 天気予報で飛散量の少ない日や、日の出直前の早朝がベスト
  • 午後1時〜3時、午後5時〜7時は飛散量のピークなので避ける
部屋の掃除をこまめにする
  • 外から持ち込んだ花粉を除去する
洗濯物干し・取り込み時の注意
  • 干すのはできるだけ午前中に行う
  • 取り込む時は叩かず、花粉を払い落とす
  • 洗濯物に花粉除けのカバーなどをかけておく
  • 取り込んだ洗濯物が通った後、室内にクリーナーをかける

自宅や室内にはまず、「持ち込まない」という意識が鉄則です。また、洗濯物を取り込むときには、決して叩いてはいけません。叩いてしまうと布団や衣類の繊維の間に花粉が入り込んでしまいます。叩くのではなく、はたき落とすという意識で行いましょう。また、あらかじめ洗濯物用の花粉カバーなどをかけておくのも有効な手段です。

外出時にできる花粉症対策は?

対処法 ポイント
飛散量の多い日の外出は避ける
  • 雨風の強い日や、天気予報で飛散量の多さが指摘された日は避ける
衣類の防備をしっかり行う
  • 花粉付着防止スプレーなどを噴霧する
  • 毛のついた衣類や静電気の発生しやすい素材は避ける
  • 帽子やメガネ、マスクで目や口から入らないよう対策する
家に入るまえに花粉を払い落とす
  • 花粉を落とす専用のブラシ、粘着クリーナーを使う
  • 使ったブラシや粘着クリーナーは玄関か外に置き、室内に持ち込まない
  • 洗濯物同様叩かず、払い落とす
手洗い・うがいの徹底
  • 手の皮膚や爪の間に付着した花粉を洗い落とす
  • 呼吸によってのどや口に残っている花粉を洗い落とす

外出時にはどうしても花粉がつくのは避けられません。そこで、できるだけ花粉の飛散量の少ない日を選んで外出し、外出時にはマスクやゴーグルはもちろんのこと、花粉付着防止のスプレーなどを使用して出かけるとよいでしょう。

帰宅したら、室内に入る前に玄関ないしドアの外で粘着クリーナーやブラシなどを使い、一通り花粉を落とします。使ったブラシや粘着クリーナーには花粉が大量についていますので、これもできれば室内に持ち込まず、外に置いておけるとよいでしょう。

おわりに:花粉症は事前の対策が有効!シーズン前に対策を

花粉症は、シーズンが始まりアレルギー反応が症状として現れてしまった後にできるのは対症療法のみです。症状が起こるまえにできる限りの対策を行っておくのが、花粉症シーズンを乗り切るコツです。

また、花粉症は治療によって完治する疾患ではありません。あくまでも身体の免疫機構の一部ですから、生活習慣や環境、食生活を改善することで、過剰な免疫反応を抑制し、身体の内側から症状を改善することもできます。

花粉症シーズンが始まる前に、しっかり花粉症対策を行いましょう!

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