記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
あまり知られていませんが、日本のギャンブル依存症の患者は、諸外国と比べてかなり多いといわれています。そして、特に日本に多いのはパチンコの依存症なのですが、これは何が原因なのでしょうか?家族のパチンコ依存を止めるために知っておきたい、入店システムの話も併せてお伝えします。
国内の成人1万人を対象に厚生労働省が行った調査(うち有効回答は4685人)によれば、「生涯でギャンブル依存症が疑われる状態になったことのある人」は全体の3.6%、およそ158人に昇ることが判明しました(2017年時点)。20〜74歳の全人口に当てはめると、およそ320万人という規模になる数値です。
これを諸外国と比較すると、オランダの場合は1.9%(2006年時点)、フランスは1.2%(2011年時点)、スイスは1.1%(2008年時点)で、日本には高い割合でギャンブル依存症の人がいることがわかります。
先述の調査の、ギャンブル依存症が疑われる状態になったことのある158人のうち、大多数を占める123人はパチンコやパチスロに最も多くお金を使ったことがわかっています。事実、日本のギャンブル依存症はパチンコやスロットなどのゲームマシンによるものが圧倒的に多く、これに競馬、麻雀が続きます。一方、ポーカーなどのカードゲームでの発症は少ない傾向にあります。
そして、日本人にパチンコやパチスロのギャンブル依存症が多いのは、国内にパチンコやパチスロなどの遊技場が数多く存在し、日常的にギャンブルを楽しめる環境が関連していると考えられています。特にパチンコやパチスロ店は、競馬や競輪とは違ってお店が身近にあり、いつでも遊べてしまう手軽さ、アクセスの良さが一因となっているようです。
2017年12月、「ギャンブル等依存症対策法案」の流れを汲んで、パチンコ店における「家族申告プログラム」の導入が国会で決まりました。
従来も一部のパチンコ店で、遊戯客がお店に月間の使用金額の上限を伝え、金額を超えたらスタッフに声掛けをしてもらう「自己申告プログラム」が導入されていました。「家族申告プログラム」はこの自己申告プログラムの内容をさらに充実させたもので、家族が申し入れれば、遊戯客の入店や遊戯を制限することができます。
もし入店や遊戯をしてはいけない客が入店した場合は、店舗のスタッフが退店を促し、また該当客の写真をスタッフ間で共有し、巡回やカメラなどでも監視するようになっています。
ただし、すべてのパチンコ店がこの自己・家族申告プログラムを導入しているわけではなく、例え一つの店舗で家族申告をしても、遊戯者がプログラムを導入していない他の店舗に行ってしまった場合は止められない、などの問題点があるのも事実です。
ギャンブル依存症の相談窓口としては、主に以下のものがあります。お困りの方は、一度電話で相談してみましょう。
【 厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】
日本にギャンブル依存症が多いのは、パチンコやパチスロの店舗が身近なところに数多く点在していることが一因と考えられています。家族のパチンコ依存でお困りの方は、「家族申告プログラム」の導入店であれば入店や遊戯の制限をかけられますが、まだまだ制度として抜けがあるのも事実です。根本的な解決のためには、本人やご家族が適切な対処の仕方を知っておくことが重要なので、一度専門機関にご相談ください。
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