記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
国の難病に指定されている「シェーグレン症候群」。特に中年以降の女性の発症率が高い病気ですが、診断のためにはどんな検査が行われるのでしょうか?特徴的となる症状と併せてお伝えしていきます。
シェーグレン症候群は、2015年に国の指定難病に認定された自己免疫疾患のひとつです。人間の免疫機能は、外部から侵入した細菌やウイルス、異物などを排出したり免疫細胞が食べたりしながら、自分の体を守っています。しかし、自己免疫疾患では、自分の体そのものに対して免疫反応が起きて攻撃してしまいます。
シェーグレン症候群では、涙腺と唾液腺での症状が中心ですが、原因もあらわれる症状も複雑なため、以下のような検査を組み合わせて診断や治療方針を決めていきます。
顕微鏡で細胞の状態を観察する検査です。シェーグレン症候群では、涙腺と口唇小唾液腺の組織を観察します。
シェーグレン症候群では、唾液の分泌量が減少します。そのため、MRIなどで唾液腺の異常を確認したり、唾液の分泌量について測定したりします。
唾液量の検査は2種類あり、検査用のガムを噛んで一定時間内に分泌された唾液の量を測るガムテストと、ガーゼを一定時間噛むことでガーゼに吸収された唾液の重さを測るサクソンテストがあります。
シェーグレン症候群では目が乾燥するドライアイの症状があらわれます。そのため、涙の分泌量の測定を行います。専用のろ紙を下瞼にあてて、一定時間でどの程度濡れるかを測定するシルマー試験や、色素の入った目薬を点眼して、結膜や角膜の状態を観察するローズベンガル試験・蛍光色素試験があります。
シェーグレン症候群は自己免疫疾患であるため、自分の体に対する抗体ができます。血液検査を行うことで確認を行います。
上記4つの検査内容において2つ以上が異常である(陽性)と認められた場合、シェーグレン症候群と診断されます。
シェーグレン症候群の特徴である目や口の乾きは比較的よくある症状で、初期には眼科や歯科口腔外科を受診してしまう人もいます。しかし、シェーグレン症候群はリウマチを含む膠原病と同じく自己免疫疾患のひとつです。シェーグレン症候群が疑われる場合には、リウマチ膠原病を専門としている科やクリニックを受診しましょう。また、他科を受診したとしても、必要であれば受診をすすめられることもあるでしょう。
シェーグレン症候群は中年期以降の女性に多い疾患です。症状の特徴は目や口の乾燥で、目がゴロゴロしたり疼痛を感じることもあります。また、唾液量が減ることで虫歯が増えたり、食べ物が食べづらかったりということを訴える人もいます。慢性化すると、頭痛やめまい、うつ傾向や、肌荒れ、皮ふの発疹、発熱などさまざまな全身症状があらわれることがあります。
もし、目や口の乾燥が気になっており、改善の傾向がみられないというときには、なるべく早く医療機関を受診しましょう。
シェーグレン症候群は、国の指定難病にもなっている自己免疫疾患のひとつです。診断までには、いくつかの検査を行い、総合的に判断することが必要です。眼科や歯科の疾患と間違えられやすい症状ですが、リウマチ膠原病を専門としている科で治療を受けることが望ましいでしょう。慢性化すると、さまざまな全身症状があらわれることもあります。気になるときは早めに医療機関を受診してみましょう。
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