ノンアルコールビールでの禁酒がおすすめできない理由とは?

2018/7/23 記事改定日: 2019/10/4
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

一度飲酒の習慣がついてしまうと、なかなかお酒はやめられないものです。
禁酒を成功させるにはどうすればいいのでしょうか?おすすめの禁酒方法や、ノンアルコールビールでの禁酒の問題点などについてお伝えしていきます。

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ノンアルコールビールでの禁酒には、どんなリスクがある?

どういう理由で禁酒をするのかによりますが、まず、アルコール依存症の方が禁酒をするのであれば、ノンアルコールビールには要注意です。

ノンアルコールビールはアルコール自体はほぼ含まれていませんが、ビール風の味が飲酒欲求を刺激し、飲酒生活に逆戻りしてしまうリスクを否定できないからです。飲む前には必ず主治医に相談してください。

ダイエット目的でも注意が必要

ダイエット目的での禁酒であっても、安易にノンアルコールビールに頼るのはおすすめできません。

これは、ノンアルコールビールのなかには味を整えるために糖類が含まれているものがあるからです。
ノンアルコールだからといって糖類が入っている製品をたくさん飲んでしまうと、糖質を大量に摂取することになってしまい、カロリーオーバーでかえって太ってしまう可能性があります。

また、ノンアルコールビールには人工甘味料や着色料、酸化防止剤などの添加物が入っていることがありますが、こうした添加物を処理するために、体内ではビタミンやミネラルが消費されてしまうことがあります。

ビタミンやミネラルが不足すると、糖質などの異化が低下し、ダイエット効果が得られにくくなる可能性も考えられます。

おすすめの禁酒方法は?

禁酒を成功させるには、飲み会の回数を減らす必要があります。飲み会はできるだけ断るようにしましょう。

「ノンアルコールビールやソフトドリンクを飲めば」と考えがちですが、同席した人のお酒をすすめられたら断りにくいですし、雰囲気に流されてついつい飲んでしまうこともあるでしょう。

断る口実がないという人は、「習いごとを始めた」「家族との先約」「血液検査にひっかかった」「体調が悪い」などを理由に断ってみてはいかがでしょうか。

ストレス解消で一人酒を飲む人は…

普段ストレスが溜まっている人は、ストレス解消のためにお酒に頼ることも多いかもしれませんね。
ただ、飲酒によって得られる快感は一時的なものであり、根本的にストレスは解消しません。ストレスの原因ときちんと向き合って、解決策を考えることが重要です。

「ストレスで飲みすぎてしまうけれど、根本原因を解決するのは難しい」「時間があるとなんとなくお酒を飲んでしまう」という人は、お酒に代わる新しい趣味を見つけましょう。
好きなことに打ち込むことでストレスが発散され、お酒に依存する時間も徐々に減らしていくことができます。

運動

ストレスから飲酒をしてしまう方や、夜寝付けないために飲酒をしてしまう方などに特におすすめの方法です。毎日適度に体を動かす時間をつくると、心身のストレスが軽減され、ほどよい疲れで入眠しやすくなります。

減酒外来では、どんなことをするの?

減酒外来はまだ全国的には広く普及していませんが、アルコール依存症などの治療を行う専門外来として広まりつつあります。

本人の意思だけでは飲酒をやめられない、飲酒量を減らせないという人に、お酒を完全にやめるのではなく「お酒の量を調節して上手くお酒と付き合っていく」ことを目標にした治療が行われます。

具体的には、脳に働きかけて飲酒要求自体を抑制するナルメフェン®、アルコールの分解を抑制して二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの蓄積を促して飲酒した後に不快症状を引き起こすジスルフィラム®などを用いた薬物療法が行われます。
また、並行して認知行動療法などの精神療法やカウンセリングなどが行われることもあります。

おわりに:安易にノンアルコール飲料に頼るのではなく、目的と原因を明確にしよう

ストレスやなんとなくの習慣など、お酒を飲む理由にはさまざまなものがあり、その理由によって推奨される禁酒方法は異なっていきます。
どうしても禁酒ができないという人には、減酒外来などの専門外来を受診するのも一つの手なので、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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