子どもが学習障害(LD)と診断された!

2017/1/16

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

読み・書き・計算力などの理解が困難なことを学習障害(LD)といいます。LD児は、的確な診断と検査が必要で、一人ひとりの能力に応じた対応策が求められます。LDに注意・欠陥多動性障害(ADHD)や高機能自閉症などを伴うときは、それらを考慮した学習支援が必要で、家庭と学校、医療関係者の連携が欠かせません。ここでは、LDがどのような影響を与えるのかについて触れます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

LDとは何ですか?

LDは、読み書きの特異的な障害、計算能力などの特異的な機能に影響を及ぼす発達障害のひとつです。この特異的な障害は、知的な遅れや視聴覚障害がなく十分な知的能力があるにもかかわらず起こり、発達性ディスレクシアとも呼ばれています。
LDでは、以下のことが困難になることがあります。
・新しい、または複雑な情報の理解
・新しい技術を習得すること
・自立した対処の方法

LDに程度はあるのでしょうか?

LDの程度には、軽度・中等度・重度があります。軽度では、新しい技術の習得には少し時間がかかるものの、問題なく会話したり自分の世話をすることができます。それ以外は、全く会話することができず、さらに複数の障害を伴うこともあります。

LDは学習困難や精神疾患とは異なり、その程度にも個人差があります。比較的自立している子もいれば、入浴や服を着るといった日常生活動作に手助けが必要な子もいます。そのため、LDでは特別な教育と支援が必要です。

重度重複学習障害(PMDD)

複数の障害をもち、さらにその中で最も顕著なものがLDであった場合、重度重複学習障害(PMDD)と診断されます。PMDDと診断された子どもの多くは、知覚的または身体的障害、あるいは精神的な問題をかかえています。PMDDは、食事、洗濯、トイレへなどの日常生活のほとんどで介助者を必要とします。

どのような支援が必要ですか?

ダウン症などの発達障害は、出生時に診断されます。しかし、LDでは子どもが話したり歩いたりするようになるまで発見されないことがあります。LDと診断されると、医師やあらゆる分野の専門家チームのサポートが必要になります。小児科医、言語療法士、理学療法士、教育心理学者、臨床心理学者といった専門家は、LD児ができるだけ長く自立した生活を送れるようにサポートしてくれます。

どうしてLDになるのでしょう?

LDの原因は、はっきりわかっていませんが出生前、出生時あるいは幼児期のいずれかの時期に、脳の発達が障害を受けて起こるとされています。
脳の発達に悪影響を及ぼす要因としては、以下のものが挙げられます。
・妊娠中の母親の病気
・出生時の傷害によって脳に十分な酸素が供給されなかったとき
・特定の遺伝子をもつ
・LDを起こす可能性のある特定の遺伝子を両親から受け継いだとき(遺伝性学習障害)
・髄膜炎などの病気、または幼児期の傷害
LDには脳性麻痺などのいくつかの疾患が関係していることもあります。たとえば、ほとんどのダウン症は、LDや脳性麻痺がみられます。自閉症やてんかんもLDとなることがあります。

おわりに

学校は、LDや発達障害の特別支援をするために教育機関や医療機関と連携し「特別支援教育コーディネーター」を設置することが義務づけられています。LDと診断されても心配しないでください。軽度、中等度では、普通に学校生活が送れます。LD児にとって一番の支援は、病気を理解し、見守ってあげることではないでしょうか?

関連記事

この記事に含まれるキーワード

子ども(66) LD(3) 学習障害(15) 重度重複学習障害(1) PMDD(3) 発達障害(22)