記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
皮膚に赤い斑点や突起ができ、かゆくなる湿疹の症状。でも実は湿疹にみえる症状のなかには、湿疹に似ているけれども湿疹とは別の症状でかゆみを伴わないものがあるのを知っていますか?
今回はかゆみを伴わない湿疹について、かゆみのない湿疹の正体や見分け方、できてしまったときの対処法などをご紹介していきます。
かゆみのない湿疹に似た発疹にはさまざまな種類があり、盛り上がりや硬さの有無や発生する位置、また発疹の色合いなどで判別することができます。
以下に、かゆみを伴わない湿疹に似た発疹で代表的なものを4つ、それぞれの見分け方のポイントとあわせてご紹介します。
皮下にごく小さな内出血ができ、赤紫色の米粒ほどの大きさの点々として皮膚に浮き上がります。痛みやかゆみ、しこりを伴わず、両手足のいずれかにできやすいのが特徴です。
慢性的に静脈の血流が滞ることで、赤い湿疹が多発したような見た目になります。
基本的には下肢のみにでき、早めに処置しないと体液の漏出や細胞の壊死、潰瘍など深刻な事態になる可能性もあります。
毛包炎(もうほうえん)とも呼ばれ、細菌による炎症が毛穴で起こって、毛穴が赤く変色して斑点のように見えるのが特徴です。
体毛を処理した後に現れやすいですが、毛穴のある部位であれば全身に現れることがあります。
さくらんぼ血管腫と呼ばれることもある、良性の血管腫です。加齢とともに増えますが、年齢に関係なく顔・胸・腕・背中などの皮膚に発生するもので、早ければ思春期ごろから鮮やかな赤色の斑点、または隆起した米粒大の赤い盛り上がりが発生します。
ここからは、前項で紹介した単純性紫斑・鬱滞性皮膚炎・毛嚢炎・老人性血管腫のかゆくない湿疹に似た発疹ができた場合の、適切な対処法をそれぞれ解説していきます。
単純性紫斑の出現は体質によるところが大きく、他の疾患によるものではないため、特に治療をすすめる必要はないとされています。
マッサージや弾性ストッキング・弾性包帯などを着用して足を圧迫し、滞っている血流を押し出して流すことで治療していきます。
原因である毛穴の汚れや雑菌の繁殖を防ぐため、以下の対策を実行して治療・予防します。
放っておいても悪化することはないため、大きくなったり出血するなどの症状が出ない限りは、特に治療の必要はありません。
ここまでに紹介した原因以外にも、患者の体質によっては常用している薬やサプリメントの副作用として、かゆくない湿疹が発生することもあります。
これは常用している薬・サプリメントがその人の身体に合っていないことを表す危険信号であり、放っておくと重症化して命に関わる状態になりかねません。特定の薬・サプリメントの服用開始から1~2か月を目安にかゆくない湿疹ができ、なかなか治らないようであれば、重症化する前にすぐ皮膚科を受診してください。
皮膚科では原因となった薬の特定と服用禁止の指示とあわせて、ステロイドの外用・内服薬の処方や、抗アレルギー・抗ヒスタミン剤などによる治療が進められます。
本人の体質や毛穴の炎症、血液の滞りが原因のものや良性の血管腫・薬疹まで、かゆみを伴わない湿疹にはさまざまな種類があります。特に治療を必要としないものもありますが、皮膚や血管の疾患、特定の薬・サプリメントへの副作用が原因の場合は、早期の治療開始が推奨されます。治療の必要がある湿疹かどうか、素人では判断が難しいケースもあるので、気になる症状があればまずは皮膚科の医師に相談してください。
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