記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/11/26
記事監修医師
前田 裕斗 先生
女性の場合は悪臭のあるおりものや腟のかゆみ、男性の場合は尿道の膿やかゆみなどを引き起こすことがある「トリコモナス」。このトリコモナスの治療では、どんな薬が使われるのでしょうか。また、通販や薬局などで市販もされているのでしょうか。
トリコモナスとは、性行為などによって「腟トリコモナス原虫」が性器内に侵入することで発症する感染症です。男性の多くにはほとんど自覚症状は現れませんが、女性の半数以上は、腟の激しいかゆみや、泡状の悪臭を放つおりものなどの症状に見舞われます。
このトリコモナスの治療では、経口薬のフラジール®(メトロニダゾール)250mgを1日2錠、10日間内服するのが基本です。また、近年ではメトロニダゾール1.5gを単回投与する治療法も行われています。
腟トリコモナス原虫は腟だけでなく、尿道や子宮頸管などに感染を広げていることも少なくないため、基本的にはフラジール®(メトロニダゾール)の内服による治療が推奨されています。
しかし女性患者で、感染箇所が腟に限定される場合は、腟錠単体による治療が実施されることも多いです。経口投与が難しい女性患者の場合は腟錠による治療が、また難治例や再発例の場合は、内服薬と腟錠の併用治療が行われます。
また、妊娠中のトリコモナス患者の場合は、メトロニダゾールを内服すると胎盤を通じて胎児に影響を与える恐れがあるため、血中の移動がわずかとされる腟錠を代わりに使用します。
腟錠を挿入する際は、処方された腟錠に同封されている使用方法をご参照ください。基本的な入れ方の手順は、以下の通りです。
挿入後は軽い異物感がありますが、30分ほど経過すれば、完全に溶解します。また、挿入後30分程度は激しい運動は控えるようにしてください。
トリコモナスの腟錠は、生理中の挿入はできません。終わったタイミングで、挿入するようにしてください。
性病科などを受診するのが恥ずかしいという思いから、市販薬での治療を希望される方も少なくないようですが、トリコモナスの治療薬は現在薬局やドラッグストアなどでは市販されていません。
個人輸入の治療薬を取り扱っている通販サイトもありますが、安全性や効能などの保証がなく、万が一異変が出てしまった場合も自己責任になってしまいます。また、トリコモナスは性行為以外の原因(感染者と同じ浴槽に入る、タオルや下着を共有するなど)でも感染することはあるので、後ろめたく思う必要はありません。必ず医療機関を受診し、薬を処方してもらうようにしてください。
トリコモナスの治療ではフラジール®(メトロニダゾール)の内服が基本ですが、女性の場合は腟錠を使って治療をしていく場合もあります。トリコモナスの炎症範囲に応じて適した治療法は異なっていくので、通販の薬などを自己判断で使用せず、必ず専門医の指示に従いましょう。
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