不妊治療のタイミング法とは?費用や期間はどのくらい?

2018/9/19

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

タイミング法は、たいてい不妊治療の最初の段階で行われる治療法です。排卵の時期を予測し、精子と卵子の出会うタイミングを合わせることから、タイミング法と呼ばれています。
では、タイミング法とは具体的にどのようなことをするのでしょうか?また、費用や期間はどのくらい行うものなのでしょうか。実際に詳しく見ていきましょう

不妊治療のタイミング法とは?

タイミング法とは、夫婦生活のタイミングを排卵時期に合わせる方法です。精子は、射精後数日〜1週間の間生存していられますが、卵子は排卵後、約24時間しか生存していられません。

そこで、排卵日の2日前から排卵日当日の間で夫婦生活を持ち、卵子の生存している期間に卵子と精子を出会わせ、受精を起こそうとするのがタイミング法です。

排卵っていつ起こるの?

卵子は、卵胞という小さな袋の中で育ちます。卵子が成長すると共に卵胞も大きくなります。卵子の直径は1日に約2mmずつ成長し、18mm〜20mm程度になると排卵が起こります

これをもとに、排卵日を推定することができます。また、尿中や血中のホルモン濃度を測定して排卵日を予測する方法もあり、補助的に使われることもあります。

基礎体温で排卵日はわかるの?

基礎体温でも、排卵の時期をざっくりと知ることは可能です。しかし、基礎体温からはあくまでも予測ではなく「排卵が起こった」という結果しかわからないのです。

タイミング法を行うためには、排卵日よりも前により正確な排卵日の予測を立てなくてはなりません。基礎体温表は、あくまでも「排卵が概ね正常に行われている」という体の状態を知るだけにとどめ、排卵予測は卵胞の大きさやホルモン濃度で立てましょう。

タイミング法にかかる費用ってどのくらい?

タイミング法は、保険適用の診療です。そのため、自費診療となる人工授精や体外受精と比較すると非常に費用を抑えられます。1回あたりの診察で2,000〜3,000円、1周期あたり10,000円程度となります。

卵胞の育ち方が不規則である、成長が遅いなどの場合、卵胞チェックに何度も通院する必要があります。その場合、卵胞の大きさを測る超音波検査が月に2回以上となると保険適用外となり、1回あたり4,000円程度がかかります。何度も確認して正確な排卵予測が必要な場合、合計で20,000円程度になることもあります。

排卵誘発剤を使うときって?

タイミング法でも、排卵誘発剤を使う場合があります。初診時の検査で卵が育ちにくい、排卵しにくいとわかってる場合や、患者さんの希望がある場合などです。

自然に排卵を待つよりも排卵の確実性が上がる一方で、双胎以上の多胎妊娠になる可能性や、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になる可能性もあり、使用には医師と充分に相談する必要があります。

排卵誘発剤は保険適用となりますので、こちらもそれほど高額になることはありません。内服薬の場合1周期あたり500円程度、注射の場合1回1,000円前後で、1周期あたり1〜数回打つ必要があります。

タイミング法って具体的にどんなことをするの?

それでは、タイミング法は具体的にどのような流れで行われるのでしょうか?それぞれの時期について、詳しく見ていきましょう。

タイミング法開始〜排卵予測

まず初めに、過去の基礎体温表を見て、低温期から上昇期の数日間を排卵日の期間と推定します。基礎体温表がない場合、つけ始めたばかりの場合は、月経周期から推定します。

卵を排卵した後の袋である黄体の寿命は約14日と、ほとんどの女性で一致していることが知られています。これにより、月経周期が28日型と規則的であれば、月経開始からおよそ14日目が排卵日と推定することができます。

推定した排卵日付近になったら来院し、経腟超音波検査によって卵胞の大きさを測ります。卵胞の大きさは1日あたり2mmで成長し、18〜20mmで排卵することがわかっていますので、そこから排卵日をより正確に推定します。

また、排卵が近づくと、精子が侵入しやすいように頸管粘液という子宮入り口の粘液の性質が変わります。この変化を顕微鏡下で観察することでも、排卵が近づいていることを確認できます。

卵が育ちにくい場合などは排卵誘発剤を使うことがあります。クロミッドやhMGの注射などで卵胞を育てながら、成長具合によって排卵日の予測を立てます。

タイミング法実施日

卵胞の大きさ、子宮頸管粘液に加え、排卵直前になるとLHというホルモン(黄体化ホルモン)が急激に放出されるためこの値を調べることもあります。LHは血中だけでなく、尿中にも大量に検出されるため、簡単に行えて結果もすぐにわかる尿検査を行うことが多いです。

また、排卵が起こりにくいとわかっているときなど、自然なLHサージを待たず、hCGの注射やブセレキュアなどを使って強制的に排卵を起こす場合があります。この場合、注射や点鼻薬使用後、約36時間で排卵が起こります。

これらの排卵予測日の2日前〜当日に夫婦生活を行い、自然妊娠を待ちます。

経過観察〜妊娠成立

夫婦生活を行った後は、自然妊娠を待ち、次週期の月経が来なければ妊娠検査薬と血液検査を行い、妊娠が成立したかどうかを確認します。検査薬と血液検査のどちらでも妊娠していると判断された場合は、そのまま経過観察が行われます。

受精後、約4週間でhCGというホルモンの上昇が見られ、妊娠成立と判断されます。そのまま妊娠が継続すれば約5週目に子宮内部に胎嚢という胎児の袋が見られ、臨床妊娠という状態になります。胎児の心拍が確認できるのは、約6週目です。

心拍が確認できた後は産科施設での管理となり、産科を併設しているクリニックでない場合は転院の必要があります。不妊治療のクリニックが産科を併設していない場合は、あらかじめ妊娠成立後に通う産科の目星をつけておくと良いでしょう。

タイミング法は何回目ぐらいで妊娠できる?

タイミング法は、ほとんどの過程を自然妊娠と同じ状態で行うため、妊娠できるかどうかは個人差によるところが大きいです。すぐに妊娠できる人もいれば、1年以上続けても妊娠できないことも珍しくありません。

ですから、一概に何回目で妊娠できると言うことはできませんが、一般的には3〜6ヶ月程度を目安とし、この間に妊娠できなければタイミング法をやめ、人工授精などのステップアップを勧めるクリニックが多いです。

タイミング法を成功させるポイントは?

タイミング法を成功させるには、以下のポイントに注意すると良いでしょう。

  • 排卵時期の正確な把握
  • 健康的な体作り
  • ストレスをためない
  • パートナーの協力

タイミング法で最も重要なことは、排卵時期を正確に把握することです。基礎体温はもちろんのこと、卵胞の直径、頸管粘液、LH濃度など、材料が多いほどより正確に排卵予測が立てられます

また、健康的な体を作ること、ストレスをためないことも非常に重要です。ストレスが溜まったり、睡眠不足や栄養不足が続いたりしているとホルモンバランスを崩したり、血行が悪くなったりします。適度な運動や半身浴など、リラックスできて血行が良くなることを行うと良いでしょう。

タイミング法では望む成果が得られない場合、次のステップは?

タイミング法は、一般的に3〜6周期、約3〜6ヶ月行うことが多いです。6周期が終わっても妊娠しない場合、次のステップである人工授精に進むことが推奨されます。

人工授精は、精子を洗浄・濃縮し、質の良い精子を選別して子宮内に送り込むことで、効率よく卵子との受精をはかる方法です。これも6回程度を目安とし、妊娠が成立しない場合は次の体外受精へと進みます。

人工授精を飛ばすこともあるの?

タイミング法の次は人工授精へとステップアップしていくのが一般的ですが、タイミング法と不妊検査を同時進行している場合、その検査結果によってはタイミング法を中止し、人工授精を飛ばして体外受精へ進むこともあります。

それは、卵管が詰まっていたり、排卵が上手くいっていなかったりして、体内で自然に妊娠するのが難しい場合です。また、精子の量が少ない、明らかに形態がおかしいものが多いなど、男性側に原因がある場合も、すぐに体外受精に移ることがあります。

おわりに:タイミング法は自然で手軽な治療法。普段から基礎体温をつけるようにしよう

タイミング法は、不妊治療でまず初めに行われる治療法です。侵襲性が少なく、排卵誘発剤も使わない場合はほぼ自然な状態で妊娠することも可能です。
しかし、タイミング法を行うためには、まず規則的に排卵が起こっているかどうかを基礎体温表などで確認する必要があります。妊娠を希望される女性は、不妊治療を始める前でも、毎日基礎体温をつけておくと良いでしょう。

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