記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/9/6
記事監修医師
前田 裕斗 先生
不妊の原因は男女ともにある可能性があり、男性が原因であることも決して少なくありません。
男性の不妊の原因のひとつである「精子無力症」をご存知でしょうか。
以降の記事で詳しく解説していきますので、不妊に悩んでいる人 ― 特に男性 ― はしっかり理解しておきましょう。
精子は正常な場合、その運動率は55%以上、おおむね60~80%はあるといわれています。そして、精子は年齢に伴い運動率は低下していき30歳代と比較すると50歳代は精子運動率は3~37%にまで低下するとされているように、加齢と精子の運動率は大きく関係しているのです。
つまり、最初の検査では運動率が正常範囲内であったとしても、数年後に検査をしたら運動率が落ちているということもあり得るということになります。
また、精子の運動率が基準にまで満たないという場合は精子無力症という病気の可能性も考えられます。
精子無力症の精子の運動率は40%以下であり、その場合も妊娠が難しくなります。運動率が低くなくても、前進する力がない精子の割合が32%以下であった場合も、精子無力症という診断がつくこともあります。
精子無力症のはっきりとした原因は分かっていませんが、環境ホルモン等の有害物質、ストレスなどが関係しているのではないかと考えられています。また、後天的な原因として、精索静脈瘤という病気が引き起こすこともあります。
精索静脈瘤は、精巣から静脈内に戻る血液が逆流してしまうことによって起こります。血液が逆流してしまうと精巣内の周りに瘤ができ、温められた血液が精巣へと逆流してしまうことで精巣内の温度が上がり、精子をつくるのに適した環境を保つことができなくなってしまうのです。
精子の運動率が極端に低くなければ、自然妊娠をする見込みは十分にあります。しかし、運動率がかなり低いという場合には医療の力を借りなければ妊娠することは非常に難しくなるでしょう。
人工授精や体外受精であれば、精子の運動率が低くても運動している精子を少しでも認めることができれば治療をすることが可能です。しかし、これらの治療は精子の運動率と併せて精子正常形態率なども判断材料とされるためより詳しい検査が必要となります。
そして、これらの治療は女性に特に大きな負担を伴います。治療を受けるかどうかは夫婦でよく話し合って決めましょう。
男性の不妊の原因の一種となる精子無力症。精子の運動率が正常よりも低い状態であり、その原因はストレスや精索静脈瘤という病気など、さまざまなことが原因になります。
精子の運動率が悪いと自然妊娠が難しくなり人工授精や体外受精といった医療の力を借りなければならない場合もあります。不妊に悩んだら女性だけでなく、男性も検査をして自分にも原因が無いかを調べてみましょう。
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