記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/8/27
記事監修医師
前田 裕斗 先生
不妊治療の一環で、タイミング法の次に取り組むべき方法として、人工授精があります。
今回は不妊治療のうち人工授精という方法について、人工授精の手順や行うべきタイミング、必要な費用や期間、妊娠が成功する確率まで、徹底解説していきます。
人工授精とは、AIHとも呼ばれる不妊治療の一種であり、排卵の2日前を狙って性行為を行う「タイミング法」の次に、実施される治療法です。
排卵から生理までの周期を6回、約半年間タイミング法を続けても妊娠が成立しなかった場合に、医師から提案されるのが一般的です。あらかじめ採取して動きの良い精子だけを選んで濃縮しておいた精液を、妊娠しやすいタイミングをにあわせて、細い管で子宮内に流し込むという治療法です。
不妊治療のなかでもタイミング法の次に身体への負担が少なく、精液を注入した後は、自然妊娠と同様のプロセスをたどるのが大きな特徴といえます。
なお厚生労働省の統計によると、人工授精での妊娠が期待できるのは5~6回目くらいまでで、7回目以降は人工授精での妊娠は難しくなると明らかにされています。
このため、タイミング法と同様に人工授精も、排卵から生理までの周期を6回までの約半年間を目安に実施することになります。
ここからは人工授精の具体的な流れを、順を追って見ていきましょう。
以下の複数の方法を用いて、排卵日を予測して人工授精に適切な日取りを決めます。
病院が用意した専用容器に、自宅または病院の採精室で父親となる男性の精液を採取して精液を検査し、運動状態の良い精子を選別・回収します。
排卵日予測に従い、最も妊娠しやすいと思われるタイミングで、子宮頸管から差し込んだ管で子宮の奥深くに精液を流し込みます。
卵胞の状態から、予定通り排卵しているかどうかを確認します。
排卵が確認出来たら、受精卵の着床率(妊娠成功率)を高めるために、黄体ホルモンを補充する外科的処置を複数回行います。
主に生理の有無から、人工授精から2週間後を目安に妊娠の成否を判断します。
人工授精にかかる費用の目安は、治療を受ける病院・施設の設定や医師の考え方などによっても異なりますが、おおむね以下の通りです。
なお、人工授精には健康保険の適応はされないため、原則全額自費での診療となります。
一般的には1回の実施につき2~3万円程度が目安ですが、人工授精に必要な費用については、治療を受ける前に病院にしっかりと確認しましょう。
人工授精によって妊娠が成功する確率は平均で5~10%、女性の年齢別では30代で10~15%、40代で2%になるといわれています。
前段階の治療法であるタイミング法と比べると、人工授精には以下のようなメリットがあります。
タイミング法に比べてメリットが多く感じられる人工授精ですが、その一方で、次段階の高度生殖医療に比べると、妊娠成功率はそれほど高くはありません。
また人工授精は初回が最も成功しやすく、2回目以降は成功率が下がるというデータも報告されており、成功率はさまざまな条件で左右されるものと予測できます。
人工授精を受けることを検討しているなら、自分の年齢と身体の状態を鑑み、医師にしっかり相談したうえで受けるようにしてください。
人工授精はタイミング法の次に行われる不妊治療で、あらかじめ採取しておいた精液を調整し、子宮内に流し込む方法です。比較的身体への負担が少なく、自費診療ながら1回2~3万円で受けられますが、妊娠成功率は10%未満となります。また、初回が最も妊娠しやすいなど、妊娠に成功できるかどうかは他の条件によっても左右されます。人工授精を受けるなら、あらかじめ医師にしっかりと内容や費用を確認しましょう。
この記事の続きはこちら