記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/9/9
記事監修医師
前田 裕斗 先生
不妊治療では、不妊を特定してから治療計画を立てることになるため検査が必要です。そのため、実際に治療を開始するまでにはある程度の期間が必要になります。
この記事では、不妊治療開始までにかかる期間について解説しています。
不妊治療では検査で原因をみつける必要があります。そして、不妊の原因は女性だけでなく男性にある場合もあるので、男女とも受診することが求められます。
女性の不妊検査は、初診、初期検査、精密検査の順に行われます。初診では、婦人科の一般的な検査として子宮頸がん検診やおりものに有害な菌がいないかをチェックするとともに、子宮卵巣の状態を超音波検査で調べます。そして初期検査では月経期、排卵前、排卵期、排卵後にそれぞれの検査を行うので、最低1カ月はかかります。
これらの検査で原因が明らかにならない場合には、精密検査を行うことになります。
男性の検査では、精液を採取して精子の状態を調べる精液検査、感染症を調べる血液検査が行われます。精液は自宅での採取も可能で、検査自体は1日で済みます。
女性の不妊症の検査は、月経周期に合わせて行われます。初診時にはクラミジア検査、排卵日を推定するとともに卵胞の大きさの測定や卵巣、子宮の異常を調べる「経腟(けいちつ)超音波検査」、体外受精前には梅毒、B型・C型肝炎、エイズ検査のほか、不妊症以外の病気の有無、肝臓や腎臓の機能や血糖値などを調べる「感染症・生化学検査」が行われます。
初期検査では、月経の3~5日目に「基礎ホルモン調査」として下垂体ホルモンや卵巣ホルモンを測って卵巣機能などを調べ、7~10日目には卵管の通りをみる「子宮卵管造影(HSG)」、11~14日目にはさらに正確な排卵日の推定を行う「排卵期ホルモン検査」、20~22日目の高温期には子宮内膜や黄体ホルモンを調べる「黄体期ホルモン検査」が行われます。そのほか、相手の男性との相性をみる性交後試験(ヒューナーテスト)や、副腎のホルモン、子宮がん検診など、状態に応じた検査が行われます。
男性の不妊症の検査は基本的に「精液検査」で、3~7日間の禁欲(射精をしない)期間をおいた後にマスターベーションで精液を採取し、精液量1ml中の精子濃度、運動率、正常形態率を顕微鏡で見て調べます。
自宅で採取する場合には、採取後3時間以内に病院に持ち込んで検査をします。一般的には検査はこの1種類だけで結果もすぐに出るので1日で終わりますが、異常がある場合には、精巣の周りに静脈の瘤ができ血流の悪化や温度の上昇が男性不妊の原因となる「精索静脈瘤」などの病気がないか、泌尿器科で検査をすることになります。
また病院によって、血液検査によるB型・C型肝炎、エイズ、梅毒などの「感染症関連検査」を行い、染色体異常を調べる「染色体検査」、精巣の機能を調べる「ホルモン検査」、精子に対する抗体を調べる「抗精子抗体検査」などを行う場合もあります。
不妊の原因をみつけるには男女とも調べる必要があります。通常、女性は月経周期に合わせ、初診から初期検査、精密検査と1ヶ月以上かけてさまざまな検査が行われます。また、通常男性は精液検査の1種類だけで1日で終わりますが、血液検査などが行われる場合もあります。
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