疼痛スケールとは? 「NRS」「VAS」などの種類について

2018/8/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

一般外来や一般病棟などで使われることのある「疼痛スケール」とは、いったいどんなものなのでしょうか。今回はこの疼痛スケールについて、NRSやVASといった種類や、使用上の注意点などをお伝えしていきます。

疼痛スケールとは

「疼痛スケール」とは、患者さんが抱えている痛みを的確に評価するための指標です。ペインクリニックなどの医療機関で実際に取り入れられている指標で、たとえ同じ疾患でも患者さんによって痛みの程度には個人差があるため、その人に有効な治療法や投薬量を選択するためには欠かせないものとなっています。

疼痛スケールの種類

疼痛スケールにはいくつかの種類があり、以降ではそのなかでも代表的なものをご紹介します。

NRS

NRS(Numerical Rating Scale)とは、患者さんが感じている痛みを数字で評価する指標です。「これまでに経験した一番強い痛みを10とした場合、いまの痛みがどれくらいか」または「治療開始前の痛みを10とした場合、いまの痛みがどれくらいか」を患者さんにヒアリングし、痛みの強さを0~10の11段階で評価してもらいます。

目安として、痛みをまったく感じないのであれば「0」、軽度の痛みは「1~3」、中等度の痛みは「4~6」、強い痛みは「7~10」となります。

VAS

VAS(Visual Analogue Scale)とは、患者さんが感じている痛みを、線上に印をつけてもらうことで現す方法です。10cmの線を引き、左端を「痛みがまったくない」、右端を「考えうる中で最悪の痛み」として、自分の痛みがどの程度なのかを印で示します。

FPS

FPS(Faces Pain Scale)とは、6段階で痛みの程度を表現した顔のイラストの中から、どの段階の表情が自分の痛みのレベルに近いか、患者さんに選んでもらう方法です。

BPS

BPS(Behavioral Pain Scale)とは、人工呼吸管理中の患者さんを対象とした疼痛スケールです。患者さんの表情、上肢の動き、人工呼吸器との同調性を、それぞれ1~4点で医療者が評価します。
これまで紹介したNRSなどとは異なり、客観的な疼痛スケールとして分類されます。

CPOT

CPOT(Critical-Care Pain Observation Tool)とは、患者さんの表情、体の動き、人工呼吸器との同調性(挿管をしていない場合は発声)、筋緊張の4項目を各0~2点で医療者が評価し、患者さんの痛みの程度を測る客観的な疼痛スケールです。

疼痛スケールは客観的なものと主観的なもの、どちらがいいの?

ご紹介したNRS、VAS、FPSは「主観的」な疼痛スケール、BPSとCPOTは「客観的」な疼痛スケールと呼ばれます。このどちらを適用すべきかは、患者さんの状態によって異なります

例えば、患者さんに意識があって、自分で意思表示をできる場合は主観的な疼痛スケールで痛みの程度を表現してもらうことができます。しかし意識が混濁している重症の患者さんや、認知機能や精神状態が不安定な患者さんの場合は、自分で(正確に)痛みを伝えることができないため、医療従事者が客観的な疼痛スケールで判断する必要があります。

また、患者さんの年齢によっても適した疼痛スケールは異なります。例えば、小児患者の場合はNRSやVASを理解するのが難しいため、FPSが適しているといった例が挙げられます。

おわりに:的確な疼痛スケールの選択が、適切な治療の選択へとつながる

ご紹介したように、疼痛スケールにはさまざまな種類があり、患者さんの年齢や状態によってそれぞれ向き・不向きがあります。患者さんにあった疼痛スケールを使い、正確に痛みの程度を把握することが、適切な治療を進めていく上では欠かせません。

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