記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
仕事のストレスや労務環境からメンタルヘルス不調に陥った労働者が、職場に復帰するまでにはどのような段階を経るのでしょうか?職場復帰支援の代表的な流れについてご紹介していきます。
うつや適応障害など、心の健康問題で休職した労働者が円滑に職場復帰するには、休業から復職までの流れを事前に明確化しておくことが大切です。
そこで、平成16年に厚生労働省が作成した事業場向けマニュアルが「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」です。この手引きの中で、職場復帰支援の流れは以下の5段階に分けられています。
職場で雇用している労働者が、メンタルヘルスの不調によって休職することになった場合、実際に職場はどんなことを行う必要があるのでしょうか。時系列順にご紹介します。
労働者が療養に専念できるよう、最大限の配慮が必要です。業務の引継ぎが必要であれば、労働者の可能な範囲で最小限の引継ぎを行うのに留め、休職中は業務に関する連絡はとらないようにしてください。休職中の連絡は1~2ヶ月に1回程度とし、医師の指定した休職期間が終了する頃に、状況についての確認の連絡をとるようにしましょう。
また、傷病手当金制度や復職の手順などについて、経済的な不安を緩和するための情報提供も行うのが望ましいです。
医師から職場復帰可能との判断が降りた場合、すぐに職場復帰を決定してはいけません。医師の診断は日常生活においての病状の回復程度によって、職場復帰可能と判断していることが多く、必ずしも職場で求められるレベルまで業務遂行能力が回復しているとは限らないからです。
このため、実際に本人が業務遂行できる状態なのか、勤務時間や職場環境の調整が必要なのかについて産業保健スタッフと十分に検討し、労働者本人や人事・労務スタッフなどと十分に話し合いながら、職場復帰プランを作成する必要があります
なお、職場復帰の時期についてですが、病気の回復期の段階ではまだ調子に波があるため、実際の復帰に至るには、「通勤電車に乗ることができるか」「業務に集中できるか」「ある程度コミュニケーションがとれるか」などのことを、毎日行えるレベルまでには回復している必要があります。時期は焦らず判断していくことが大切です。
休職中の労働者が職場復帰に至ったら、周囲の人はあくまで自然な態度で迎えるようにしてください。休職の理由や休職中のことを聞くことは控え、普通に挨拶をするようにしましょう。
なお、職場復帰後はいきなり以前のような働き方をさせるのではなく、時短勤務や業務軽減などの措置を行い、段階的を踏んで徐々に通常勤務へと戻す期間が必要になります。またそのことについて、周囲の労働者に事前に伝えておくことも必要です。
ご紹介したように、メンタルヘルス不調者が実際に職場復帰を果たすまでには、いくつものステップを丁寧に踏んでいく必要があります。慎重なケアが労働者の職場復帰後の勤務を左右するといっても過言ではないので、周囲で働く方もぜひ覚えておいてください。
【 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト『こころの耳』 の情報をもとに編集して作成 】
この記事の続きはこちら