記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食中毒の原因菌として非常に有名な「O157」ですが、O157に感染してから症状が出るまでの「潜伏期間」は平均どれくらいなのでしょうか?また、感染したかどうかはどんな検査をすればわかるのでしょうか?
O157は、下痢や腹痛、血便などを引き起こす腸管出血性大腸菌の一種です。牛や羊、豚などの家畜の腸内に生息している菌で、このO157に汚染された食べ物や水を摂取したり、O157感染者の糞便で汚染されたものを口にしたりすることで感染します。
O157に感染してから実際に症状が現れるまでの潜伏期間は、平均3~8日です。通常の細菌性食中毒の潜伏期間は数時間~3日程度ですが、O157は腸内で増殖して毒素をつくるのに時間がかかるので、その分潜伏期間が長い傾向にあります。
また、O157は潜伏期間が長い分、発覚までに時間がかかるため感染源を特定しにくく、その間に汚染された食品の流通が広がってしまったり、ほかの食品や調理器具にも汚染が広がったりと感染リスクが拡大しやすい危険性があります。
O157の潜伏期間は平均3~8日ですが、最長10日ほどになるケースも存在します。そして潜伏期間中も体内にO157が存在していれば、菌で汚染された手でふれたり、料理をつくったりすることで、他人に感染させるリスクはあります。
O157の潜伏期間の長さが大人と子供で違うということは特にありませんが、乳幼児などの小さな子供は免疫機能が不十分なため、少量の菌でも発症したり、重症化したりするリスクが高いです。
特に子供がO157に感染すると、溶血性尿毒症症候群(HUS:溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全を伴う症候群)や脳症などの重篤な合併症を発症する恐れがあります。
O157と疑わしい症状が現れた場合、まず行うのが便の細菌検査です。この検査の結果O157が見つかり、ベロ毒素(O157が産出する毒素)をつくることが確認された場合、O157感染症と診断されます。
また、溶血性尿毒症症候群(HUS)が発症していないか確認するために、血液検査を通じて腎機能などを確認したり、尿検査をしたりする場合もあります。
O157の潜伏期間は3~8日のことが多く、日数が経ってから感染に気づくために感染源が特定できないケースも少なくありません。特に大人の場合は軽い腹痛や下痢で済んでしまうことも多いですが、少しでも気になる異変があれば、周囲に感染を広げないためにも早めに病院を受診するようにしましょう。
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