不妊の診断ってどこで受けられるの?選ぶときのポイントはある?

2018/9/16

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

もしかして、不妊かも?と思ったとき、まずは病院で検査を受ける必要があります。しかし、不妊治療の検査を受けられる病院は意外に多く、どこを選んだらいいのか迷ってしまうことも少なくありません。
そこで、受けられる病院はどこ?どのようなことに注意して選ぶべき?どんな検査をするの?など、不妊の検査を受ける前に知っておくべきポイントについてまとめました。

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不妊の診断は何科で受けられる?

不妊の診断を受けられるのは、婦人科と不妊治療専門のクリニックの2つがあります。しかし、その後の治療のことを考えると、原因が見つかった場合はすぐに治療に移ることができた方が、時間の面でも費用の面でも節約になります。不妊治療専門である「生殖医療専門医」のいるクリニックを選ぶのが良いでしょう。

診断のために病院を選ぶときのポイントは?

診断のための病院と言っても、原因が見つかればそのまますぐに不妊治療に移る可能性があります。また、不妊治療の検査は長くかかることが多いため、多くの病院では検査とタイミング法や人工授精などの治療を並行して行います

以上のことから、治療期間も含めて長く通うことを考慮に入れて病院を選びましょう。具体的には、以下のポイントに気をつける必要があります。

  • 医師は担当医制か、複数か
  • 通いやすいかどうか
  • 自分が安心して任せられるかどうか

大病院などで医師が複数に変わってしまうと、コミュニケーションをとるのが苦痛だという人もいます。また、通いやすさは治療を開始した場合、卵胞チェックや注射などで連日通院する必要がある可能性があります。

最後に、医師や病院が信頼できるか、安心して任せられるかというのは最も重要なポイントです。多くの不妊専門クリニックでは、勉強会や講習会を開いています。そうした会に参加し、病院の雰囲気を感じてみると良いでしょう。

不妊の診断のために、どんな検査をするの?

不妊の検査は、男女別に違いがあります。特に、女性の検査は多く、結果が出るまでに長い期間がかかることも少なくありません。

女性の検査ってどんなことをするの?

不妊のための検査は、まず初めにする一般的な検査と、その検査で異常が発見された場合に行う特殊な検査があります。

一般的な検査
内診・経腟超音波検査
血液検査
子宮卵管造影検査
腹腔鏡検査・子宮鏡検査
MRI検査

それぞれ具体的に見ていきましょう。

内診・経腟超音波検査

診察室の内診台の上で行え、最も侵襲性の少なく手軽な検査です。子宮や卵巣を産婦人科的に診察し、押して痛いところがあるかどうか見たり、器具で内部を観察したりします

また、経腟超音波検査では、直径1.5〜2cm程度の経腟超音波プローブを挿入し、エコー診断によって画像で子宮の様子を観察し、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症などの異常がないか確認します。

血液検査

外来の採血室で血液を採取し、ホルモン値や糖尿病など全身疾患がないか検査します。特に、女性ホルモンや男性ホルモン、卵巣を刺激するホルモンであるFSHや、基礎体温の高温期を引き起こすホルモンであるLHは重要なホルモンです

また、これらのホルモンは月経周期の各時期によって基準値が変わりますので、何度か血液検査を行い、月経期・黄体期など各時期によってホルモンが正常に分泌されているかどうかも合わせて検査します。

子宮卵管造影検査

X線造影室で行います。X線による透視をしながら子宮口から逆流させるように造影剤を注入し、子宮の形がおかしくないか、卵管が閉塞していないかなどを確認します。人によっては少し痛みのある検査ですが、この検査によって卵管が広げられ、精子や卵子が通りやすくなることで自然妊娠することも少なくないため、検査する意味は大きいと言えます。

腹腔鏡検査・子宮鏡検査

腹腔鏡検査は、臍部からカメラを入れてお腹の中を観察する検査です。全身麻酔をかけるため、手術室で行います。子宮・卵巣をはじめとする骨盤内の臓器の様子が観察でき、子宮内膜症や卵管周囲の癒着など、超音波検査や内診ではわからなかった不妊原因がわかります。侵襲が高い検査ですので、行うには慎重に適応を検討する必要があります。実際には多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や、卵巣嚢腫や子宮筋腫などの手術を共に行うことが多いでしょう。

子宮鏡検査は、子宮を直接観察する検査です。この検査は麻酔をかけずに行われることが多く、ポリープや筋腫などの腫瘍や、子宮の内壁の癒着などを確認することができます。

MRI検査

MRI検査は、地場を用いてCT検査のように体の断面図を撮影することができる検査です。この検査によって、子宮や卵巣形態の詳細な画像を見ることができ、筋腫や腫瘍などの病変を確実に診断することができます。また、卵管水腫など、他の不妊原因となる疾患がこの検査で発見できることもあります。

男性の検査ってどんなことをするの?

男性の検査も女性と同じく、一般的な検査と特殊な検査の2つがあります。一般的な検査は精液検査で、ここで問題がなければ男性の検査はたいていおしまいとなります。ただし、精液検査で何らかの問題があった場合は、特殊な検査を行い原因を特定する必要があります。

精液検査

侵襲性が少なく、重要な検査です。精液量・濃度・運動率・精子の形態・感染症の有無などを調べます。採取方法は、2〜7日程度の禁欲期間ののち、用手法(マスターベーション)にて全量を採取します。

精子は暑さ・寒さなどの温度変化に非常に弱いため、病院で採取することが望ましいですが、病院やクリニックで配布される採取用容器を用いて、適温を保ち2時間以内に持参することができれば、自宅で採取しても病院で採取した結果と変わらないといわれています。

WHO(世界保健機構)が定めた精液検査の正常値は以下のとおりです。この値前後、またはこの値を大きく上回っているようであれば問題はありませんが、大きく下回っている(白血球の場合は上回っている)場合は何らかの不妊原因があると考えられます。

  • 精液量 …1.5ml
  • 精子濃度…1500万/ml
  • 総精子数…3900万
  • 前進運動率…32%
  • 総運動率…40%
  • 正常精子形態率…4%
  • 白血球数…100万/ml

正常精子形態率に関しては、精液検査用の厳密なコンピュータで検査した場合であり、厳密に正常な形態を計測した場合の数です。たいていのクリニックでは培養士が顕微鏡下で目視でカウントしているため、この値よりもずっと高い値が出ることが多いです。そのため正常形態率については重視しすぎないクリニックもあります。

診察

精液検査で異常が見つかった場合、まずは診察で既往歴や疾患の有無を確認します。また、性生活の状況についても問題なく行えているかを確認します。触診では、精巣など外陰部の観察やサイズの測定、精索静脈瘤の有無などを確認します。

血液検査

女性と同じく、血中の男性ホルモン・女性ホルモンや、プロラクチンなどの値を調べます。特に、勃起障害や射精障害がある場合、何らかのホルモン異常がある場合が多いため、血液検査は原因の特定と対策を立てる上で重要な検査です。

染色体・遺伝子検査

精子数が極端に少ない場合や無精子症の場合には、染色体検査や遺伝子検査を行います。染色体の軽微な変化や遺伝子の軽微な異常が、正常な精子形成を何らかの形で阻害していると考えられるのです。検査の結果、遺伝子や染色体に異常が見つかった場合、精巣内精子採取(TESE)の適応となる場合があります

その他

精嚢や射精管の形態を調べるためにMRI検査を行ったり、精巣での精子形成の状態を詳細に調べるために精巣生検を行ったりすることがあります。

不妊の診断にかかる費用や時間はどのくらい?

不妊治療の検査は、一通り終わるまでに女性だと1ヶ月〜2ヶ月程度かかります。また、女性でも男性でも、特殊な検査を行う場合は費用と時間がかかることがあります。あくまで一般的な検査を行う場合、大まかに以下のような費用と時間がかかることが多いです。

費用
初診で1〜3万円程度
時間
血液検査や細胞検査は数分〜数十分程度

検査によって保険適用のものとそうでないものがあり、それぞれ費用は大きく異なります。また、検査自体の時間は短くても、人気の病院だと待ち時間が長くかかることもあります。費用に関しても時間に関しても、詳細は病院に問い合わせるか、初回の診察時によく確認しましょう。

おわりに:不妊の検査は専門のクリニックで受けよう

一般的な不妊の検査だけであれば、婦人科でも受けられるところは少なくありません。しかし、その後の治療のことや、専門的な検査に移っていく可能性を考えると、初めから不妊治療の専門のクリニックで検査を受けた方が、結果的に費用も時間も節約になることが多いのです。
しかし、費用や時間は個々のクリニックによって違います。もし、不安な場合は診察の前に一度電話やメールなどで問い合わせてみましょう。

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