慢性咳嗽ってどんな病気?-咳が長引いたときは要注意!

2018/8/27

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

咳が3週間以上にわたって長引いている場合、慢性咳嗽(がいそう)の可能性があります。以降では慢性咳嗽とはどのような病気なのか、原因や症状、治療法などについて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

慢性咳嗽ってどんな病気?

咳嗽とは、発症後3週間以上持続する咳(遷延性・慢性咳嗽)のことで、発症後3週間未満のものを急性咳嗽、発症後8週間以上のものを慢性咳嗽といいます
急性咳嗽は感冒を含む気道感染によるものが多く、反対に慢性咳嗽の場合は感染症そのものが原因となることは少ないとされています。

分類

急性咳嗽
期間:3週間未満
原因:ウイルスや細菌などによる感染
遷延性咳嗽
期間:3週間以上8週間未満
原因:感染後の後遺症(感染後咳嗽)
慢性咳嗽
期間:8週間以上
原因:感染以外の疾患

咳の分類は以上の他に、痰の有無で湿性(痰を伴う)と乾性(痰を伴わない)に分類されることがあります。

慢性咳嗽になると、どんな症状が出てくる?

咳喘息

咳喘息咳嗽の中で最もよく見られるもので、痰を伴わずに咳が長引くことが特徴です。
また、通常の気管支喘息のように喘鳴(息を吐く際に出るヒューヒューという音)がなく、早朝や季節によって咳が悪化することがあります。

アトピー咳嗽

痰を伴わない咳や喉のかゆみ、花粉症などのアレルギー疾患を伴う場合が多いとされています。

副鼻腔気管支症候群

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と気管支の慢性炎症が合わさった疾患で、副鼻腔炎の主な症状である後鼻漏(鼻汁が喉の方に流れること)・鼻汁・咳払いに加え、痰を伴う咳が慢性的に起こるとされています。

胃食道逆流症

胃酸が食道を逆流したときに胸やけなどが起こる疾患ですが、逆流した胃酸によって下部食道付近の神経や喉が刺激されると、咳の原因となることがあります。
また、会話、食事、起床、前屈みの姿勢のときに、咳が悪化したり、胸やけが起こることが多いといわれています。

慢性咳嗽の原因は?

  • 呼吸器疾患(慢性気管支炎、肺癌など)
  • 感染症(結核、百日咳など)
  • アトピー咳嗽(アレルギーによる咳)
  • 咳喘息(喘鳴がなく長引く咳)
  • 後鼻漏(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎による鼻汁が、喉の方に流れることにより起こる咳)
  • 胃食道逆流症(胃液が食道に逆流することにより起こる咳)
  • 感冒後咳嗽(風邪の発症後に咳のみが長引くもの)
  • 降圧剤であるACE阻害剤による咳嗽

繰り返しになりますが、国内では咳喘息による慢性咳嗽が最も多いとされています。しかし、慢性咳嗽の原因を特定することは難しく、問診、視診、聴診、呼吸機能検査、血液検査などの結果を総合的に診て診断する必要があります。
そのため、原因不明とされるケースも10~20%程度あるとされています。

慢性咳嗽はどうやって治療するの?

治療方法は、典型的な喘息と同様に、まずは吸入ステロイド薬が使用されます。
その後、それぞれの症状や程度に合わせて、以下のような薬剤を併用し、吸入ステロイド薬の量を調整します。

治療で使用される薬剤の種類

  • 長時間作用性β2刺激薬(吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤を含む)
  • ロイコトルエン受容体拮抗薬
  • 徐放性テオフィリン薬

おわりに:3週間以上咳が続く場合は注意が必要

咳嗽とは、発症後3週間以上持続する咳のことで、発症後8週間以上のものを慢性咳嗽といいます。咳が3週間以上持続する場合は、医療機関でまずは検査を受けましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

治療(461) 原因(607) 症状(552) 咳(51) 慢性咳嗽(2) 咳喘息(9) 副鼻腔気管支症候群(5) 吸入ステロイド薬(7) 長引く(2) アトピー咳嗽(1)