記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
いわゆる頭のケガである「頭部外傷」では、どのような症状が起こるのでしょうか?後遺症が残る可能性はあるのでしょうか?
頭部外傷とは、いわゆる頭のケガのことです。医学的には以下の3種類に分類されます。
外力を受けた場所と同じ側に出血が起こり、多くの場合は頭蓋骨骨折を伴います。出血は、中硬膜動脈・静脈洞・骨折部からのもので、頭蓋骨と硬膜の間に血腫が見られます。脳の損傷が起こることは少ないとされており、CT検査で確認される凸レンズ状の血腫を除去する手術を行えば、予後を良好に過ごせるとされています。
外力を受けた場所と反対側に出血が起こり(反衝損傷)、多くの場合は外傷性クモ膜下出血や脳挫傷を伴う重症となります。出血は、脳表の血管・橋静脈・脳挫傷からのもので、頭部外傷直後よりも意識障害が進んでおり、急性頭蓋内圧亢進症状や脳の局所症状が見られます。また、CT検査では三日月状の血腫・クモ膜下出血・脳挫傷・急性脳腫脹が確認されます。治療では広範囲減圧頭開術と血腫除去術を行いますが、予後不良の場合が多いとされています。
頭部外傷から3週間以上(6~8週間の場合が多い)経過した後に起こる、頭蓋骨の内側にある「硬膜」と脳を包む「クモ膜」の間(硬膜下腔)
脳卒中と区別が難しい場合もありますが、受傷自体は比較的軽微であることが多く、脳萎縮のある高齢者やアルコールの過剰摂取を長期間続けている高齢者によく見られるとされています。一般的に、手術を受けた後の予後は良好であるとされています。
頭部に大きな外傷を負うことにより、意識障害、頭痛、吐き気、めまい、錯乱、けいれん発作などの症状が起こります。貯留している血液の量が少ない場合は、手術を行わずに保存的治療で治療することもできますが、貯留している血液の量が多い場合は、早急に頭を大きく開いて血液を除去する手術を行う必要があります。
しかし、急性硬膜外血腫の死亡あるいは後遺症が残る確率は約10%、急性硬膜下血腫の死亡率は約50%とされています。そのため、脳の圧迫を緩和するためには、早急な診断と貯留した血液の除去が大切になります。
高齢者に多いとされる疾患で、受傷時には特に目立った症状が現れないため、患者自身も外傷を受けたことを忘れてしまうこともあります。
しかし、受傷から3週間~2ヶ月ほどかけて徐々に頭蓋骨内に血液が貯留していくにつれて、変動する意識障害、認知症状、麻痺などの症状が現れます。
頭部CTでの診断後、局部麻酔を使用した手術を行えば症状が改善することが多く、再発率はおよそ10~20%といわれています。頭部CTを行う際には痛みはなく、手術は短時間で行うことができます。
頭部外傷は、以下のような後遺症を残す恐れがあります。
運動麻痺、感覚障害、認知症とは異なる、中枢神経系の障害による言語、認知、動作の障害が起こります。外傷により脳が損傷を受けると、高度な脳機能の働きに影響が及びますが、外見では判断が困難なため、自覚症状がないことも少なくないとされています。
受傷直後には特に症状がなくても、数年以上経過してから症状が現れる場合があり、慢性外傷性脳症、頭部外傷後精神病、アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症、外傷性パーキンソン病などが起こることがあります。頭部外傷によって起こる神経変性疾患は、徐々に進行・悪化するという特徴が認められます。
頭部外傷は、急性硬膜外血腫・急性硬膜下血腫・慢性硬膜下血腫に分けられ、出血の他にもそれぞれ異なる症状が現れます。頭部外傷性急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫は死亡したり後遺症が残ったりする可能性が高く、早急な診断と治療が重要になります。
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