記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/5 記事改定日: 2020/5/7
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
BCGワクチンは結核を予防するワクチンです。接種は子供のころに受けるのが原則ですが、もしも接種をしていないとどんなリスクがあるのでしょうか。また、大人になってから接種しても効果はあるのでしょうか。
この記事では、BCGワクチンの目的と受けてない大人がどうすればいいか解説していきます。
BCGは結核の感染や重症化を予防するためのワクチンです。
BCGワクチンの接種は、毒性の弱い牛型結核菌を入れることで、軽度の結核のような反応を起こして免疫をつけることが目的です。BCGワクチンを接種していないと、結核が重症化して深刻な症状に陥るリスクがあります。
標準的な接種は生後5ヵ月から8ヵ月の間とされていますが、地域や時期によっても異なる場合がありますので確認しましょう。
接種後10~15年程度は、結核の発症を約7割予防することができるとされています。
結核は、慢性的な咳、痰、胸の痛み、呼吸苦などの呼吸器症状に微熱、体重減少、活力低下などを引き起こす病気です。
結核は結核菌に感染することによって発症する病気ですが、感染したとしても約8割の方は何も症状が現れずに一生を終えるとされています。一方、残り2割の方は感染してから少なくとも半年以降に上記のような症状が現れるようになります。
症状の現れかたは人によって異なりますが、多くは軽い風邪のような症状から始まるため発見が遅れるケースも少なくありません。ですが、発症したままの状態で放置すると徐々に全身の活力や活発性が失われ、体重減少、強いダルさといった症状が現れるようになります。
そして、呼吸機能が低下していくため呼吸困難感を自覚するようになり、血痰や喀血といった症状が生じます。
また、結核菌は肺に感染しますが、血液に乗って全身の様々な部位に移動し、しこりのような病変を形成することがあります。
BCGワクチンの接種は、針をたくさん立てたスタンプを上腕に押し付けて行います。過去に受けたことがある場合、上腕に穴が並んだような注射跡が残っている人も多いでしょう。
もし、乳幼児期にBCGを受けたことがなく結核を予防したいと考えたとき、大人でも予防接種を受けられるのでしょうか。
結論としては、青年や成人に BCG を打っても、肺結核の感染を予防する効果は認められていません。基本的には「受ける必要はない」と考えていいでしょう。
また、大人になってかたのBCG接種は、針を刺した部位がケロイドになるリスクも高く、跡がかなり目立ちやすくなるといわれています。
BCG接種はあくまでも、まだ免疫力が弱く結核にかかると重症化しやすい乳幼児のためのものです。
BCGを受けていない場合の対策は、基本的には自分の健康に気を配ること、そして感染症対策をしっかりと行うことです。
まずは健康診断を定期的に受け、体の不調をいち早く発見できるようにしましょう。また、初期の結核は風邪と似たような症状がでるので、なかなかな治らない風邪、とくに2週間以上せきが続くような場合は、すぐに医療機関に相談してください。
結核に限らず、私たちの暮らしはいつも感染症の危険と隣り合わせです。学校や会社、移動の途中など、いつ誰から感染するかわかりませんし、自分が誰かに感染させてしまう可能性もあります。咳がでたらマスクをすることはもちろん、近くに咳をしている人がいたらマスクをする、帰宅後すぐにうがいや手洗いをするなど、感染症から身を守る意識を持ち続けましょう。
BCGワクチンの接種では、毒性の弱い牛型結核菌を入れることで、軽度の結核のような反応を起こして免疫をつけます。これは乳幼児が結核にかかって重症化するのを予防するのに有効な方法であり、大人が接種しても効果はほぼ得られません。
子供たちがスムーズにワクチンを接種できるようにするためにも、大人が安易にBCGワクチンを受けようとするのはやめましょう。
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