結節性硬化症って遺伝する病気なの?どうやって治療する?

2018/9/6

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

結節性硬化症に遺伝は関係しているのでしょうか?また、どのような治療を行うのでしょうか?結節性硬化症と遺伝の関係や治療法について解説していきます。

結節性硬化症ってどんな病気?

結節性硬化症とは、過誤腫という良性の腫瘍や過誤組織という先天性の病変が、皮膚、神経系、腎、肺、骨など様々な場所にできる病気のことです。

以前は、顔面血管繊維腫という数ミリの赤みを帯びた腫瘍、てんかん、知的障害の3つの症状が見られる場合に結節性硬化症と診断されていましたが、現在では診断技術の進歩により、知的障害てんかん発作を伴わない軽症の場合もあることがわかりました。
ただし、症状の有無や、症状の程度などは年齢によっても異なり、個人差が大きいという特徴があります。

遺伝性の病気なの?

結節性硬化症の原因は、体内にあるmTOR(エムトール)蛋白質の働きを抑制する蛋白質をコードする遺伝子(TSC1遺伝子、TSC2遺伝子のいずれか)に機能喪失型の変異が生じることです。これらの遺伝子が変化すると、mTORの細胞を増殖させる作用が過剰に働くようになるため、様々な場所に腫瘍を作る原因となるのです。

両親のどちらかが結節性硬化症を患っている場合、生まれてくる子供が結節性硬化症になる確率は男女問わずおよそ50%とされています。しかし実際には、両親からの遺伝で結節性硬化症になる場合よりも、偶然、精子や卵子の遺伝子に異変が起こることにより発病するケース(孤発例)が多いとされています。

ただし、孤発例の患者さんの場合でも、次の世代をつくる時に生まれてくる子供が結節性硬化症になる確率は、遺伝の法則に従い50%となります。

結節性硬化症になると、どんな症状がみられる?

多くに現れる症状

てんかん

乳児早期に出現するてんかんには、点頭てんかんと呼ばれる頭をたれるタイプのものと、複雑部発作と呼ばれる頭をたれた後に意識がなくなり、手足の一部にけいれんが起こるタイプのものがあります。

皮質結節

脳の一部の細胞が正常に機能しないことによりできる、皮質結節と呼ばれる固い部分が、脳の表面に見られることが多いです。

心臓の異常

新生児では、心臓に横紋筋腫ができることにより心筋肥大、不整脈、心不全などが起きることがあります。ただし、これらは年齢を重ねると共に自然に消えていくため、心不全を起こさない限り手術を受ける必要はありません。

白班

生後直後から皮膚に白いあざ(白班)がある場合が多いです。木の葉状の形をしていることが多いですが、細かい紙吹雪のような小白班が多発している場合もあります。また、髪の毛に白班ができる場合は髪の色が褐色や白髪になることもあります。

顔面の症状

2歳頃から顔面(特に頬部)に赤い糸くず様のしみができたり、幼稚園や小学校に上がる頃から頬や下あごに血管繊維腫ができることがあります。また、あまり赤みのない正常皮膚色のもの、少し大きい扁平なもの、少し黒みのある球形のものなどが出現することもあり、徐々に数が増えていく傾向にあります。

腫瘍

20歳頃から、固い腫瘍が手や足の爪の上や下周辺に出現し、徐々に増加・増大することがあります。また、思春期頃からでこぼこした皮膚の盛り上がりが腰部にできて増大したり、幼児期からイボに類似した固い小さなできものが皮膚にできることもあります。また、胴体を中心に様々な場所に出現したり、バレーボール大の盛り上がったかたまりになる場合もあります。

腎臓の異常

腎臓にできる嚢腫(液体の入った空洞)や、血管筋脂肪腫(血管や筋肉の脂肪成分が多い腫瘍)が増大することにより、腎機能障害や高血圧が引き起こされることがあります。
特に、腎血管筋脂肪腫が出血を起こすと激痛を伴い、出血量によっては出血性のショックを引き起こすこともあります。

一部に現れる症状

上衣下巨細胞性星細胞腫(SEGA)

幼児期から10歳前後に出現することのある良性の腫瘍ですが、急速に増大する、脳内の水の循環が阻害される、腫瘍による圧迫症状などが認められる場合は、治療を受ける必要があります。

目の腫瘍

目の奥の網膜に、通常の網膜の色と異なる結節状の小さい腫瘍ができる状態で、腫瘍が大きくなった場合は失明する恐れがあります。

肺の異常

肺の異常として見られるリンパ脈管平滑筋腫症(LAM)は、妊娠で増悪したり、病態の進行に伴う呼吸不全で死に至ることがあります。
また、その他の肺病変として多発性小結節性肺細胞過形成(MMPH)が見られることがあります。

子宮の異常

子宮筋腫や卵巣嚢腫が見られることも多いとされています。
子宮筋腫にはピーコーマ(PEComa)という病気が隠れている場合がありますが、筋腫や腺筋症との鑑別が困難だとされています。

上記のほか、甲状腺、骨、消化管、肝臓、血管などの他の臓器にも様々な病変が認められることがあります。

結節性硬化症はどうやって治療する?

てんかんの症状については、基本的に結節性硬化症によるてんかんとそれ以外のてんかんの治療法は同じで、医師の指示に従い服薬をきちんと行うことが大切になります。

また、てんかん発作の原因が脳内の結節によるものの場合は、その部分を脳神経外科にて切除することもあります。そのほかの治療については以下の通りです。

腎臓
腎臓の血管筋脂肪腫による出血の危険がある場合は、腫瘍を養っている血管を詰めることにより腫瘍への栄養供給を絶ち、腫瘍を縮める方法が取られることがあります(ある程度の大きさまでの場合に取られる方法です)。
また、エベロリムスという薬剤を使用して結節性硬化症の腎腫瘍を治療する方法もあります。
肺のLAMの治療法として、ホルモン療法、卵巣摘出、肺移植などがあります。
また、シロリムス(別名ラパマイシン)という薬剤を使用して治療することもあります。
顔面
血管繊維腫や爪周辺の腫瘍は皮膚科で治療を受けることができます。
また凍結凝固療法、レーザアブレージョン、ラパマイシンの塗り薬の使用なども有効な治療法とされています。

おわりに:結節性硬化症の発症は、偶発的な遺伝子の異変による場合が多い

結節性硬化症は、両親からの遺伝で結節性硬化症になる場合よりも、偶然、精子や卵子の遺伝子に異変が起こることにより発病するケース(孤発例)が多いとされています。治療は結節性硬化症に伴うそれぞれの症状に対しての治療が行われます。

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