細菌性腟症を治す「フラジール®」ってどんな薬?使えない人もいるの?

2018/9/13

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

細菌性腟症の治療に使用されるフラジール®はどのような薬なのでしょうか?使用できない人もいるのでしょうか?細菌性腟症の治療で使われるフラジール®の効果や使用方法などについて解説していきます。

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細菌性腟症ってどんな症状が出る病気なの?

細菌性腟症とは、腟内にいる悪玉菌や細菌の繁殖が促進されることにより、善玉菌とのバランスが乱れ、腟内が雑菌によって炎症を起こしている状態のことです。

腟内への細菌の侵入を防ぐためのバリアを作る機能のあるデーデルライン桿菌・乳酸菌は、悪玉菌が過剰に増殖するとその処理が追い付かなくなってしまい、腟内環境を悪化させてしまいます。それにより細菌の増殖が促進され、細菌性腟症の原因となってしまうのです。

細菌性腟症患者の約半数は特に症状が現れないとされていますが、自覚症状がある場合は、以下のようなおりものの異常が見られることがあります。

  • おりものの量が多い
  • 淡い黄色をしている
  • 水っぽくてサラッとしている
  • 粘着質でべとつく
  • 魚臭い、生臭い、酸っぱい臭い

また、雑菌により中毒を起こしている場合は、高熱、下痢、嘔吐などの症状を伴うことがあり、とても危険な状態となります。すぐに産婦人科を受診して適切な治療を受けましょう。

ただし比較的症状が軽い場合は、腟内洗浄剤を使用して腟内環境を清潔に保つことで、症状が改善できる可能性があります。細菌性腟症は、性感染症とは異なり雑菌による腟内の炎症のため、産婦人科を受診せずに改善できるとされています。

細菌性腟症の治療薬「フラジール®」って?

細菌性腟症の治療方法には、局所療法と内服療法がありますが、基本的には主に局所療法を行います。ただしいずれの場合も保険適用外となります。

局所療法

フラジール®腟錠250mgの挿腟を10〜14日間1クールとして行います。

内服療法

フラジール®内服錠1回250mgを1日3回、または1回500mgを1日2回のいずれかを7日間経口投与します。

フラジール®を使ってはいけない人って?

以下の項目に該当する場合は、フラジール®の使用ができない(禁忌)とされているため、注意が必要です。

  • フラジール®の成分に対して過去に過敏症を起こしたことがある人
  • 脳や脊髄に器質的疾患がある人(脳腫瘍を除く)
  • 妊娠3ヶ月以内の妊婦(危険性を上回る有益性が認められた疾患は除く)

妊娠中の治療

妊娠中に細菌性腟症と診断された場合でも基本的にはフラジールでの治療が可能です。しかし、上記フラジールの禁忌に当たる人の場合は他の抗生剤を用いて治療することもあります。

また、高齢の女性患者の多い萎縮性腟症では、細菌性腟症に準じた治療、またはエストリオール腟錠や内服薬を使用して行う治療などが行われ、強い更年期症状がある場合は、ホルモン補充療養と併用して漢方薬を用いる東洋医学的治療が行われることがあります。

おわりに:フラジール®を使用できるか事前に確認を

フラジール®には細菌性腟症に使用される薬で、腟錠タイプと内服タイプがあります。ただし、フラジール®の成分に対して過敏症を起こした人や、脳や脊髄に器質的疾患がある人、妊娠3ヶ月以内の人はフラジール®の使用ができないため、注意する必要があります。
妊娠中に細菌性腟症になった場合でも、受けられる治療があるため、医療機関を受診して相談してみましょう。

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