はしかの流行がキケンな理由は?後遺症が出ることがあるって本当?

2018/9/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

日本では幼少期に予防接種をすることになっている「はしか」。なぜ、このはしかは流行ると危険といわれているのでしょうか。重篤な後遺症など、はしかの危険性を中心にご紹介していきます。

はしかの流行が怖いのはなぜ?

「はしか」(=麻疹)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。感染すると10~12日間の潜伏期間後、2~4日ほど発熱や咳、鼻水、くしゃみ、結膜の充血や目やに、倦怠感が強くなり、その後39℃以上の高熱とともに発疹し3~4日間高熱が続きます。

基本的に7~10日で症状は回復しますが、免疫力の回復には1カ月ほどが必要で、その間に重い合併症にかかると死に至る危険性もあります。

はしかの感染経路には、「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」の3つがあり、咳やくしゃみによるしぶきが空気中に漂いその中のウイルスを吸ってしまう空気感染(飛沫核感染)が、感染経路としてはもっとも多くなっています。

また、はしかの感染力は非常に強くインフルエンザの10倍ほどとされ、症状があらわれる前日から、熱が下がり発疹が消えて3~4日経つまでの間は、周囲に感染させるリスクがあります。予防接種を受けておらず免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症します。

はしかは治っても油断できないって本当!?

はしかにかかってから治るまでの間には、「肺炎」や「脳症」など死に至る病気や「中耳炎」「心筋炎」など、さまざまな合併症を起こす可能性があります。妊婦がかかると重症化しやすく流産の原因になるともいわれています。

さらに怖いのが、脳にウイルスが持続感染して、治ってから数年後に「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」を発症する場合があることです。SSPEになると知能障害や運動障害などの神経症状があらわれ、発病後数ヶ月から数年で悪化し死に至ります。はしかになった数万人に1人が発症し、1歳未満や免疫機能が低下している人は特にリスクが高く、学童期での発症が多いとされています。SSPEの予防策としては、はしかにかからないことで、流行しても感染しないようにしておくことが重要です。

はしかが流行しているとき、どうやって身を守る?

個人で身を守る有効な方法は、麻疹のワクチンを接種して免疫をあらかじめ獲得しておくことです。はしかは2回の予防接種で防ぐことのできる病気で、予防接種法の対象疾患として市区町村が麻疹・風疹の混合ワクチン(MRワクチン)の定期接種を実施しています。

第1期は生後12ヶ月以上24ヶ月未満、第2期は5歳以上6歳未満(小学校入学前の1年間)です。定期予防接種以降でも、はしかにかかったことがなくワクチンを2回以上受けていない人にはワクチン接種が必要です。

なお、1977~1990年生まれの人は定期接種を1回しか受けていないので2回目を早目に接種し、それ以前の生まれで感染経験がわからない人は1回接種をしましょう。

家族や周囲の人がはしかにかかった可能性があるときは、発症から72時間以内であれば緊急でワクチンを接種する、6日以内であれば免疫グロブリンを注射することで、感染を防ぐか感染しても症状を緩和することが期待できます。

おわりに:強い感染力を持つはしか。数年後、重篤な合併症を起こすことも

はしか(=麻疹)のウイルスは、非常に強い感染力を持ち、風邪のような症状からやがて高熱と発疹があらわれ、治っても免疫力の回復には時間がかかります。その間にさまざまな合併症が出ることもあるうえ、数年経ってから死に至る難病を発症することもあります。2回のワクチン接種で予防できるので、必ず受けておくようにしましょう。

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