記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/9/11
記事監修医師
前田 裕斗 先生
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、女性特有の病気である子宮頸がんの原因になると言われている、ウイルスの一種です。
今回は、HPVの感染予防に有効とされる「HPVワクチン」について、効果や副作用の程度から接種に適した年齢まで、まとめて解説していきます。
HPV・ヒトパピローマウイルスとは、人の皮膚や粘膜に感染することのあるウイルスで、複数の型のうち一部が子宮頸がんの原因となることで知られています。
HPVは性交渉によって感染し、性的な接触機会が増えるほど感染リスクの上がるウイルスです。男性から女性へ性交渉によって感染し、発症するHPVウイルスは「低リスク型」と「高リスク型」の2つに大別され、それぞれ十数種類の型があります。
ただし、女性が感染したからといって必ずしもがんを発症するものではありません。感染したHPVウイルスの多くは免疫機能によって排除され、一過性の感染症として自然消滅することがほとんどだといわれています。
日本で承認されているHPVワクチンには「2価」と「4価」の2種類があり、それぞれ以下の型のHPVウイルスへの効果が期待できるものです。
2種類のうち子宮頸がん予防のためにどちらのワクチンを接種するかは、医師や予防接種を受ける医療機関の方針によっても変わってきます。
接種に適した年齢としては初めての性交渉を経験する前が望ましいとされ、小学6年生~高校1年生までの期間に接種することが推奨されています。
また、HPVワクチンは初回から数か月かけて合計で3回、2価または4価いずれか一方のワクチンのみを接種するのが一般的です。
以下に、HPVワクチンの2価・4価それぞれの接種スケジュールの具体例をご紹介しています。
なお、適齢期を過ぎている女性でもHPVワクチンの接種自体は可能です。元々HPVは感染しても免疫が生じにくいウイルスで、反復して感染する可能性もあります。予防のため接種に興味のある方は一度婦人科の医療機関に問い合わせてみると良いでしょう。
HPVワクチンは、子宮頸がんの発症原因となるHPVウイルスのうち50~70%を占めるウイルス型の感染を予防する効果があります。
しかし、日本で公費助成によるHPVワクチンの接種推奨が行われるようになった2010年以降、ワクチンを接種した女児の多くに以下のような副反応が見られました。
これをきっかけに、日本ではHPVワクチンの使用に対して慎重な姿勢が取られるようになり、2013年からは積極的な接種はすすめられなくなっています。しかしながら現在ではこうした副反応とHPVワクチンの使用についてはWHOなどから有意な相関は認められないという統計結果も出ており、今後接種の再開が検討されています。
子宮頸がん発症の一因となるヒトパピローマウイルスの感染を予防するHPVワクチンは、女性にとって非常に有効な予防接種です。特に初めての性交渉を経験する前の小学6年生~高校1年生までが接種の適齢期とされます。ただし日本では副反応を懸念する声が強く、2013年からHPVワクチンの接種には慎重な態度が取られています。統計的にはHPVワクチンの接種と副反応には有意な相関はないとする意見が多いため今後接種の再開が検討されています。副反応についてのデータとHPV感染、子宮頸癌の予防効果を勘案し接種を検討するようにしましょう。
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