記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
感染力が非常に強く、予防接種が必要とされる「はしか」。もしはしかに感染してしまった場合、発症するまでの潜伏期間はどれくらいなのでしょうか。また、高熱や発疹などの疑わしい症状が出た場合、すぐ病院に連れていっても大丈夫なのでしょうか。
はしかとは、麻疹ウイルスによっておこる病気です。空気感染や飛沫感染、接触感染で広がります。感染力が極めて強く、免疫がない人が感染するとほぼ全員が発症するため、子供だけでなく大人も注意が必要です。
麻疹ウイルスの潜伏期間は約10~12日間で、発症すると38℃前後の発熱が2~4日続きます。その後、体のだるさや咳、鼻水、結膜充血や目やに、光をまぶしく感じるなどの症状が現れ、次第に強くなります。子供の場合は、不機嫌が続くといった症状が見られることもあるでしょう。
はしかの症状が現れる時期は「カタル期」「発疹期」「回復期」の3つに分かれます。それぞれの時期によって違った症状が現れます。
咳や鼻水などの上気道炎症状や結膜充血、目やになどの結膜炎症状のことを「カタル症状」といい、この症状が出る時期を「カタル期」といいます。カタル期には、このカタル症状と38℃前後の熱が出ます。乳幼児の場合には、下痢や腹痛などの消化器症状が見られることもあるでしょう。
その後熱が下がると同時に、「コブリック斑」と呼ばれる白い粟粒のようなものが口の中の頬の粘膜にできます。このコブリック斑は、はしかでは必ず現れる特徴的な症状です。
コブリック斑が見られるようになると、39~40℃の熱が出ます。そして、耳の後ろからはしか特有の紅丘疹が現れるようになると同時に、コブリック斑は消えていきます。
発疹は2日ほどで首から顔、体幹、そして腕と足に広がります。大きさは直径数mmで発疹同士がくっつく傾向があります。発疹が出た当初は鮮紅色ですが、徐々に暗赤色に変わっていき次第に退色していくでしょう。また、この時期には食欲不振でぐったりしたり、カタル症状が強くなったりします。
はしかを発症して1週間程度経つと、再び熱が下がり始めます。この頃にはカタル症状も軽くなり、発疹も消失していきます。しかし、発疹があった場所はしばらく色素沈着が見られます。その後に合併症が起こらなければ、約10日ではしかの症状はほぼ見られなくなります。
ただし、免疫力は低下するため、他の感染症にかかると重症化しやすくなるでしょう。体力の完全回復にはほぼ1か月かかるといわれています。
はしかかもしれないと思ったときに、すぐに病院を受診するのはやめてください。前述したように、はしかは大変感染力の強い病気です。病院内で他の患者さんに感染させてしまう可能性が高いので、まずは病院に電話で症状を伝えましょう。はしかかどうかわからないけれど流行っているという時期にも、まず電話で確認し病院の指示に従ってください。基本的には、解熱から3日間は自宅で様子をみるようにしましょう。
また、熱が落ち着いてから受診する場合でも、周りに感染させない配慮が必要です。マスクは必ず着用し、公共交通機関の使用は避けましょう。コンビニやスーパーにも立ち寄らないようにし、感染を広めないよう意識して行動することが大切です。
はしかの治療は対症療法が基本です。対症療法とは、現れた症状に対して行う治療です。はしかでは、発熱時に解熱剤を処方したり、合併症に対する治療を行ったりします。高齢者や衰弱が激しい場合には、「ガンマグロブリン」という特効薬もあります。しかし、医療機関での取り扱いも少なく費用も高いため、自宅療養で回復を待つケースがほとんどです。
自宅療養中は、脱水症に気を付け水分を多めに取るようにしましょう。体力を低下させないよう安静にすごすことが、重症化や長期化を防ぐことにつながります。
また、自宅でも感染予防に努めましょう。特に、家族の中にはしかの免疫を持っていない人がいる場合には、できるだけ接触しないようにしてください。
はしかはとても感染力が強い病気です。潜伏期間もおよそ10~12日と長いため、気が付かないうちに広がる可能性もあります。また、はしかと思われる症状が出たときには、感染を広げないためにも、すぐに病院に行くのはやめてください。まずは病院に電話で症状を伝え、指示に従うようにしましょう。
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