はしかの症状を治す薬はある?予防はどうやってすればいいの?

2017/4/13 記事改定日: 2018/7/3
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

はしかは子供がかかることが多い病気ですが、大人がかかることもあります。風邪のような症状が現れますが、重症化するとまれに」合併症に発展することがあります。
この記事では、はしかの症状と合併症、予防について解説しています。

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はしかの症状とは!?何日くらい続くの?

はしかは非常に不快な症状で、重篤な合併症に至る恐れのある、感染力の強いウイルス感染性疾患です。はしかは小さなお子さんがかかることが多い病気ですが、予防接種を受けていなかったり、過去にはしかにかかったことがない人であれば誰でも感染する可能性があります。はしかの症状は、約7~10日後で改善します。

症状

はしかの初期症状は、感染から約10日後に表れます。最初は風邪に似たような症状から始まり、それから数日後に発疹が続きます。
初期症状として、以下のようなものがあげられます。

  • 鼻水、鼻づまり
  • くしゃみ
  • 涙目
  • まぶたの腫れ
  • 目の痛み、赤み(光に敏感に反応する)
  • 発熱(約40℃ぐらいまで達する)
  • 痛み
  • 食欲減少
  • 疲れ、過敏症、および一般的なエネルギー不足
  • 口の中に小さな灰色がかった白い斑点が出る

はしかにかかる人の多くが、発疹が出る1日か2日前に口の中に小さな灰色がかった白い斑点ができます。はしかにかかる人すべてにこうした斑点ができる訳ではありませんが、もし上に挙げたほかの症状や発疹に加えて、こうした症状があれば、はしかにかかっている可能性が高いです。この斑点は通常、数日間続きます。

症状の経過

上記の症状が現れてから2~4日後に、赤茶色のしみのような発疹が出てきます。この湿疹は通常、最初に頭または首の上側に現れ、その後全身に広がります。発疹が発症してから1日目もしくは2日目に、不快な症状のピークがやってきます。

はしかの発疹は小さな赤茶色をしていて、平らな、もしくはわずかに隆起した斑点状のものです。この斑点がつながって、大きなしみのようになることもあります。発疹は、少しかゆみを伴うこともあります。また、はしかの発疹は風疹やリンゴ病(伝染性紅斑)、ばら疹といった病気のように見えることがあります。

はしかの原因は?

はしかはウイルスで感染します。このウイルスは、すでに感染している人が咳やくしゃみをしたとき、鼻や口から放出される飛沫に含まれています。

これらの飛沫を吸い込んでしまったり、飛沫が飛んだところに手が触れ、その手を鼻や口に持っていくと、簡単にはしかに感染してしまいます(ウイルスは表面で数時間生存することができるためです)。

また、はしかにかかっている人は、発疹が最初に現れてから約4日間はほかの人に移す可能性があるので注意が必要です。

はしかの治療法は?

残念ながら、はしかの治療法は現在のところ見つかっていません。
ただ、以下のような方法で、不快な症状を和らげることができます。

鎮痛剤を服用する

熱を下げるために、イブプロフェンが処方されることがあります。ただし、薬はあくまでも対症療法です。

水分補給をする

お子さんが高熱を出している場合、脱水症状になる危険性があります。そのため、こまめに水分補給をして、脱水しないようにしてあげてください。水分補給をすると、咳による喉の不快感を和らげることもできます。

目の痛みを治療する

水に浸した脱脂綿を使って、子供のまぶたやまつげから乾いて固くなった発疹をやさしく取り除いてあげることができます。もし、明るい光が目の炎症の原因になっている場合は、カーテンを閉めたり、照明を暗くしたりしてください。

風邪のような症状を和らげる

鼻水や咳といった風邪のような症状がある場合、以下のような方法で症状を和らげることができます。

湿度を高くした部屋で座って過ごす

暖かく、湿度を高めた浴室の中で過ごすと楽になります。もしくは、部屋の湿度を高めるために濡れタオルをパネルヒーターのそばに置いておくと、子供の咳を和らげるのに役立ちます。

暖かい飲み物を飲む

暖かい飲み物、特にレモンや蜂蜜を含む飲み物は、気道をリラックスさせたり、粘液を緩めます。
また、咳を和らげるのにも役立ちます。
ただし、蜂蜜は1歳未満の赤ちゃんには絶対に飲ませないでください。

ガンマブログリンでの治療

はしかは、感染者と接触してから6日以内であれば感染していたとしても発症や重症化を予防することができます。
しかし、ガンマグロブリンは非常に高額で貴重な薬であるため、感染者との接点がある人全員に投与されるわけではなく、発症すると生命の危機があるような乳幼児や免疫力が著しく低下している状態の人への使用に限られているのが現状です。

また、はしかは潜伏期間が10日前後ですので、知らない間に感染して発症しまってからではガンマグロブリンの効果は期待できなくなります。
このため、ガンマグロブリンはあくまでも緊急的な発症・重症化の予防対策にすぎず、確実な予防対策のためにはワクチン接種の徹底をおすすめします。

はしかは、どうやって予防する!?

はしかは、MMRワクチンを接種することで予防することができますが、成人および年長の子供でも、過去に予防接種を受けていない場合は予防接種を受けることができます。

MMRワクチン

定期ワクチン接種
MMRワクチンは通常、1回目は12~13カ月の子供に、2回目は入学前(通常3歳~5歳)に投与されます。もし、過去にワクチンを接種したかどうかわからない場合は、再度ワクチンを服用しても害はありません。

ただし、はしかに感染する差し迫ったリスクがある場合は、生後6カ月であれば誰でもMMRワクチンを投与することができます。たとえば、次のような場合です。

  • 地域ではしかが流行している
  • はしかにかかっている人と密接に接触している
  • はしかの感染が拡大している地域への旅行を計画している

合併症には最大の注意を!

はしかは7~10日ぐらいで症状が落ち着くことがほとんどですが、場合によっては合併症を引き起こすことがあります。

合併症の兆候

合併症の兆候として、以下のようなものがあります。

  • 息切れ
  • 呼吸でより悪化する鋭い胸の痛み
  • 口から血を吐いてしまう(喀血:かっけつ)
  • 眠気
  • 混乱
  • けいれん

はしかの一般的な合併症として、以下のようなものがあります。

  • 下痢や嘔吐(脱水に至る可能性がある)
  • 中耳炎(耳の痛みを引き起こす)
  • 目の感染(結膜炎)
  • 喉頭の炎症(喉頭炎)
  • 肺炎、気管支炎および偽膜性喉頭炎(気道および肺の感染)
  • 発熱による発作(熱性発作)

また、まれに肝炎や眼位異常(斜視)、脳や脊髄周辺の膜の感染(髄膜炎)、あるいは脳自体の感染(脳炎)を発症することもありますが、これらの症状が出た場合は病院へ入院し、抗生物質による治療が必要になることがあります。

感染を拡大させないためにはどうすればいい?

既にはしかの症状が出ている場合、ほかの人に感染してしまうリスクを小さくすることがとても重要です。そのためにできることは、以下の2点です。

外出を控える
はしかの発疹が最初に見つかってから少なくとも4日間は、職場や学校に行くのをさけてください。
小さな子供や妊娠中の女性に近寄らない
小さなお子さんや妊娠中の女性など、免疫力が弱く感染のリスクが高い人にうつすのを防ぐために、はしかの症状が出ている間は接触を控えましょう。

おわりに:はしかは予防が大事。予防接種をきちんと受けよう

はしかはウイルス感染を通して発症する病気です。たいてい7~10日間で発疹などの症状は落ち着きますが、治療法がまだ見つかっていないため、発熱や目の痛みといった不快な症状を抱えながらしばらく過ごさなければなりません。このため、きちんとワクチンを接種することが最大の予防策になります。ワクチンを接種したかどうかわからない場合は、最寄の病院で接種できないか相談してみてください。

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