心身の不調から微熱が出るのは更年期のせい?熱を下げるには?

2018/9/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

更年期には、体がほてったり、微熱が出ることがあります。これは何が原因なのでしょうか。
ここでは、更年期で起こる微熱の原因や対処法について説明していきます。自身が更年期の方も家族が更年期の方も役立つ情報になりますので、参考にしてください。

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更年期障害の症状に微熱もあるの?

女性の更年期は、閉経前5年間と閉経後5年間を併せた期間のことです。その時期に起こる「他の病気が原因でない症状」が更年期症状であり、その中でも特に症状が重く日常生活に影響が及ぶものを更年期障害と呼びます。

更年期障害には、エストロゲンという女性ホルモンの低下が大きく関わっていますが、それに加えて、身体的因子や心理的因子、職場や家庭における人間関係などの社会的因子などの様々な要因が複合的に重なり合うことにより発症に至ると考えられています。

平均閉経年齢である50歳の前後10年間は、エストロゲンの分泌量の減少により自律神経のバランスの乱れ、微熱が続いたり、顔や体がほてるホットフラッシュが現れることがあります。

症状

自律神経症状

自律神経には、体温、消化器、循環器などをコントロールする働きがあります。それらのバランスが崩れることで、発熱や微熱が続き、吐き気、動悸、頭痛などの症状が引き起こされることがあります。
更年期障害では、以下のような自律神経症状に類似した身体症状や精神症状が起こることがあり、これらの症状の強弱は、精神的要素に大きく左右されると考えらています。

身体的症状
頻脈、動悸、血圧の上下が激しくなる、腹痛、微熱、ホットフラッシュ(ほてりやのぼせ)、多汗、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、不眠、疲労感、口の渇き、喉のつかえ、息切れ、下痢、便秘、腰痛、しびれ、知覚過敏、関節痛、筋肉痛、性交痛、生理不順 など
精神症状
ヒステリー、情緒不安定、イライラ感、抑うつ感 など

微熱を下げるにはどうすればいい?

発熱しているからといって体を冷やしたり冷たい食べ物を食べると、自律神経のバランスが乱れやすくなり更年期症状である微熱や発熱が悪化するリスクが高まります。
発熱しているときは、消化しやすいように温かい食べ物を摂り、飲み物は冷たいままではなく常温に戻してから飲むなど、体を冷やさないように工夫をしましょう

また、更年期になり微熱の持続がある場合は、基礎体温表をつけて、自分の平熱や微熱が起こるタイミングなどを把握しておくといいでしょう。

症状緩和や予防のための対策

更年期の発熱や微熱を緩和したり予防するためには、自律神経のバランスを整えることが重要です。
生活習慣の見直し、夜更かしや暴飲暴食は避け、適度に運動をするようにしましょう。

食事では、良質なタンパク質やミネラルを積極的に摂るようにしてください。大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)などはおすすめです。食事だけで十分な量を補えない場合は、更年期の不調のケアに役立つサプリメントを活用しても良いでしょう。

この微熱、ホントに更年期のせい?と気になったら

微熱の症状が出る原因には、更年期障害以外にも、感染症や甲状腺などの内分泌疾患、花粉症などのアレルギー疾患、アルコール性肝障害、薬剤性の発熱などがあります。
まずは内科や婦人科で診察を受けて、微熱の原因を特定してもらいましょう。

更年期障害が疑われる場合、女性ホルモンの変動、自律神経のバランス異常、過労、慢性の睡眠不足、過度のストレスの有無などを検査・問診時に確認します。
基礎体温表をつけておくと診断のときに役立つことがあるので、毎日2回体温を測定して記録したものを持っていくようにしましょう。

おわりに:微熱の原因を特定するために医療機関で診察を受けましょう

更年期ではエストロゲン分泌の減少に伴う自律神経のバランスの乱れにより、微熱が続くことがありますが、微熱が見られる疾患は更年期障害以外にもあるため、自己判断せずに医療機関で原因を特定することが大切です。
更年期になってから微熱が持続する場合は、日頃から基礎体温表をつけておくと診断の際に役立ちますので、毎日2回計測するようにしましょう。

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