肌荒れの原因となる便秘を解消して、美しい素肌を取り戻すには?

2018/9/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

便秘が原因で肌荒れが起こるのはどうしてなのでしょうか?また、便秘を解消して肌荒れを改善するためには具体的にどうすればいいのでしょうか?肌荒れと便秘の関係や、便秘の解消方法について解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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便秘で肌荒れが起こるのはどうして?

便秘になると、自律神経の乱れにより皮膚の血行が悪くなるため、肌の張りやツヤが無くなる、ニキビ、肌荒れ、くすみなどが起こりやすくなります。

また、通常は食事として摂取した食べ物は胃で消化された後、不要な分が便として排出されますが、便秘により腸内の便の腐敗が進行すると、悪玉菌が増殖してガスや有害物質が発生するようになります。
これらの有害物質は腸から吸収された後、血液中に溶け込んで全身に毒素が運ばれて汗や皮脂として体外に排出されるようになるのですが、その際に肌に負担がかかるため、ニキビや肌荒れなどの原因となります。

便秘を解消して、美しい素肌を取り戻すには?

お肌の健康を保つためには、便秘を予防することが重要になります。
普段から便秘気味だという人は、以下のようなことを行うようにしましょう。

水分補給はしっかりと

排便をスムーズに行うためには、1日1.5~2Lほどの水分を摂取することが良いとされています。また、起床時にコップ1杯の水を摂取すると腸が刺激されることにより、排便が促進されます。

適度な運動も大切

長時間同じ体勢を続けていると、腸の働きの低下や、腹筋や背筋が弱くなることにより排便する力が低下するため、便秘になりやすくなってしまいます。
日頃から筋力アップや腸の蠕動運動を促進するために、ウォーキングやエクササイズなどの適度な運動を行うようにしましょう。また、お腹まわりのストレッチを行うことも効果的です。

腸内環境を良くする食生活を意識する

ヨーグルト、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品には、腸内の善玉菌の働きを促進する効果のある乳酸菌が豊富に含まれているため、積極的に摂取するようにしましょう。
また、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖の摂取や、適度な油や水分の補給も、排便をスムーズにするために効果的だとされています。

良質な睡眠をとる

睡眠不足や睡眠の質の低下は、自律神経を乱す原因となり腸の働きを低下させるため、日頃から十分な睡眠時間の確保と、快適な睡眠を得るための寝室環境の整備が必要となります。

リラックスする時間を作る

心身のストレスが溜まって、自律神経のバランスが乱れると腸の機能低下の原因となるため、お風呂にゆっくりと浸かる、アロマや音楽を楽しむなどの、体の疲れをとって心を落ち着かせるための時間を作るようにしましょう。

便秘を解消するツボやマッサージ方法は?

便秘の解消効果が期待できる「ツボ」には、以下のものがあります。

手のツボ

合谷(ごうこく)

親指と人差し指の付け根の骨が交わる部分の内側に位置するツボです。
もう片方の手の親指と人差し指でツボをはさんでもみましょう。

神門(しんもん)

手首の関節部分の小指側にある、骨と筋の間のくぼみにあるツボです。
親指をたててグリグリと押しましょう。押しにくい場合は、ペンなどを使用してもいいでしょう。

足のツボ

三陰交(さんいんこう)

くるぶしの内側の骨から指幅4本分上に位置する、脛の骨の後ろのくぼみにあるツボです。
くぼみに親指をたてて押し当て、左右に動かすようにマッサージしましょう。

足三里(あしさんり)

膝から指幅4本分下に位置する、脛の外側のふくらみ(頸骨)のへりにあるツボです。
親指や中指を使用して、グリグリとこねるようにもみ押しましょう。

お腹のツボ

天枢(てんすう)

おへそから指幅3本分外側に位置するツボで、左右どちらにもあります。
この左右のツボを同時に、人差し指・中指・薬指を揃えて、お腹が軽くへこむほどの力で押しましょう。

大巨(だいこ)

天枢から指幅3本分下側に位置するツボで、左右どちらにもあります。
腰骨に両手を置いた状態で、親指で左右のツボを同時に押しましょう。

背中のツボ

便秘点(べんぴてん)

肋骨の一番下の部分から指幅2本分下、背骨から指幅4本分外側に位置するツボで、左右どちらにもあります。
ウエストのくびれに手を置いた状態で、ツボを親指で押しながら、上体を左右にひねる、この一連の動作を数回繰り返しましょう。

大腸兪(だいちょうゆ)

腰骨の高さで背骨から指幅2本分外側に位置するツボで、左右どちらにもあります。

まずは仰向けの状態で、背中の下にこぶしを作って大腸兪に当てます。この時に、一番こぶしの尖った部分を当てるようにすることがポイントです。
次に膝を曲げて足をたてた状態で、こぶしに体重がきちんとかかっているのを確認しながら、左右にゆっくりと動かします。この一連の動作を数回繰り返しましょう。

おすすめのマッサージ方法

お腹のマッサージ

お腹の上に両手を重ねて置いた状態で、時計回りに円を描くようにさすりましょう。
さする時はあまり強く押さずに、なでるように10~20回繰り返し行ってください。

腰のマッサージ

背中を伸ばした状態で、腰の下から背中にかけてを両手のひらで包み込むように、上下にさすりましょう。さする時に、上げる時は指で、下ろす時は手のひらを使用するようにするのがポイントです。

下腹部のマッサージ

仰向けの状態で、左下腹部の腰骨を軽く押すと張っている人は便秘になっている可能性があります。この場所は、S状結腸と呼ばれる便が溜まりやすい部分のため、便秘の時に刺激すると非常に効果的です。
まずは、S状結腸の上に手の指を揃えて置いて、そこに反対側の手を添えて20回ほど軽く押します。その次に、指先を斜め下に向けて移動させていって、足の付根まできたところで再び元の位置からマッサージを始めます。この一連の動作を10回ほど繰り返し行いましょう。

仙骨への刺激

まずは仰向けの状態で両ひざをたて、足先を肩幅に開きます。両手は組んで頭の下に置きましょう。
ストレッチを行う体勢が整ったら、鼻から息を吸いながらお尻を持ち上げます。
その後、口から勢いよく息を吐き出しながら、一緒にお尻をトンと落としましょう。
この一連の動作を5回繰り返します。

おわりに:便秘を改善するために生活習慣の改善を

便秘になると、自律神経の乱れにより皮膚の血行が悪くなったり、腸内の便の腐敗が進行することにより悪玉菌が増殖してガスや有害物質が発生するようになり、ニキビや肌荒れが起こりやすくなります。便秘を解消するためには、食生活、睡眠、ストレス、運動などの生活習慣を改善したり、便秘を改善するためのツボ押しやマッサージを行うことが効果的です。
毎日継続して便秘体質を改善していきましょう。

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