記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/12/25
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊活中は、普段に増して夫婦間の良好なパートナーシップが必要とされます。しかし、「今日は早く帰ってきてほしい日なのに、妊活よりも仕事を優先するのね」「うちの夫は本当に子供を授かる気があるのかしら」と、なぜかギクシャクしてしまうことはありませんか?
ここでは妊活中の夫婦がどのようにお互いを理解していけばいいか、すれ違いを解消するための秘訣をお教えします。
妊活、または不妊治療中の夫婦間の温度差には、単なる気持ちだけでなく、それぞれが何を大切にしているかが大きく影響してきます。男女の妊活の知識について調査した結果によると、「妊活を希望した」のは「お互いに」が51.3%と最も多く、「女性から希望」が41.3%と続きます。しかし、「男性からの希望」は、なんと3.7%と非常に低い結果となりました。
また、妊活に対する温度差に関しても、「自分の方が高い」と答えた女性が51.8%いるにもかかわらず、「温度差は同じ」と答えた男性は61.8%、さらには「女性の方が高い」と答えた男性は28.8%にとどまります。この調査結果を見ても、妊活に関して男女間の温度差、認識の違いがあることは明らかでしょう。
ただし、興味深いのは男性が「排卵日前が最も妊娠しやすい」「女性の卵子は年齢とともに老化する」など、意外にも妊活の正しい知識を持っているということです。しかしながら、男性が正しい知識を持っているにもかかわらず、男女がそれぞれ妊活において大切にしていることに温度差があることが判明しています。
つまり、男性が「夫婦生活のタイミング」「年齢」など、妊娠に対する直接的なことを重要視している一方で、女性は「ストレスを溜めない」「体を温める」など、間接的なことを重要視する傾向にあるのです。
それでは、なぜ、妊活に対する男女間の温度差、認識の違いが生まれてしまうのでしょうか? 以下、その原因について考えていきましょう。
思ったよりも正しい妊活の知識を得ている男性ですが、必死に情報収集をして、通院のたびに新しい検査や治療法を模索している女性に比べると、やはり知識が追いついていない可能性があります。避妊をしなければいつか妊娠するだろうと考えて、自分に原因があるとは思いもよらない人も少なくありません。妊娠を妻まかせにしているようでは、女性の不安とイライラが増すばかりです。
男性は女性が想像する以上にデリケートな一面を持ち合わせています。したがって、「この日が排卵日前のチャンスだから、絶対に逃さないようにしようね!」などと言われると、プレッシャーのあまり夫婦生活自体が成り立たない可能性もあるのです。
また、あまりに事務的なやり取りが続くと、男性としてもスムーズなコミュニケーションが取りづらくなります。
そのため、排卵日に関係なく夫婦生活を持つ、あまりに事務的に言い方を避けるなど、女性側の工夫も必要かもしれません。
子供は、夫婦の良好な関係があってこそ授かるものです。たとえば女性側の負担の大きさゆえに、夫を顧みず、まだ見ぬ子供(妊活や不妊治療そのもの)で頭がいっぱいになっていませんか? 確かに治療で女性が受けるストレスは、男性の比ではないかもしれません。
しかし、焦ってパートナーの存在をおろそかにしていると、治療そのものが成立しなくなってしまいます。
先ほど、男女がそれぞれ妊活において大切にしていることに温度差があるという調査結果をご紹介しました。しかし、第1位から3位までの「夫婦生活のタイミング」「健康的な体づくり」「年齢」という結果は男女ともに同じです。つまり、お互いの歩み寄りによって、きちんと埋められる温度差である、というわけです。
妊活や不妊治療をしていると、タイミングや体づくりのことで頭がいっぱいになってしまいますが、何よりも大切なのは、夫婦間での理解と協力です。何か不安や不満に思うことがあれば、一人で抱え込まずにパートナーに打ち明けるようにしましょう。同時に、不満を打ち明けることができる、良好なパートナーシップを築いておくことがポイントです。
心身ともにつらい妊活、不妊治療を続けるのは、「2人の子供」を授かるためだということを、あらためて認識してみてはいかがでしょうか?
いくら夫婦とはいえ、大きなライフイベントを前にすれば、意見の食い違いが出てきて当然です。しかし、男女間では治療における役割も違いますし、その都度、歩み寄っていくしかありません。相手を思いやり、相手を知ることは、妊活や不妊治療の大切な第一歩なのかもしれませんね。
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