ゲームのやりすぎで親指が痛いのは、腱鞘炎のせい?

2018/9/22 記事改定日: 2020/2/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腱鞘炎は、手や指の使いすぎによって起きる炎症の一つです。PCやスマホなどの普及で、世代を超えて急増している腱鞘炎について、原因や治療法などを、詳しく解説していきます。

ゲームのやりすぎで腱鞘炎になるの?

腱鞘炎とは、腱と腱鞘の間に起こる炎症のことです。腱鞘のなかで腱が往復していますが、腱鞘が何らかの原因で厚くなったり硬くなったりすることで「腱鞘と腱」の間に摩擦が起き、炎症が起きて痛みを感じるようになります。

手の腱鞘炎の場合、「親指の付け根、手首、腕全体」が「手を広げる、親指をそらす、物を持つ」と、「痛む、腫れる、熱を持つ」という症状がみられます。

家事仕事や楽器の演奏、文字の書きすぎなどがおもな原因ですが、最近ではPCやスマホの使用が原因になることも多く、「ゲームのやりすぎ」が原因になることも少なくありません

また、出産後や更年期前後で、女性ホルモンのバランスが変化する際には腱鞘炎が起こりやすくなりますし、腱や腱鞘が硬くなる高齢者、糖尿病や関節リウマチなどの持明がある人、透析療法を受けている人もなりやすいです。
このような人たちがゲームをしすぎてしまえば、腱鞘炎になるリスクが高まる可能性があります。

ゲームが原因の腱鞘炎「ゲーマー親指=ドケルバン病」とは

「ドケルバン病」は、手首の腱鞘炎で激痛と麻痺が起こるドルゲバン病(狭窄性腱鞘炎)は、通称ゲーマー親指とも呼ばれ、ひどい場合には手術が必要になることもある、腱鞘炎のひとつです。

ドケルバン病になると

  • 親指を動かすと腱鞘部分に激しい痛みが出る
  • 手首に鈍い麻痺が起きる

などの症状が現れます。

もし、親指を拳の中に入れて小指側に曲げたときに、手首の出っ張りに強い痛みがあるようなら、ドルゲバン病かもしれません。

米国でも、このドルゲバン病(ゲーマー親指)が急増しているため、米国整形外科学会が、「子供が親指の痛みや動かしづらさを訴えた場合、予防と症状の進行を抑えるためにゲーム時間を1日2時間以内に制限する」ことを推奨しているほどです。

また、一般的な腱鞘炎と同じく、スマホやPCを親指で操作するなどして酷使すると、ドルゲバン病(ゲーマー親指)を引き起こすリスクが高まります。
ゲームをしない人であっても、仕事やSNSなどでスマホやPCをよく使う人は注意しましょう。

ゲーム中やスマホの使用中に親指が痛くなったらどうすればいい?

実際にゲーム中やスマホの使用中に親指に痛みを感じたときは、先述した米国整形外科学会が推奨する通り

  • ゲーム時間を1日2時間以内に制限する
  • 痛みを感じたら、すぐにゲームやスマホをやめる

ことが’大切です。そのほか、以下の方法で予防や改善を目指せますので、試してみましょう。

休憩をとる

スマホやPCは、こまめに休憩を取ることが腱鞘炎の予防につながります。ただ、ゲームは思わずのめり込んでしまうものです。アラーム機能などを用いて、強制的に休憩を取るようにしましょう。

正しい姿勢をとる

長時間にわたり、ゲームの前で前傾姿勢をとっていると、手首だけでなく背中や首、腕などにも痛みを引き起こします。正しい姿勢をとることは腱鞘炎の予防だけでなく、肩こりや腰痛の予防にもなります。

ストレッチをする

ゲームやスマホで緊張した親指は、以下のストレッチである程度緩めることができます。

  • 親指をそらし、反対の手の指でそらす方向にストレッチさせる
  • 他の指も同じようにストレッチする
  • 手首を甲側にそらし、そのまま反対の手で4本指を持って、手首をそらす方向にストレッチする
  • 手首を手のひら側に曲げ、そのまま反対の手で4本指を持って、手首を曲げる方向にストレッチする

病院での保存療法

症状が出ている状態では、まずは手の安静を指示されます。手の負担を減らすために、必要に応じて固定具を使い、消炎鎮痛剤を内服や貼り薬などを使って痛みを緩和します。

ステロイド腱鞘内注射

ステロイド腱鞘内注射とは、腱鞘の中にステロイドを注入する治療方法です。ステロイドには炎症を抑える効果があり、腱鞘内に直接注入することで症状を抑えることができます。
また、同時に痛みを麻痺させる局所麻酔薬を混ぜて注入することもあり、一時的とはいえ痛みを抑えることが可能となります。

治療が外来で行うことができますが、注入時には針を刺す際に痛みを伴うこともあり、薬剤を注入した後は若干の違和感が生じることもあります。注射した後はできるだけ患部を安静にして過ごしましょう。

手術

上で述べたような治療を続けても症状が改善しない時は手術が検討されることもあります。

腱鞘炎は悪化すると炎症を起こした腱鞘の組織が固くなったり厚くなったりして腱鞘が狭くなり、腱にダメージを与えるようになります。手術は、このように変性した腱鞘を切り開いて腱への摩擦などを抑えるのを目的に行われます。

近年では内視鏡などを用いて非常に小さな傷口のみで手術を行う医療機関も増えています。日帰り手術も可能となっていますので、手術を受けやすい環境になってきています。

おわりに:腱鞘炎と思われる指の痛みがあるときは、すぐに整形外科で相談を!

ホルモンバランスの乱れが考えられる女性や、ゲームや仕事でよく手を使うと自覚のある人で、手首の親指側に痛みを感じる場合には、ドルゲバン病の可能性が考えられます。

再発することも多いので、決して自己流の判断や対処で済まさず、かならず整形外科で医師に相談するようにしてくださいね。

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