ゲームのやりすぎで親指が痛い!これって腱鞘炎なの?

2018/9/22

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腱鞘炎は、手や指の使いすぎによって起きる炎症の一つです。パソコン、そしてスマホなどの普及によって、世界的に激増しているという腱鞘炎について、その原因や治療法などを、詳しく解説していきます。

ゲームのやりすぎで腱鞘炎になるの?

腱鞘炎とは、腱と腱鞘の間に起こる炎症のことをいいます。通常、筋肉と骨を結びつけている腱鞘という筒のような組織の中を腱が往復していますが、この腱鞘が何らかの原因で厚くなったり硬くなったりすることで摩擦が起き、炎症が起きて痛みを感じるようになります。手の腱鞘炎の場合、「親指の付け根、手首、腕全体」が「手を広げる、親指をそらす、物を持つ」と、「痛む、腫れる、熱を持つ」という症状がみられます。

昨今では、パソコンやスマホの使用などが大きな原因の一つとされていますが、ほかにも家事や、楽器の演奏、文字の書きすぎなどが原因となり、腱鞘炎が起こります。あるいはゲームのやりすぎが原因となることもあるので、注意が必要です。

また、出産後や更年期前後で、女性ホルモンのバランスが変化する際には腱鞘炎が起こりやすくなります。このほかにも、腱や腱鞘が硬くなる高齢者、糖尿病や関節リウマチなどの持明がある人、透析療法を受けている人に多くみられ、なかには抗がん剤治療が原因となって腱鞘炎が起こる例もあります。

ゲームが原因の腱鞘炎「ドケルバン病」とは

先ほど、ゲームのやりすぎが原因となって、腱鞘炎を引き起こすことがあるとお伝えしましたが、これは、決して珍しいケースではありません。手首の腱鞘炎で激痛と麻痺が起こるドルゲバン病(狭窄性腱鞘炎)は、通称ゲーマー親指とも呼ばれ、ひどい場合には手術が必要になることもある、腱鞘炎のひとつです。

症状としては、親指を動かすと腱鞘部分に激しい痛みが出たり、手首に鈍い麻痺がみられます。もし、親指を拳の中に入れて小指側に曲げたときに、手首の出っ張りに強い痛みがあるようなら、このドルゲバン病かもしれません。原因は、一般的な腱鞘炎と同じく、手や指の使いすぎと、ホルモンバランスの乱れが挙げられます。主に、妊婦や更年期の女性、あるいはゲームコントローラーやパソコンを多用する人に多く発症します。

米国でも、このドルゲバン病(ゲーマー親指)が急増しているため、米国整形外科学会が、「子供が親指の痛みや動かしづらさを訴えた場合、予防と症状の進行を抑えるためにゲーム時間を1日2時間以内に制限する」ことを推奨しているほどです。

また、一般的な腱鞘炎と同じく、スマホを親指で操作するなどして酷使すると、このドルゲバン病(ゲーマー親指)を引き起こす可能性があるため、ゲームをしない人でも注意が必要かもしれません。

ゲームの最中に親指が痛くなったらどうすればいい?

それでは、実際にゲーム中に親指に痛みを感じた場合、あるいは子供がそのように訴えた場合に、どう対処したらよいのでしょうか? 先述した米国整形外科学会が推奨する通り、「ゲーム時間を1日2時間以内に制限する」こと、痛みを感じたらゲームをやめることのほかに、どのような予防法と発症リスクの軽減法があるか、以下でご説明します。

休憩をとる

思わずのめり込んでしまうゲームですが、こまめに休憩を取ることが予防につながります。アラーム機能などを用いて、強制的に休憩を取るようにすると良いかもしれません。

正しい姿勢をとる

長時間にわたり、ゲームの前で前傾姿勢をとっていると、手首だけでなく背中や首、腕などにも痛みを引き起こします。正しい姿勢をとることが腱鞘炎の予防になります。

ストレッチをする

休憩の際、自分の側に手のひらを向けた状態で手を広げ、親指を人先指側に折り曲げて1分ほどキープしてください。また、ランニングや水泳などで体を動かすことが体幹のストレッチとなり、良い姿勢を促して、手や腕にかかる負担を取り除きます。

保存療法

症状が出てしまった場合には、まずは手の安静が必要です。手の負担を意識的に減らし、消炎鎮痛剤を内服や貼り薬などを用いて治療します。

ステロイドの腱鞘内注射

症状が強い場合には、ステロイドの腱鞘内注射が行われます。効果が期待できる一方、合併症などの副作用もあるため、短期間にくり返し打つ場合には注意が必要です。

手術

以上の両方でも症状が改善しない場合には、手術を行います。局所麻酔を使用し、ほとんどのケースで日帰りの手術になります。

おわりに:ドルゲバン病が疑われる場合は、すみやかに整形外科で相談を!

ホルモンバランスの乱れが考えられる女性や、ゲームや仕事でよく手を使うと自覚のある人で、手首の親指側に痛みを感じる場合には、ドルゲバン病の可能性が考えられます。再発することも多いので、決して自己流の判断や対処で済まさず、かならず整形外科で医師に相談するようにしてくださいね。

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