記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/9/28
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠・出産は女性にとって非常に大きなライフステージの変化です。それまでの生活とは食の好みから下着や洋服のサイズまで、さまざまなものが変化します。そんな妊娠・出産に備えるために、時期によってどんなものを用意しておくといいのかご紹介します。
妊娠がわかったら、まずは妊娠初期の1〜4ヶ月ごろに必要なものを用意しましょう。1〜2ヶ月ごろはまだあまり体の変化を感じない人が多いですが、3〜4ヶ月ごろになるとつわりが始まり、お腹に赤ちゃんがいるんだという実感が湧いてくる時期です。食べ物の好みが激しくなるだけでなく、匂いに敏感になり、人の体臭が気になったり、体が常に重くだるい、眠い、といった状態になったりすることが多いです。また、ピタッとした洋服を着ると皮膚が痒くなり、辛くなることもあります。
マタニティ下着は、通常使用するバストやヒップを綺麗に見せるものではなく、締めつけず、体を冷やさない作りになっています。妊娠によって乳腺が発達したり、子宮が大きくなってきたりすると、下着の締めつけはかなり辛いものです。辛くなってから慌てて買いに行くことのないよう、あらかじめ準備しておきましょう。
マタニティ下着は締めつけがゆるく、ゆとりが大きいため、妊娠初期でまだ体の変化がないとぶかぶかに感じることもありますが、これはのちのち必要なゆとりなのです。産後の授乳期まで使うこともあるほど長く使えるものなので、早めに買っておいて損はないでしょう。
多機能クッションは、つわりで吐き気がつらいときや、体がだるくて立っていられないときに役に立つグッズです。授乳クッションとしても使えるものを選ぶと、産後もずっと使えるのでおすすめです。
また、この時期の冷え防止グッズとして、腹巻きや靴下があると安心です。靴下も着圧などの締めつけるものではなく、履いていて締めつけ感がないぴったりのものを選びましょう。夏の暑い季節でも、室内はクーラーが効いていて寒いことも多く、特に冷たい空気は足元に溜まりやすいため、足首はとても冷えやすいのです。2〜3足買ってすぐに替えを使えるようにしておくと、急な受診やお出かけにも安心です。
お腹が大きくなり始めると、皮下組織の繊維に亀裂が入り、妊娠線ができることがあります。これは、皮膚がお腹に合わせて伸びるスピードよりもお腹が大きくなるスピードの方が速かったために起こるもので、皮膚を柔軟にして亀裂が入らないように保湿ケアをすることで防ぐことができます。お腹が大きくなる前から妊娠線ケアクリームで保湿ケアを行い、乾燥を防ぐとともに妊娠線が入るのも防ぎましょう。
また、定期的に検診に通うときに必要な書類を一つにまとめておける母子手帳ケースも便利です。診察券や病院から渡された資料、必要な事務書類なども一つにまとめておけば、なくしたり忘れたりすることがありません。
安定期に入る5ヶ月〜7ヶ月ごろは、そろそろ妊婦らしい身体に慣れてくる時期です。徐々につわりが落ち着いてきて、お腹が出てきはじめる人もいます。マタニティライフに慣れてくるこのころは、外出のためのおしゃれなマタニティウエアを買ってお出かけを楽しんじゃいましょう。
妊娠中期と呼ばれるこの時期は、つわりも治まってくるため妊娠中としては活動的に過ごせますが、子宮が大きくなってお腹が出てきたり、胸の張りが強くなってきたり、貧血を起こしたりしやすい時期でもあります。栄養バランスに十分に気をつけた食事をとるほか、疲れたときや痛みを感じたときには決して無理をせず、体を休ませましょう。
マタニティウエア選びで気をつけることは、お腹が目立たない服やかかとが低い靴を選ぶこと、着回しできるアイテムを揃えることです。中でもワンピースは締めつけがあまりなく、かつスタイルが決まりやすいので、マタニティウエアとして非常に重宝します。また、産後にも使えるように授乳口がついたものもありますので、お気に入りのデザインで機能性もあるものを一枚買っておくと良いでしょう。
仕事をしている人は、ジャケットやトップス、マタニティボトムを1〜2枚ずつ用意しておくと、急な打ち合わせにも安心です。オフィスでも着られるマタニティウエアとしてのシャツタイプのトップスは、シルエットが綺麗なものを選びましょう。また、お腹が大きくてもさりげなく目立たなくするような加工が施されているマタニティトップスもあります。
その他、身体を冷やさないためにオーバーショーツ、ストッキング、タイツ、キャミソールなどをコーディネートに合わせて使いましょう。
妊婦帯とは、大きくなってきたお腹をすっぽりと支えてくれるもので、赤ちゃんが下がってきてしまうのを防いだり、腰の負担を軽減したりしてくれます。マジックテープで簡単につけ外しができるタイプから腰巻きタイプまで種類もさまざまです。妊婦帯はつけてもつけなくてもよいものですが、腰痛が気になる人や、安心感があって使い心地がいいと感じる人にはおすすめです。
また、腰だけでなく下腹部やお尻、脚を冷やさないために、あったかパンツなどを併用するのも冷え防止に効果的です。
いよいよ出産を目前に控えた8〜10ヶ月目は、お腹の張りが最高潮に大きくなります。子宮が収縮しているため、お腹が板のように固くなったり、血管や膀胱が圧迫され、むくんだり、食欲がなくなったりします。そして、腰や背中、足の付け根への負担もいっそう大きくなります。
また、この時期はいつ入院してもいいよう、入院準備も同時に行っていきましょう。マタニティウエアやマタニティパジャマなどは、産後にも着回せるものを選びましょう。入院中にも楽しく過ごせるよう、お気に入りの携帯音楽プレイヤーやアイマスクなど、リラックスグッズを持っていくと良いでしょう。
出産後も、お腹はすぐに元通りに戻るわけではありません。この時期のサイズの服を産後の回復期まで着回すことを考え、体調が優れないときでも楽しく過ごせるよう、お気に入りの柄や色を選びましょう。また、授乳できるタイプのウエアを購入しておくと、機能面でも便利です。
授乳できるタイプのものを選ぶと良いのは、マタニティパジャマも同様です。前開きのデザインや授乳ポケットがあるものなど、使い勝手とデザインの両面から選び、お気に入りを見つけましょう。また、ボトムスは半ズボンと長ズボンがセットになったタイプを選ぶと部屋の温度や季節によって調節ができるのでおすすめです。
入院中は、産褥ショーツという専用のショーツが必要になります。病院から用意するように指示があるところもあります。これは、股の部分がマジックテープなどで開けられるようになっており、脱ぎ着しなくても検診や出血・おりものの手当をしてもらえるようになっているショーツのことです。その性質上汚れてしまうことが多いため、多めに用意しておきましょう。
授乳用のブラやパッドもぜひ揃えておきたいところです。母乳で育児をする予定がない人でも、胸の締めつけは苦しいものですから、ハーフトップタイプのブラがおすすめです。また、出産直後は母乳が自然に溢れ出してしまうことが多いため、母乳パッドもぜひ用意しておきましょう。使い捨てのナプキンのようなタイプと、布のタイプがあります。使い捨ては一回一回新しいものを使うので清潔ですが、蒸れてヒリヒリしてしまう人もいます。布製は優しい肌触りですが、毎回洗濯が必要になります。自分に合った方を選びましょう。
自然分娩の人は、会陰を開いて赤ちゃんが出てくるため、しっかりオイルでマッサージしておくのがおすすめです。マッサージオイルで会陰部分を柔らかく、よく皮膚が伸びるようにマッサージしておくと、分娩中に赤ちゃんがなかなか出てきづらく会陰を切る、というリスクが少なくなります。だいたい28週目ごろから準備しておくと安心です。
ここからは、入院時に必要なものをチェックするリストです。必ず全て持っていかなくてはならないわけではありませんが、必要に応じて忘れ物のないようにしましょう。
テニスボールは、陣痛を和らげるためにお尻に押し当てて使います。これまで持っていなかった人は無理に買う必要はありませんが、あれば持っていくと便利でしょう。
パジャマや下着はそれぞれ3着程度用意しておくとよいでしょう。授乳用パッドも忘れずにブラと一緒に入れておくと、すぐに装着できて便利です。タオルや洗面用具はたいてい病院に備えつけのものがありますが、洗顔料や化粧水・乳液は忘れずに持っていきましょう。
母乳派の人でも、ミルクは一式持っていっておきましょう。何らかの理由で一時的に母乳が出なかったり、赤ちゃんがうまく母乳を飲めなかったりする場合もあります。そういう時に、一時的にミルクで代用するのは悪いことではありません。また、横に乗せられるタイプのチャイルドシートを使う予定があれば、用意しておきましょう。
メガネやコンタクトレンズを使用している人は、うっかり忘れないように予備のものを入れておきましょう。また、ウエットティッシュは水洗トイレに流せるタイプのものを持っていくと、さまざまな場面で使えます。そして、入浴許可が出るまではお風呂に入ることができないので、気になる人はドライシャンプーなどを持っていくと便利です。
保湿クリームやオイルは必ず必要というわけではありませんが、保湿ケアをしておくと乾燥しやすい産前・産後の肌に優しく、かゆみやお肌のくすみを防ぐことができます。また、リラックスグッズは自分のお気に入りのものを用意しておき、入院中も楽しく過ごせるようにしましょう。
ここまで妊娠・出産グッズをご紹介してきましたが、どれも普段の生活では使わないものが多いです。つまり、使わなかったものはその後も使うことがないものが圧倒的に多いのです。ですから、あまりに早くあれこれと用意しすぎても、使わずに終わってしまうことも考えられます。特に、初めての出産の場合は勝手がわからず、あれもこれもと買ってしまいがちです。
そこで、この記事でご紹介したように、妊娠初期・中期・後期・入院〜出産と時期を分け、必要なものを書き出しましょう。そして、優先順位を決め、本当に必要なものだけを必要な時期に買うようにしましょう。たとえば、マタニティ下着は長く使えるうえにすぐに必要になるものですから買っておいた方がいいものですが、授乳パッドやマタニティパジャマは入院時からしか使いません。いよいよ入院準備という時になってから買う方が良いでしょう。
ベビーベッドやチャイルドシートなど、ごく一時期しか使わないようなものは、レンタルサービスを利用するのもおすすめです。特に、何人も出産する予定がなく、一人っ子の予定であれば、買ってもすぐに使わなくなってしまうベビーベッドやチャイルドシートを買うのはもったいないとも考えられます。
また、レンタルはちょっと躊躇するけれど知り合いにもらうなら、という人で、周りでいらなくなったベビーベッドやチャイルドシートを持っている人がいれば、おさがりをもらうのも良いでしょう。使わずにとっておいているだけの人からすれば、引き取って使ってくれる人がいるだけでもありがたいものです。
それでもやっぱり不安、という人は周囲の先輩ママに実際の話しを聞いてみましょう。どんなものをどれくらい、どの時期に使ったのかという話や、かかった金額などは実体験が最も説得力を持っています。また、購入を決めた際にはインターネットを活用し、できるだけ安いものを購入するのも一つの手です。
実体験を聞いたり、価格の比較などを活用したりして、本当に必要なものかどうかを見極め、お金と置き場所を上手に節約しましょう。
一口に妊娠・出産と言っても、初期・中期・後期、そして産後と、必要なものも準備も違います。あまり最初からあれもこれもと揃える必要はなく、近づいてきたらそろそろ、と揃え始めるのが良いでしょう。
また、先輩ママの話を聞いて実際に必要なものの目星をつけるのも大切なことです。特に、初めての出産はわからないことだらけなのは当たり前なのです。体験談やインターネットを活用し、上手に出産を迎えましょう。
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