記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/3 記事改定日: 2020/8/28
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
GIST(消化管間質腫瘍)は自覚症状がなく進んでいく腫瘍のことで、消化管に発生することが多い病気です。この記事ではGISTの症状や手術法について解説していきます。胃腸の不調を感じている人、GISTと診断された人は参考にしてください。
GIST(Gastrointestinal stromal tumor)は、消化管間質腫瘍とも呼ばれている病気です。GISTは消化管の壁に発生する悪性腫瘍の一種(肉腫)のため、粘膜から発生する胃がんや大腸がんとは性質が異なります。
通常、粘膜に覆われている胃や腸などの消化管の内側の下には筋肉層があり、そこには「カハール介細胞」の前駆細胞(介在細胞の元になる細胞)というものがあるのですが、その細胞が異常に増殖して腫瘍化することにより発症します。
「カハール介細胞」とは、消化管に広く分布しており、消化管運動のリズムをつくったり調節を行う働きがある細胞のことです。
GISTの発症率は10万人に2人ほどの割合で、50~60歳代の患者数が多いとされています。発生部位は胃が60~70%、小腸が20~30%、大腸と食道は約5%といわれています。
GISTに特徴的な自覚症状というものはなく、病変が大きくなった場合でも症状があまり見られません。ただし、以下のような症状が現れることがあります。
GISTまたはGISTの可能性が高い腫瘍がある場合は、基本的には手術治療が行われます。
切除が可能な場合は手術を行いますが、完全に切除ができても、術後に肝臓や腹膜に転移することがあります。
一般的に、以下のような状態のときは手術が検討されます。
腫瘍が5cm未満の場合は、腹腔鏡手術が行われることがありますが、腫瘍の大きさがそれ以上になる場合は開腹手術が行われ、腫瘍が2~5cmの場合は、CT、超音波内視鏡、病変に針を刺して組織を採取する病理検査を行い、手術の必要性を検討します。
腫瘍が2cm以下の場合は、内視鏡検査を行い、形が悪い、潰瘍があるなどの所見がなければ、1~2年に1度定期的に状態を確認して様子をみます。
組織採取が困難とされる小さい腫瘍や無症状の場合は、経過観察が行われることもありますが、現在の日本のガイドラインでは、腫瘍の大きさを問わず、GISTと診断された場合は手術治療を行うことが推奨されています。
GISTが発見された時に主病巣以外の場所にも転移が見られる場合には、内科的治療(化学療法)が適応され、化学療法による効果や経過によっては外科的切除が行われることがあります。
ただし、このような病態が進行したGISTに対する集学的治療は未だ確立した治療とはいえないため、肉腫専門の内科医、外科医、放射線科医などの様々な専門分野の医師が連携を取りながら、個々の病態に合わせた治療方針を検討して行うことが大切になります。
実際には3~5%ほどの割合でGISTではないのに誤ってGISTと診断されてしまうことがあるため、正しい診断と治療を受けるためには、GIST治療の症例数が多い病院で診察を受けることが推奨されます。
GISTは上述した通り、進行しなければ自覚症状はほとんどありません。早期発見が難しい病気でありながら他の部位に転移することがあり、進行した状態で見つかったときにはすでに治療が困難な状態であったというケースもあります。
自覚症状はなくても、血液検査や胃透視検査、便潜血検査などで異常が見つかり、精密検査をして早期段階のGISTが発見できることもあります。早期に発見して早い段階で治療を始めるため、半年~1年に一度は健康診断を受けて身体の変化をチェックするようにしましょう。
もし、吐き気や食欲不振など気になる症状が続くときは、軽く考えずに病院を受診する習慣をもつこようにしてください。
GISTとは、胃や腸など消化器官に起こりやすい悪性腫瘍です。GISTまたはGISTの可能性が高い腫瘍がある場合は、基本的には手術治療が行われます。正しい診断と治療を受けるためには、GIST治療の症例数の多い医療機関で診察を受けることが重要であることを理解しておきましょう。
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