記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/23 記事改定日: 2018/9/17
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃粘膜下腫瘍とは、粘膜の下(深層)できる病変のことであり、腫瘍性のものが多いといわれています。ただし非腫瘍性のものもないわけではなく、原因や進行度によって症状や治療方法が変わってきます。
この記事では、胃粘膜下腫瘍の治療方法について解説しています。
胃粘膜下腫瘍は、胃壁の粘膜層より深い層にできた病変のことです。病変は胃の内側に隆起やくぼみ、潰瘍を作ることもあります。良性と悪性のどちらもあり、多くのものは腫瘍性とされています。原因は多様であり、寄生虫もその一つと考えられています。
胃粘膜下腫瘍には様々な種類があり、良性と悪性のものがあります。良性のものは、平滑筋腫や迷入膵などが挙げられます。これらは、急激に増大することはなく、出血や転移などの症状を引き起こすことがないため、特に治療を必要とせずに半年~一年ごとの内視鏡検査で経過観察することがほとんどです。
一方、悪性のものには、GISTや悪性リンパ腫、カルチノイド、血管肉腫などが挙げられますが、これらは増大するスピードも速く多臓器に転移することもあります。また、腫瘍が増大して粘膜を突き破って表層に現れると、出血を生じることも少なくありません。診断された場合には切除手術が行われるのが一般的です。
GISTは胃粘膜下腫瘍の一種であり、胃粘膜下腫瘍の中で最も頻度の高い疾患です。GISTは胃だけでなく、小腸や大腸など他の消化管にも生じることがあり、消化管壁の筋肉の間にある神経叢に存在するカハール介在細胞から発生します。多臓器に転移することもあり、病理検査などでGISTと診断された場合には基本的には切除手術を行います。
一方、胃粘膜下腫瘍はGISTのような悪性腫瘍である場合もあれば、平滑筋腫などの良性腫瘍である場合もあります。
腫瘍が小さいうちは、症状が現れないことも少なくありません。そのような場合は健康診断などで発見されるのが大半です。
前兆として現れる症状として、みぞおちの痛みや腹部の不快感などが挙げられ、悪性の場合は吐血や血の混じった便が出ることがあります。また、別の部位に転移した場合は、多様な症状が現れるようになり、衰弱などもみられるようになります。
胃粘膜下腫瘍は大きさによって治療方法が変わります。3cm以下の比較的小さな場合は、手術まで行う必要なく経過観察になるケースが大半といわれています。もし経過観察中に状態の悪化が見られれば、手術をすすめられることもあるでしょう。
4~5cm以上の場合は、悪性腫瘍の可能性が高いため手術が検討されます。手術は全身麻酔を行い、おへそに穴をあけ腹腔鏡を使って腫瘍を切除します。また、腹腔鏡と専用器具を入れるためにおへその左右に5mm程度の穴を4箇所ほどあけます。
従来の治療法に加え、新たな胃粘膜下腫瘍の治療法2つが、現在取り入れられています。
腹腔鏡を用いた手術と同時に、内視鏡を使い胃の中から同時に腫瘍の観察、切除する方法です。胃の中と外から腫瘍を観察できるため、従来の手術より正確に腫瘍の大きさを認識して切除できます。腫瘍の切除範囲を最低限に押さえることができるため、胃の変形を防ぎ、機能を損なわず、より安全に手術を行えます。
カメラや手術器具をいれるための孔を、おへその穴のみで行う治療法です。従来の手術では、数か所に穴をあける必要がありました。しかしこの治療法では、穴をあけるのがおへその1箇所のみになるので、術後の痛みが少なく、傷跡も目立ちにくいといったメリットがあります。
どの治療法を選択するかは、症状や進行度、患者の健康状態にあわせて決められます。
胃粘膜下腫瘍は、新たな治療法が開発されている、胃の機能損失や痛みなどを抑えながら治療を受けられるようになってきています。しかし初期のころは無症状のことが多いため、定期的に健康診断を受けるなどして、自身の健康状態を常に管理しておくことが大切です。また、みぞおちや腹部の異常、吐血等の前兆と思われる症状が現れた場合は早めに検査してもらいましょう。
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