記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
背中の痛みに胃の調子が関わっているというのは本当なのでしょうか?また、背中の痛みがある場合どのような病気が考えられるのでしょうか?背中の痛みの原因や病気について解説していきます。
胃・十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸が胃液によって粘膜が傷つき、えぐられたような状態になる病気です。主な症状として、上腹部痛、腹部の不快感、胸焼け、吐き気などが起こり、背中に痛みを感じることもあります。特に空腹時に悪化する傾向があります。
また、逆流性食道炎になると、胸焼け、酸っぱい液体が口まで上がってくる、胸が締め付けられるように痛む、背中やみぞおちの痛み、咳などの症状が起こります。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍になると、以下のような症状が現れます。
胃癌発症にはピロリ菌の慢性感染が深く関わっていると考えられており、1週間(1日2回)プロトンポンプ阻害薬と2種類の抗菌薬を服用する除菌治療が推奨されています。この治療法により約85%の確率で除菌が可能だとされていますが、抗菌薬による副作用で、軟便、下痢、味覚異常などが起こることがあります。
治療を行う上で、ストレスを減らして心身を安静に保つことが最も重要となります。
またタバコは攻撃因子となるため、喫煙は避ける必要があります。
胃の働きや胃液の分泌を活発にさせないためには、香辛料、コーヒー、炭酸飲料、熱いもの、冷たいもの、酸味の強いもの、多量の肉類、高脂肪食、大量の飲酒などの胃に負担をかける食品や飲料は避けるようにしましょう。
胃液の中和作用が強い豆腐、治癒を促進する作用のあるタンパクを含む白身魚、胃の粘膜を保護する作用のある牛乳などがおすすめです。
また、食事は抜かずに3食規則正しく食べることが大切で、1回の食事で摂る量を減らして食事の回数を増やすのもいいでしょう。
現在は薬物治療の進歩に伴い、手術が行われることが少なくなりましたが、止血が困難な出血、穿孔性潰瘍、幽門狭窄などには内視鏡を使用した治療が行われることがあります。
通常、食道から胃に移行する場所は、括約筋の働きによって食物が通るとき以外は閉じており、胃酸の逆流を防いでいるのですが、老化や手術などによりこの機能が低下すると胃酸や胃の内容物が食道に逆流するようになります。
健康な人であれば逆流が起こっても、食道の蠕動運動によって逆流物を押し戻せますが、蠕動運動が正常に機能しないと、食道粘膜が長時間強い酸性の胃液に留まることになります。
食道には粘液が存在しないため酸に弱く、粘膜に炎症が起こりただれた状態になってしまいます。このような状態を逆流性食道炎と言い、主に以下のような原因で起こるといわれています
主な症状として胸焼けがあり、胸の中心部や胸骨の裏側が熱く焼けるように感じたり、酸っぱい水や苦い水が喉まで上がってくるように感じる人もいます。
その他にも、胸のあたりがしみる、食べ物がつかえる、飲み込みにくい、げっぷとともに胃酸が逆流する、横になると症状が起こりやすい、などの症状を伴うことがあります。
軽度のうちは、以下のような生活習慣の改善に取り組み、様子を見ることになります。
また、症状にあわせて酸分泌抑制剤、消化管運動賦活剤などが処方されます。
筋肉痛でもないのにお腹から背中にかけて変な痛みを感じるというような場合は、膵臓の病気の可能性があります。膵臓は15cmほどの大きさのバナナ型の臓器で、胃の裏側に位置していて、腹部から背中にかけて痛みが発生することがあります。
膵臓の病気として、主なものに以下のものが挙げられますが、一般の方が自己判断できるものではありませんので、腹部や背中の痛み、違和感などが持続する場合は、一度医療機関を受診しましょう。
急性膵炎とは、何らかの原因により急性膵炎膵液が膵臓自体を消化してしまうようになる病気で、腹部から背中にかけて起こる激痛、吐き気、嘔吐などの症状が起こります。
男性に多く見られる病気で、アルコールや脂っこいものの摂り過ぎなどが主な原因とされており、軽症の場合は絶食・絶飲を行うことにより軽快しますが、重症の場合は命に関わることもあります。
初期の状態では、腹部の重苦しさ、便通の不安定、食欲不振などの症状が見られることがありますが、膵臓がん特有の目立った症状というものはないため、早期発見が遅れる傾向にあります。病態が進行すると、以下のような症状が起こります。
背中の痛みがある場合は、胃・十二指腸潰瘍や逆流性食道炎の可能性があります。また、急性膵炎や膵臓がんなどの膵臓の病気の可能性もあるため、腹部や背中の痛み、違和感などが持続する場合は医療機関で診察を受けましょう。
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