記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血液に含まれるブドウ糖の濃度を数値化したものが、いわゆる血糖値と呼ばれます。正常とされる値は空腹時で110mg/dl以下とされていますが、血糖値が上昇して500mg/dl以上になると、体にはいったいどんな影響が出てくるのでしょうか?
以下、その原因や対処法などについて、詳しく解説していきます。
食べ物が摂取されて血糖値が上がると、膵臓からインスリンが分泌されます。このインスリンの分泌量が少なかったり、あるいは十分な量が分泌されていても働きが悪いと、慢性的な高血糖の状態が続くことになります。これが、糖尿病です。
糖尿病があると、血糖値がなんと500mg/dl以上になることもあります。
では、それほどまでに血糖値が上がる原因として、いったいどんなことが考えられるでしょうか。
ある程度はインスリンが分泌されている2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病)でも、病気が進行していくと、インスリンの分泌量がさらに減ったり、体のインスリンへの抵抗性が高くなっていきます。その影響で、血糖値が著しく高くなり、500mg/dlまで上昇してしまうことがあります。
このようなインスリンの不足状態に加え、風邪などの感染症や暴飲暴食、あるいはストレスなどが重なると、やはり血糖値が500mg/dl程度まで上昇して意識を失う、高血糖昏睡を起こすこともあるので、くれぐれも注意しましょう。
血糖値が500mg/dl以上まで上昇すると、吐き気や嘔吐のほか、先述した高血糖昏睡などの意識障害を起こすケースが多くみられます。
この場合、著しく口が渇く、あるいは多尿などの症状があり、このため脱水を起こして全身の倦怠感や腹痛、下痢などが起こります。なかには、朝起きると同時に足をつる、異常な眠気、頭痛などの症状がみられる人もいます。
したがって、ずっと喉が渇いている、頻尿、頭痛が続く、異常な眠気など、一見誰にでも起きそうな症状が長く続くようであれば、糖尿病、またはそれに伴う合併症を疑ったほうがいいかもしれません。
また、この高血糖の状態を放置し、さらに症状が進行すると、ショックやけいれんを起こして昏睡に至ることもあります。これは、著しい高血糖と高度の脱水(高浸透圧血症)が、循環不全をきたすためです。
血糖値が500mg/dl以上まで上昇、さらに600mg/dl以上になると、この高浸透圧高血糖症候群という合併症を起こす可能性があります。これは、2型糖尿病の患者で、高齢者に多いという特徴があります。
たとえば、2型糖尿病患者が風邪や肺炎などの感染症、脳血管障害、また利尿剤やステロイド薬の投与などによりインスリン作用不足が起こると高血糖となり、高浸透圧高血糖症候群を発症する可能性が高くなります。症状が出るのが遅いという特徴があり、原因から数日の期間をおいて発症することが多いです。
また、嘔吐や下痢による脱水や、さらには手術などのストレスや脳梗塞や心筋梗塞、バセドウ病など、糖尿病以外の病気がきっかけとなって発症することもあります。
治療の基本は、脱水に対する水分補充と電解質の補充、インスリンの適切な投与、あるいは高浸透圧高血糖症候をもたらした原因を取り除くことになります。ただし、意識障害や昏睡状態に陥ったときには自分で対処することができませんので、糖尿病や合併症、そのほか原因となり得る病気について家族など身近な人に知っておいてもらうことが必要です。
何かあれば医療機関へ適切な連絡をとることができる人を、あらかじめ作っておきましょう。
このように、血糖値が500mg/dl以上になると、さまざまなリスクが生じることがおわかりいただけたことと思います。では、このような著しい血糖値の上昇を防ぐには、いったいどのようなことが必要なのでしょうか。
以下の項目をチェックして、普段からしっかり心がけておくようにしましょう。
糖尿病の患者さんでも、適切な治療を行なっていれば、このように著しい血糖値の上昇、また、急性合併症を起こすことはめったにありません。自己判断は避けて、とにかく日頃の糖尿病治療を、しっかりと継続するようにしてください。
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